・敵リーダーを倒せ
「黒人差別ッ!!!!
今こそ、ここでっ!
その話をしようッ!」
大々的に言った黄金の騎士が、
黄金の盾と鉄の剣による剣戟を空中で打ち合いながら喋る。
「挫刹?
キサマは「地球転星」で黒人差別の表現に怯んで、何回か「その表現」を躊躇って結局、書けずじまいになった文章表現があるな?」
黄金の騎士が、
ワタシの過去の他の著作で「忌避」していた汚点に言及する。
「ヨスベル・ニタリエル・ゴウベン。
コイツの身体的描写についての話だ……。
お前は今でこそ、ヤツの肌の色は「闇」色だと描写したな?
だが、お前が本当に描写したかったソイツの肌の色の表現方法はもっと違ったはずだッぅ?
確かこうだろ?
〝ヘドロのように濁った汚い黒ずんだ色の肌をした男……〟」
……、
「黙るなよ?
なぜ?お前は過去に、
この単なる「肌の色」を説明するだけの文章表現を避けたのかッ?
それはこの、
〝ヘドロのように濁った汚い黒ずんだ色の肌をした男〟……、
という文章が「黒人差別」に該当する恐れがあったからだッッッ!!!」
黄金の騎士が追いかけながら、青マントの少年を見る。
「黒人差別表現……。
この問題は意外と根深いッ!
特に架空のキャラクターの中で、肌の色を「黒」として出すとッ!
一気にッ!!
そのキャラクターの肌の色がなぜ?
「黒」でなければならないのか?という必然性の要求性が出てくるのだッッッッ!!!!!!!!
読者に訊こうッッ!!
これの何が、問題か分かるか?」
「……他の「白人」や「黄色人種」だったら、
そこまで考えなくても肌の色として簡単に出せる……?」
思わず言った青いマントの少年に、黄金の騎士は頷くッッッ!!!
「その通りだよッッッ!!!!!!
特に日本の漫画や小説やアニメではそうなのだッッッ!!!!
白人や黄色人種、あるいは「褐色の肌」でもまだキャラクターとして出すことが簡単に出来るッッ!!
だがな?
黒人となると一気にその難易度が跳ね上がるのだッぅッッ!!!!
肌が黒色なのは「まだ」いいのだッッッ!!!
問題は、あるキャラクターの肌の色を「黒」に設定した場合ッッ!!!
その次に設定しなくてはならない顔の輪郭や口の形、体つき、
しかもその先の設定となる「生い立ち」にまで気を遣わなければらなないっッッッ!!!!!!!!!!!
なぜなら、ここで「一つ」でも設定を間違うと……、
すぐに「黒人差別」ッッッ!!!!に繋がるからだッッッ!!!!!」
黄金騎士は満足そうに頷くッッッ!!!!!!!
「地球の世界での、
特に日本での黒人差別でよく指摘される「身体的特徴」はこんな感じだな?
肌は真っ黒で、
頭や顔は「バカそう」に描く。いや、ここでは「とぼけた様に」と言っとこうか。
髪はチリチリの短く縮れた感じ(著者的には「クセ毛」と書きたい)か、ハゲ。
唇が通常の人種よりもへんに赤く誇張されて太くとしても特徴されるッ!
そして……「眼がギョロ目」になるんだとか……?
ああ、ここで言うギョロ目っていうのは、
目の白い部分が異様に剥き出しになってるってことだな。
さらに体は常に筋肉質の塊りッッ!!!!
これがッ!
「一般の黒人」として描かれた場合には、
「黒人差別」として真っ先に扱われるだろう危険な描写だッッ!!!」
危険な差別的表現を断言する黄金の騎士が全体を見渡す。
「まあ?
これは黒人に限らず。
白人でも、日本人を含めた黄色人種でも、
「人種としての特徴的表現」としてはナニがしか、あるモノだろう?
一般的な黄色人種での差別なら?
「眼が細めで吊り目のキツネ目」?
「顔はのっぺりおたふく顔で平面」
「前歯が絶対に出っ歯」
「胴長短足」などがあるだろうし?
「日本人だったら、
いつも両手を擦って、体を上下運動させながらヘラヘラ笑ってドーモと言っている」
みたいな感じもあろーよねー?
白人なら、
「胸毛は常にゴワゴワ」
「いつもニッと歯と歯グキで笑っている」
「金髪」
「グラサン」
「顔はモアイっ!」
「体臭が強くて臭そう」
「身長は常に二メートル」
「体形は「デブ」か「筋肉」」
「目は、とにかくまつ毛ッッ!!!
まつ毛が濃いッッ!
特に下まつ毛が濃ゆくないと正真正銘の白人ではないッッッ!!!」
「手には常に、絶対にいつも「ハンバーガー」を持っているッッッ!!!」
……みたいな感じ?」
……ああ、
たぶん次回までに、この作品はないな。と著者は自覚する。
「……とまあ、
人種によってもそれぞれに侮辱的な「身体表現」はあるわけだ?
だが、この中でもッ!
ことさらに「黒人表現」は更に厳しいッッ!!!
それは黒人の差別されてきた歴史が「根深い」からだッッ!!!!」
黄金の騎士がまたさらに断言する。
「それだけ、
黒人の歴史では、その表現だけで「血」が流されてきた……。
いや、今も流されているのだろうな……?
他の人種では「普通の表現」のことな筈なのに、
黒人では絶対に「普通の表現」にはならない程になっッ?
その「普通の表現」で?
黒人は今も今までも「血」が流れされてきて「命」を奪われているのだッッッッッ!!!!
黒人を黒人として当たり前に表現できない理由はッッ!!!!
今も流されて奪われてしまっている黒人たちの「命」の重さが、そうさせているッッ!!!!」
言って黄金の騎士は「ワタシ」を見る。
「黒人の中にも「理知的」なヤツはいるだろうッ!
白人にだって「唇の分厚い」ヤツはいるさ。
黄色人種の中にだって「ギョロ目」のヤツだっているッッ!!!
問題はそれをッ!!!
黒人では「普通の個人の個性として表現」できないッッ!!!
という事にあるのだッッッッ!!!
……ならば挫折?
おまえは「どうしたい」……っ?」
……。
……おれはね?
普通に書きたいんだよ?
黒人の人たちの中にだって?
やっぱり、
唇が太い人だっているだろう?
ちょっと人よりも目が大きく見える人だっているだろうッ?
でも?
もちろんそんなのは、
その逆だっているはずだッッ?!!!
他の人種にだって、そんな人間はいるだろうし?
唇の細い黒人の人だっているだろうし?
目が小さい黒人の人だっているだろうッ?
ワタシ個人としては?
それは「個人の特徴」として描きたいのだッッ!!
それが「ワタシの夢」。
たまたま唇が太い黒人を描いても「差別」だと糾弾されないし言われない世界でいて欲しい。
たまたま目が大きい黒人を描いても「それは差別だ」と指摘されることのない世界であって欲しいッッ!!
だがッ!
それはまだ、俺たちの現代世界では出来ないだろうッッッ!!
なぜなら、その「当たり前の描写」で?
やっぱり、
そこで迫害されることを恐れる黒人の人たちが出てきてしまうからだッッッ!!!!
他の人種が思う「当たり前の描写」で!
迫害されてしまう人たちが出ていちゃあ「いけない」んだよッ!
それが「当たり前の人種の描写」だとしたら?
やっぱりッ?
その「当たり前の描写」をした事によって、
その人種の人たちが「迫害」されてちゃいけないだろッッ?
当たり前なんだからさッ?
でもな?
やっぱり黒人という人種の中で生きるしかない人たちは、
その「当たり前」の描写をされると「傷ついてしまう」人たちがいるんだッ!
その「当たり前」の描写で、
当たり前だ!と言われながら「迫害」をされてきて「傷ついてきた」人たちがいるんだッッ!!!
俺たち他の白や黄色の人種がッ!
今もッ!
黒人という人たちを描写するというだけの手法でッ!
それは普通の表現のはずなのに、「普通の迫害」にしてしまっているんだッッッッ!!
オレはいつか、そうならない様に気をつけながらも、
「普通の黒人」の人を、オレの物語の中で自然に登場させたいし、描きたい。
登場させたいのだッ!
でもその時にはな?
やっぱり「個人の個性」を出すために?
目の大きい黒人も登場させることもあるかもしれない。
唇の太い黒人だって出す時だってあるかもしれない。
でもさ?
おれは今でも?
黄色人種でも、「個人の個性」という特徴を出すために、
目の大きいやつは出すよ?
唇の太い白人だッて出すさっ!!!!
でも、
そんな人種的に見られるかもしれない「特徴的な表現」をしてさ?
「白人」も「黄色人種」も文句を言うか?
言わないだろ?
それは「白人」や「黄色人種」にとっては「個人の特徴」でしかないしッ!
「個人の特徴」で済むからだッ!
しかし「黒人」ではッ!
その表現が「個人の特徴」では済まないッッ!!!
オレはそこがツラいッ!!!
俺は黒人でも?
肌が黒いってだけで、
「個人の特徴」まで描けなくなるのは、やっぱりイヤなんだよな?
だってさ?
普通の虚構では、黄色人種や白人は簡単に登場させることが出来るのにさ?
黒人だけは「差別」を恐れて登場させないって、それこそ「差別」だろッ?
差別を恐れて「黒人」を登場させない、っていう考え方や行動は?
やっぱりそれが既に、それも「黒人差別」なんだよッ!
おれは「それがイヤ」なんだッ!!!!
だから俺っていう「挫刹」はさ?
肌の黒い黒人でも、
いつかは「普通」にファンタジーとかの物語では登場させたいんだよな?
「しかし、
黒い肌で「クセ毛ではない髪」の男や女を描くのってのは難しいよな?」
そこだッ!
そこなんだよな?
地球転星でも、それをやろうとしたんだけど結局無理だった。
それをやるには、
俺はもっと黒人の人たちをもっと詳しく知る必要があるッ。
「じゃあ、ここで唐突に「黒人差別の話」は終わりだッ!」
完全に「人種差別についての話」が生煮えの状態で、
黄金の騎士は突然、話を中断させると後方を見た。
「アズル」
「アズルさまッ!」
黒い血の魔王少女と、
白い血の聖女少女が、
少年の後を追って来た。
「あの四体の怪獣機械たちは?」
少年の言葉に少女たちは首を振る。
「申し訳ありません」
「すまん。トドメは差せなかった。
今はオレたちの後を追ってきている」
見ると要塞の中央にある塔を、
遥か遠くから囲むように回転している空中の円周回廊を走って伝って、
四体の機械怪獣が追いかけてきている。(この文章で分かる?)
「時間がないので単調直入に言う。
我々は助けにきたのだ」
語られる真相。
魔王少女が一人、要塞の中心部にある巨大空中塔バビラーガの根元を見る。
「あそこには友達がいるのだ……。
私たち「二人」の大切な友人が……ッ」
後半「プリンセスを救出せよ!」(約300文字)に、つづく(今日9時更新)




