・手のひらに空を……、
天井に亀裂が入ったッ!
「キャあっ?
な、何っ?」
突然の事に悲鳴を上げて天井を見ると、
既にそこには青空が覗いていた……。
「え……これは一体、
どういうことですか……?」
分からない声に、
救い上げる声が降ってきた。
「プリンピーチッ!助けにきたぞっ!」
「無事でしたか?プリンプリンッ!!」
「セーラ?アンマリ―?
なんで二人が……?」
「それはな?
私たちのダンナが助けに来てくれたからだッ!」
「私たちの旦那様……?」
見ると、
三人の麗しき美少女たちが揃ったところで、
天井の壁の間の角から入った亀裂の下段を足場にして、
一人の少年が空の風を見て佇んでいる……。
「あなたが……?」
訊ねてみると……、
青いマントで佇んでいる少年は、
とってもスッパそうに、
目も口も、肛門のような星形にして梅干しを作っている。
「なんて顔をしているんだ。アズルアズアール。
せっかく我ら絶世の美少女が三人も揃ったというのにッッ!」
「ええ。同感です」
それでも、
少年は更に自分の目や口を梅干しにして肛門のような星の形にしていると、
しばらく悩んでから、ようやく声を絞り出した。
「……ごめん、
最後にその子の名前……もう一度教えてくれる?」
一人の少年の言葉に、
やっと三人そろう事が叶った、
少女たちは首を傾げ合う……。
「こいつの名前は……」
「この子の名前は……」
「わ、
わたくしの名前は、
ムッチンプリリンプリンパイピーチ・ボンキュッボン・ヒップパイ・モーッ!オッパイ・フトモモモフトイ・コシマデクビレテイル・ガルギアですッ!」
「……、
……っ……、
………………、
つまり君って?
ガルギア帝国の?……皇女さま?」
「はいッ!!そうですッッ!!!!」
目を輝かせて言うッ!!!。
……。
屈託のない純情無垢な笑顔に、これ以上いったい何を言えというのか?
少年はため息を吐きたかったが、
ため息を吐くと、
やっぱり壊してはいけない乙女の心まで壊してしまう様な気になったので、
ここでは空気を辛うじて読んで、
ため息を吐きたい気分をモノすっごく我慢した!(すんごいストレスッッ!!)
「じゃ、じゃあ、帰ろっか?」
「来いっ、プリンッ」
「え?」
「行きましょう、プリンピーチッ!」
手を引っ張られて、
天高くから急降下してくる黒い竜に飛び乗った。
「それじゃあ、最後に……、
さっさと決着をつけるよ?」
少年が言うと。
竜の背に乗った全員が頷いた。
高い空まで昇った黒い竜ヒビキが空中で巨体の側面を下へと傾ける。
傾いた先は低高度にある巨大な塔がある大浮島。
下にある塔を狙って
少年が「居合い」で構えた。
「させるかッ!小僧ッ!」
「お待ちなさいッ!
ギルガメッスッ!」
「ひ、皇女さまッ?」
下から打ち上がって飛んできた黄金の騎士が皇女の声を聞いて、
女性の声を上げながら怯むと、
それも構わずに、
少年は塔に目掛けて「斬撃」を抜き放ったッッ!!!
手のひらに……、
空の色がカケラとして落ちてくるような気がした……。
【次回予告】
次回! やっと夏休み企画が終わってくれた かんたんファンタジー 第61話
「そして、顛末へ……」
しかし、それでもウカウカしてられないのが大人の事情なのだった……。
(デン♪デンデデデン♪)




