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かんたんファンタジー  作者: 挫刹
†最終ステージ
46/66

・昂ぶりの限界を突破



 風が吹いている。

 風が南から吹いている。

 熱い南風が追い風となって、


 たかぶる空気のまま、

 緑と青空と夕焼けの間を、

 どこかにある巨大な塔に似た空中庭園の外観を真似た天空回廊の上で、

 (著作権がヤバいッ)


 魔王に仕える(気持ち的に和らげているつもりの独自表現の部分)暗黒騎士たちが勢揃いしたような最終ラストステージの雰囲気を醸し出しまま、


 獣の毛と鳥の翼をもった黒い黒竜のヒビキの飛行速度は加速していくッ!!!


「ファア!ファーア!」


 調子に乗って飛ぶ速度を上げる黒竜が、

 前から後ろへ流れていく天空の橋の街道の上や橋の側面をウナギのようにウネウネ動いて、

 左と右から撃ち放ってくる集中砲火の弾幕を避けまくるッ!


「ファア!ファーアッ!」


 飛燕の如く鋭く全てを避けきったと思ったら、急にクルリと一回転して急制動をかけると余裕で鼻をホジくって目の前で竜の軌道を予測して狙っていた砲弾が弾着するッ!

 そして、その時に舞い上がった爆煙をまた突き抜けて一気に加速すると、

 天空の橋に沿って飛ぶのだったッッッ!


「ファアッ!ファーアッ!」


 そんな無邪気に翔け抜ける黒竜を、

 鎧のバックパックから迸るリアルロボットアニメさながらのスラスター噴射の威力を伴って橋の上を飛んで追っている、

 黄金の騎士は声を出した。


「ちっ、

さすが幻獣の中の幻獣メガフレアム・ヴァッハムートだ。

あのガキ、どうやって手懐けやがったッ?」


 負け惜しむ黄金騎士の声も無視したまま。


 黒竜の背では黒竜の背で、

 邪魔者のいなくなった、

 一人の少年と二人の少女がキャッキャ、ウフフ♡とイチャコラしている。

 (会話的な意味で)


「今まで、どうやってきたの?」


「あの青いやつと赤いヤツの攻撃を少し躱した後に、後続の部下たちと合流して、

その相手を任せてきた。

今ごろ、あの赤いヤツは、ウチの黒いやつか、もっと真っ黒の暗黒のヤツの相手に夢中だ」


「私も同じく」


 魔王の少女と聖女の少女が涼し気に言う。


「じゃあ、このヒビキは?」


「コイツは我らが見かけた時には、

お前の剣を口で咥えていて右往左往しながらなんか困り果てていると思ったら、

急にヤケになって空の遠くに放り投げた瞬間に偶然出くわしたんだが、

その行動の結果によって都合よく身軽になったのか、

それを悟った我々が強引についでに飛び乗ったのだ」


 ……かなりザックバランな説明でも、

 なんとなく状況が分かったような気になったので、

 とりあえず頷いておく。


「たくっ、使えねぇ部下だなぁッ?!!!」


〝すみません〟

〝申し訳ありません〟


 平然と猛スピードを出す黒竜に、

 いとも簡単に追い付いて何気に並走している黄金騎士が、

 見えない遠くの部下たちの声に悪態パワハラする。


「お前ら、いったい今もドコで何やってんだよ?」


〝現在、魔王軍の暗黒騎士と戦闘中〟

〝現在、聖軍の聖騎士と戦闘中です〟


「かっーっ!!!

どうせ「ランスロット」とか「ランスロット」だろッ?

あ?それとも「ハミルトン」か「タルタロス」か?


はあはっははっはあはははあっはっはh、

やっべ、あやうく著作権違反しちゃいそうだぜっ?」


「安心しろ。我が魔王軍に「ランスロット」などと言うありふれた名の暗黒騎士は存在しないッ」

「同じく」


 冷たい魔王と冷徹な聖女の完全否定する声で、著者ワタシも安堵する。

 (でもまだどこか不安)


「へぇ?そうなのか?

なら、それならそれでもいいんだが?


おい挫刹?


結局、2019年八月の広島や長崎の平和宣言でも「沖縄」の名は出て来なかったな?

どうだ?

今の絶望感に満ちた、やりきれない気分は?」


 思わせぶりな黄金騎士の言葉が、著者ワタシの心を貫き射抜く。


 ……ふむ、あまり悪くない。


「悪くない?

強がり言うなよ?

広島も長崎も沖縄も結局、自分の事だけだった。

自分たちだけのことしか考えていないぞッ!」


 ……。

 まあ、そうだな。

 ただ案外、悪くもなかった。


 なんでヤツラ、広島と長崎と沖縄が互いに手を取り合えないのか。

 その原因が、

 アイツラの平和宣言で、はっきりと分かったような気がするよ。


「ほう……どういう事だ?」


 ヒントは広島の平和宣言だ。

 今年2019年の広島の平和宣言にはこの言葉があった。

 まあ、去年もあったらしいんだが、この言葉だ。

 『平和首長会議』


「平和首長会議?なんだそれ?」


 この平和首長会議というもの。

 どうやら「広島」は、こいつを重要視しているらしい。


「……えっと、どれどれ、なになに?

平和首長会議。現在は、全世界163カ国の7785都市が加盟中。

その中で役員都市は27都市で、

会長都市が広島市。

そして副会長都市が長崎と、あとは同じ副会長都市が日本以外の国家の都市……、

こいつは……っ?」


 そうだ。

 おそらく、コイツだ。


 平和の中で、

 さらにその「平和の中でさらに、差別という「格差」を作りあげている組織」ッ!


 おそらく、この会議組織の内部では「派閥」があるなッ!

 平和の中で、さらに利権の絡まった「派閥」が作り上げられているのだッ!


 つまり、現時点での平和首長会議の中では、

 会長都市である広島の核廃絶発言権が強力であり、

 その加盟都市でしかない沖縄の声が抹殺されているのだッ!


 平和の中にも「差別」がある!のだとッ!

 やはり、さすが日本だなッ!!!


 だから沖縄は、

 沖縄の平和宣言の時に、この平和首長会議の存在を言わなかったッッ!!!!!!!!


 沖縄は、同じ日本の都市のはずなのに、

 この沖縄の都市も加盟しているはずの「平和首長会議」というものに、平和の実効性という『実利』を感じていないッッッ!!!!!!!


「……ひでぇ話だな……。

じゃ、どうするんだ?

沖縄は自分の主張を通す為にこの「平和首長会議」から離脱しなくちゃいけないのか?

それで自分のための新しい「平和組織」を他に作る?」


 まさかっ!

 それはダメだッ!

 それをやったら「エントロピーが減少する」ッ!

 それは禁じ手だッ!

 エントロピーを減少させてはならないッ!。


 エントロピーの減少は「軋轢」と「争い」を生みだし、戦争へと発展させるッッ!!!

 

 沖縄はこの平和首長会議に留まる必要がある!!

 その上でっ!

 この平和首長会議の中で、沖縄の都市の発言権を強めなければならないッ!


「簡単に言うけど、それって、ぜってームリだろ?

現在の会長都市である広島が、

今の地位による発言権の強さの既得権益を手放すはずがないッッ!」


 それで今も世界平和だとか、堂々と抜かしてんだから笑えるよな?

 ま?どうやらこの「平和首長会議」には愛知の他の都市や名古屋も加盟しているらしいから?

 問題は、この加盟している他の都市がどう動くか、なんだが?


「……それを期待する?」


 いや、……それもしない。

 今の愛知と名古屋の関係の状態を知っているか?

 アイツラ、同じ県と市の愛知と名古屋同士で誹謗中傷しあって、いがみ合っているッッッ!!!!!

 そんなヤツラが、さらに広島や長崎と沖縄を「平和」でつなげられると思うかッッ?

 無理に決まってるだろッ!


「……打つ手なし……か」


 でもまあ、

 今回の沖縄、広島、長崎の平和宣言の内容は「完全な赤点」の落第点だったんだが?

 本当は、あと惜しくも『1点足りなかっただけ』なんだよな……?


「は?」


 いや、だから?

 あと1点なんだよ?

 今年の沖縄と広島と長崎の平和宣言の内容はな?

 俺から見れば?

 あと1点、取れれば?

 赤点は回避できて!補習も免れることのできる『いいセン』イッてる内容だったッッ!!!!!


「……その「一点」って、あとは互いの名を名指しをすればいいだけってこと?」


 当たり前だろ。


「……それって「褒め」てんの?」


 当たり前だろ?

 お前?

 『子育て』の仕方、知らねぇの?


 『子育て』っていうのはな?

 自分の子供を叱っても、

 自分の子供に思わず手を上げちゃってもいいんだよ?

 まあ、後遺症が残るとか痣までつくるのは絶対にやっぱダメだがな?


 でも子育て中は、

 自分の子供を叱っても、思わず手を上げちゃっても別にいいんだッ!


 ただッ!

 ただっ?

 ただ、後で?

 泣いた子供を、ちゃんと「褒めて」やれればなッ?


「ファアッ!ファーアッッッ!!!!!!」


 褒められれば必ず伸びる子。

 黒竜のヒビキが、

 昂りの限界を突破して飛び込むと、


 天空の橋の道の先に突き刺さったアズルの「鉄の剣」に目掛けて突っ込んだッ!




後半、「汝、何を祈る」は今日の9時に更新!


                     後半に続く。


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