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かんたんファンタジー  作者: 挫刹
†最終ステージ
34/66

・捨てきれないもの



 参議院選挙の投開票日まで残り最後の一日。


 激戦の末、最後の追い込みに掛かる政権与党は、その勢いのまま選挙活動を続けるつもりでいたが、野党共闘勢力の排除までは考えていない無党派層によって、勢力拡大の停止を余儀なくされていた。

 与党の勝敗ラインである獲得議席過半数の境界線で一進一退の攻防が繰り広げられる中、三者の戦いは完全に膠着状態に陥っていた。

 政権与党の党首、いつも悪いと言われるあの人は焦っていた。

 野党共闘側との戦力差では地の力で大きく引き離しているが、無党派層の浮動票が野党に傾けばそのバランスは大きく崩れ、圧倒的に不利となってしまう。

 頼みの綱であるもう一つの与党も再三の要請にもかかわらず、九条改正に慎重な姿勢を崩さないまま動こうともしない。

 体勢を整えきれない野党共闘勢力にとっても、動こうとはしない連立与党の内部事情よりも、さらにどこまでも動こうとはしない無党派層の有権者たちの方がよほど不気味な存在となっていた。

 長年の政治に対する憤懣が溜まっているのか溜まっていないのか……。

 両陣営は共に決め手を欠いていたのである……。


               『第三惑星地球史日本版第2019部第7章20話0800』



「さて、これで残り最後の一日になったな……」


 巨大な天空の橋の上を走り抜ける青いマントの少年と、

 並走している黄金の騎士が呟く。


「……なんで攻撃してこないのか不思議そうなツラをしてるな。

それは今の俺がお前と話をしたいからだ。

っていうか、さっきからこっちが一方的に喋ってるだけだがな?」


 黄金の騎士は笑っている。


「参議院選挙。

これが明日の夜で終わる。

正確には夜の20時か。開票が始まれば、この一回目の戦争は終わりだ。

そして次の二番目三番目の戦争へと突入していく……。


問題は参院選挙の本質そのものだ。


現在、参院選挙では与党と野党が議席数を争っている。

勝敗を決するボーダーラインはいずれかの党が単独で過半数を獲得するかどうかだ。


……だが、本当の問題はそこではないんだ。

現在の選挙は「参議院」選挙だ。


参議院という場所が何をする場所かは知っているか?

参議院は「時間稼ぎ」をする場所さ。


『衆議院で決めた法律』を、より時間をかけて「吟味」する場所……。

いまはほとんど形骸化されているようだが、本質的にはそう変わらない。


参議院は「法を決める場所ではない」。

法を決める場所は「衆議院」だ。

参議院は「法を選ぶ場所」なんだよ。


そして衆議院から流れてきた法を選んでいる間に……、

肝心の衆議院議員の任期の方が少なくなっていく……。

まあ、それでも微々たるもんだがな?


これが参議院の主な役割だ。

あえて「立法の足手まとい」となること……。


そして、今、その議席数を巡って各党は争っている……」


 走る少年は、

 黄金の騎士の話を話半分で聞きかじる。


「その理由もやはり議席数だ。

議席数を多く獲れば獲るだけ時間に囚われなくて済む。

そうだろう?

一つの党が過半数以上を占めれば法案の通過はより容易だ。

「考えなくても済む」という事だな?


これの利点は即効性だ。

そして最大の欠点は……「悪法」も通す事……」


 黄金騎士の言葉に、少年は走りながら俯く。


「話が分かるな?


数の暴力が、法律を本当の暴力にさせる。

そして、

その効力が出るのは最短で数か月後ぐらいか……?

よく知らないが……。


これで分かってもらえただろう。

参議院の本質は「時間稼ぎ」だ。

その時間稼ぎをするかしないかの選択を今、

日本人のヤツラは迫られている……って事なのさッッ!。


時間稼ぎをするのなら「悪法は減らせるが法律が決まるのも遅い」

時間稼ぎをしないのなら、

「法律が決まるのは早いが悪法である可能性も高くなるッ!」


この二者択一を迫られているんだよ?


さあ、どちらを選ぶのか?って話だ。


「決まる」政治か?

「決まらない」政治か?


両方のいい所取りを選び取ることはできないッッ!

できると思うか?


法律を早く決めて、さらには悪法まで取り除くッ!

そんな神懸かったことが出来ると思うか?


まあ?

何でもして欲しい「国民」だったら、簡単にそういうのも期待するんだろうな?

だとしたらやっぱり?

『バカにしたくなる』よな?


国民をバカにしたくなるだろっ?

政治家が国民をバカにしだすッ!


政治のことが何も分からないクセに不満だけは叫ぶバカな国民を前にしてッ!

今度は政治家が呆れ果てるのさッ!

嫌気が差すんだッ!


だから政治家は国民を虐げるッ!

自分に票を入れてくれる国民を優先的に保護しッ!

自分と敵対する国民を最優先的に犠牲にしていくッッ!


これが政治の「表面的な構図」だ……ッ!」


「表面的……?

本質的じゃなくて……?」


 政治がよく分からない少年の疑問に騎士は笑う。


「違うんだよ。

これは政治の本質的な姿ではないッ!


一見、為政者に敵対してくる国民こそを犠牲にする事が政治の本質だと思うだろう?

だが、そうではないッ!

元来ッ!

政治というモノの役割は「トイレ掃除」だッ!

国民が用を足して使って汚していく「便器」をキレイに掃除して、

また使える様にするのが政治の本来の社会的役割であり政治家の役割だッ!!!!

もちろん法律的な意味でな?


政治を上手く機能させる為には、そこで手を汚さなくてはならないッ!


だが、身勝手な国民を相手にしていると、

今度は、その綺麗にしていた法律というトイレを政治家が自分で使い出すようになるんだな?

自分がキレイに磨き上げたトイレを政治家が自分で使うようになり汚し出す。

でだっ!

その政治家が汚したトイレを今度は国民に掃除させるッッッ!!!

これが悪政の本質だッ!


税を絞り取りッ!労力を引き出させるッ!

ま、要するに奴隷だ。

それで最後は国民の自己責任だと切り捨てればいい……。

身勝手な国民のお前たちが悪いんだとな……?


もちろん、それをやっていれば、

いずれ政治家も「自己責任」だ?

自己責任で自分の責任を取るようになる……。


で?

キリのイイ所で自分の首を刎ねる、っていうワケだ?最後にな?


まったく救いようのない話じゃないか?


国民は振り回されて、

政治屋供は勝手に自分で自己満足して終わるッ!


だが、自業自得と言ってしまえばそれまでだッ!

国民は無知なクセに厚かましいッ!しッ!

政治家は、その無知で厚かましい上に権力を覚えて傲岸不遜となるッッ!

所詮、政治家も国民だからな?

国民と政治家の違いは権力を持っているか、どうかだけだ。

それだけの違いでしかないッ!

要は、その権力ってヤツで他人の「トイレ掃除」が出来るかどうかってコトだけさ?


政治家が、国民が使っているトイレをキレイにしていけば?

今度はアホ面さげたバカな国民が、綺麗にトイレを汚してくれるッ!つーワケだッ!


本来ならこれらの言葉は「地球転星」で語る筈だったらしいんだが?

まあ、それはどうでもいいことだ……。


国民は国民同士で犠牲の擦り付け合いをやっているッ。


政治家が犠牲になるのか、

国民が犠牲になるのかの違いだッ!


面白いよな?


国民は政治家が犠牲になればいいッ!と言い。

政治家は国民が犠牲になればいいッ!と言う。


……と、ここでだ?


俺が前回、言った言葉を覚えているか?


『投票先があれば「運のいい奴」になれたのにな』って言った、あの言葉だッ!


実は、これには一つだけ落とし穴があるッ!


例えば自由民主党だ。

国民の無党派層のヤツラが自分も「運のいい奴」になりたいのなら、

そいつらも、選挙で強い自民党に投票すればいいと思うだろ?


だが、それをしたとして、

本当にソイツらは「運のいい奴」になれると思うか?」


 騎士の質問に、少年は黙っている。


「分かっているな?そうだ。

『運のいい奴』にはなれないッッッ!


なぜなら自由民主党の中でも選別が始まるからだッッ!

自由民主党の中でも、より「運のいいヤツ」を決めようとするッッ!

『派閥』があるからな?

もちろん、これは自由民主党という与党だけにとどまらない。

野党の立憲民主党でも他のどの与野党でも中身は一緒だッッ!


誰かが順番で落とされるようになる……ッ。

『運の悪いヤツラ』だと言われてなッ?


そうして、また新しい『犠牲者』がそこで生まれる……ッ」


 黄金の騎士がヘラヘラ笑う。


「打ち出の小づちは無い?

なら現在の国家予算の財源の半分を賄っている日本国債は破綻するのか?

国債はどれだけ使っても破綻しない?

なら、それは打ち出の小づちじゃないのかッ?


小太りジイさんみたいに頬っぺた垂れ下がった安倍のプリンスお坊ちゃんはよくこういうワケのわかんねぇことを言ってるよなぁ?

打ち出の小づちは無いとッ!

口が「への字」にクソ曲がった、その時の気分で地元も真っ二つにしたことがあるらしい麻生のクソジジイもそうだがッッ!

年金の報告書は受け取らないッ!だとっ?

一生懸命、報告を上げようとする不器用な部下もろくに使えねぇクセにッ?態度だけがデカいッ!無能の上司を持つと苦労するぜっ?

『再発防止に努める』を何度も再発させてるゾッッ?!!!クソかよッ?

そんなに再発させたくないなら?自分たちのクビ切ればいんじゃねぇの?

な?そう思うだろ?

永田町に振り回されてる可哀そうな霞が関の官僚どももよ?

ま、お前ら官僚も同じようなモンだがな?自己責任てヤツだッ?自業自得だよッ!

おっと人の身体的特徴を不当に侮辱しッ!誹謗中傷して軽口でつっ突いてしまう口の悪さは勘弁してくれよな?だってお前らの顔見たら、実際にそう思っただけなんだもんよ?他意はねぇよ?他意はな?それに実際そういう顔してるじゃねぇか?ま、そういう顔してるからって、実際に口に出して本気で言っちゃう言及しちゃうのは「悪役」のご愛敬がする事なんだがッ?これをこの話の主人公が言っちゃったら『話は別』だがな?

そうだろう?

本人たちや小説家になろう運営?

お?名誉棄損?こえぇなぁ、そんな事言ったらお前らの似顔絵は全部、名誉棄損だぜッ?

ハハハ、これがおれのキャラ付ってワケだ。

ヘッ、


なら、お前はどうするのかって?

そりゃ、出るものから、減らさなくちゃいけねぇだろう?


赤字で散財してるヤツラは最後には破産で生活保護だぞ?

もちろん?

赤字を垂れ流している本人の奴じゃなくて?身の回りの奴を「生活保護」にしてな?

クッ、

くハハハハハハっハハハハハハ、

そうだろ?

貴重な口減らし予備軍の雇用調整弁だもんな?

いつの世もやってる事は変わらねぇ。


経済を活性化して財政健全化だぁ?

お前らに?

経済の何が分かるんだよ?


経済ってのはな?

『新しいモノ』がねぇと加速しねぇよ?

技術革新ッ。


車も飛行機も、もう古いなぁ?

あとITもな?

いつまでしがみ付いてるのか知らねぇけどよぉ?


あ、でもAIが出たらもう人類は要らないからなッ!

人類が消える。

AIに手を出すと人類が消えるぞ?

だって、AIは「食事」はしねぇだろ?

太陽があれば動くだろ?


『こっちの世界』でも、それは「同じ」だ?

ひいひひひいひひひいひひひひひひいひ。


それに安保でも、

離島奪還とか言ってるけどよ?

そのお前ら日本が持ってる離島の殆ど……過疎化してねぇか?

そんな過疎化してるお荷物の離島を増やしてどうすんだよ?

お国は領土の島を増やしたいみたいだけどよ?


どうせ過疎化させるんじゃねえのかよッ?

領海を増やしても獲る漁師さんがいませんでしたッてなぁッッ?


あと年金だっけなぁ?

年金ってのはな?

老後の『安心』の為にあるんじゃねえんだよ?

老後の『豊かさ』の為にあるんだよッッ!


百年安心?違うなッ!百年栄華だッッ!

それも出来ない年金はクソだなッ!


日本国憲法第二十五条ッッッ!

老後の安心は、生活の安心として「生活保護」が担っているッッ!

「年金」が担ってるのは生活の『増進』なんだよなァッッッ?!!!!


目指している前提がまるっきり違うなァッ?

次元が違うぞぉッ?!!

下らねぇッ?


遅いッ!遅すぎるぞっ?

認識が遅いなぁッッ?!!!

政治屋ドモっッ???!!!!!


お前らはその程度かッ?

その程度で政治を語るかッ?


で?

こんどは「政治の安定」……ってかぁ……?」


 黄金の騎士が肩を上下させて笑い出すッッッ!


「お前らよく「政治の安定」とか言って、選挙なんかで叫んでるよなァッッ?


教えてやるよ?

なんで政治の争いが無くならないのか?ってことをなぁッ?


それはな……?」


 黄金の騎士が、

 言ってはならない政争の本質を喋る。


「エントロピーが減るからだ」


 それは、決して言ってはならない現実の禁句タブー


「選挙をやるとよ?

『エントロピーが減る』からだよ?


選挙をやると『エントロピーが減少する』から?


政治の戦争、

政争はなくならないッッッ!!!


エントロピーの減少……。

これがどういう意味か分かるか?


おい日本国民?


その一票で……?


捨てるヤツは選んだか?

犠牲にする者は選んだかッ?


切り捨てるヤツは選んだかッッ?


お前ら日本国民の一票が?

他の日本国民の他人の命を犠牲にさせるッッ!


お前らは「他の命」を「運の悪い命」と決めつけてッ!見捨ててッッ!

犠牲にする者だ(ニンゲン)ッッッ!


犠牲にする者を選びッ!

更にそこで犠牲にする者ッ!


自覚しておけ?


それがお前らッ!

犠牲にする者だッッッ!!!!!!」


 黄金の騎士が、

 我々、読者の日本国民に視線の刃を振り下ろした。




後半「手もとりあえず」に、つづく(今日9時更新)


【注意!!】

この作品は公職選挙法に抵触する可能性が非常に高い内容がある為、

参議院選挙の投開票日2019年7月21日夜20時まで紙媒体への印刷はおやめください。


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