‡農園の説明
「ほら、左手側が川で。右手側が崖だ」
二本足で立つパンダが前足の爪で左側の川辺と右側の崖を指差す。
「んで、そこの川と崖に挟まれた真ん中の広い空き地が畑な。
それで、ここの農園は全部だ」
腕を組んで、何度も大きく頷くのを繰り返している。
「うん?
なんだよ。
まだ、よくわかんねぇって顔だな。
いいか?
左側の川岸からは桟橋が伸びてるだろ?
桟橋の上じゃ魚を釣ることができる。川魚だ。釣り竿や針なんかの道具は貸してやるよ。
もちろん無料だ。
釣った魚は煮るなり焼くなり好きにしな。
旨いのが釣れたら、オレっちにも少し分けてくれればいい。
ん?そりゃ、パンダだって魚ぐらい喰うさ。『上野』のパンダと一緒にすんなよ。
あっ、
ったく。地球の話をすると長くなるから、今はヤメだ。
そっちだってファンタジー期待してんのに、
ここでこんな話、聞いててもシラケるだけだろ?
あ、
それで、桟橋で釣れる魚の種類なんだが、
別にハレツもバクレツもカクサンもしないから安心しろ。
ゼンブ食う為の魚しか釣れねぇよ。つーか、ここにはそんなのしかいねーよ。
火を使いたくなったら、
桟橋と畑の間にある、焦げた跡がある焚き火用の空き地でファイアーすればいい。
上手に焼けよ?
音楽は流れねぇけどな。
目の前の畑には、こっからも見てわかる通りウネがある。
ウネってな、
畑を畑、足らしめている土を細長く盛り上げて引き伸ばして設えた作物を植える箇所だよ。
よくニンジンみたいなマンドラゴラや、大根みたいな薬草が、キレイに整列して顔を出してる盛り上げた土を直線にした場所があるだろ?
アレだよ。
堅ぇ土を一生懸命ならして、上手く造るの大変なんだぜ?
それをまずは一本分だけ、お前さんには用意してある。
どっかで気になったタネや苗でも持ってくれば植えてやるぜ。
オレの知ってる植物だったら、まず失敗しねえよ。増やしてみせるから期待してな。
知らねえのだったら、天に祈れ。耕作はバクチよ。
次は右だ。
右端の切り立った崖では、足場が何段か組んであるだろ?
あそこの踊り場じゃあ、色んな鉱物が掘れる。
お馴染みだろうが?
ツルハシ貸してやるよ。
回数は無制限だ。好きなだけ掘りな。
手掘り向きになっちまってるから、手付かずなんだよな。効率の悪い鉱脈なんだとさ。
ンお?目が輝いてきてんぜ?いい眼してんな、おい。
そうだよ。ココには『回数制限』なんてモノはねぇ!
川釣りも採掘も、気が済むまで、ドップリ浸かんなっ。
掘って出た鉱物は、鍛冶屋なんかに持っていけば『新装備』なんかにも使えるかもな。
興味があんなら、持ち込んでみな。
と、まあ、
ここについては、こんなとこだ。
あ?虫やキノコを採るところはないのかって?
んなもん、ねーよ。
ここには釣り場と畑と採掘場しかねぇっ。
おまえ、ドコかと勘違いしてねぇか?
べつに、いいけどよ、
とりあえず、
まずは上の道具屋にでも戻って、増やしたい草の種や実でも見つけたら買って持って来いよ。
道具屋の種だったら種類は知れてる、増やしてやっからさ。
それで当面は金で悩むことも少なくなるだろうさ。
あ?まだ道具屋にも寄ってねぇ?
バカ野郎っ、とっとと顔見せて、ツラでも覚えて貰え!
あめえさん、ここに何しに来たのか、わかんねぇヤロウだな?
道具屋のオバさンに会ったら、よろしく言っといてくれ。
また、新入りの面倒を見ることになったってなッ」
太い腕をブンブンと振り回す、無邪気に吠えかかるパンダに追い出されて、
しぶしぶ農園から上がると村に戻り、道具屋を目指した。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
またまた微妙に変わっていた今回のサブタイトル。
それはさておき、次回は道具屋のお話。
ただ道具屋に寄るだけでお話になるのか?
もうこの時点で文字数がないぞっ?
次回! かんたんファンタジー 第四話。
『道具屋』
道具屋で語られる、あのパンダの正体とは……?
次回も、かんたんファンタジーに乞うご期待!(デン♪デンデデデン♪)
来週もまた読んでねー!!♡