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かんたんファンタジー  作者: 挫刹
†最終ステージ
31/66

・思い通りにいくのが世の中だって割り切りたいから



 参議院選挙の告示日から一週間……。


 その惨状は無党派層の失望を確固たるものとし、無党派層に潜在していると思われた反与党勢力の決起を不発に終わらせるには十分な効果があった。

 その結果、無党派層は真っ二つに分裂する事もなく、その浮動票を期待していた野党勢力は窮地に追い込まれた。

 野党共闘勢力は各選挙地盤の与党反対派に狙いを絞りながら選挙活動を継続したが、与党勢力に対して野党勢力で共有できる共通した選挙戦での争点は「反与党」という一点のみだった。

 足並みの揃わない野党共闘勢力をよそに、失望感の強い投票棄権者の割合は更に増加を続け、現在では約二倍以上の勢力にまでふくれあがっている。

 消費税増税に固執する政権与党の獲得議席過半数の達成も時間の問題に思えた……。


 一方、挫刹は「小説家になろう」運営の画策によって利用規約違反の首謀者とされたが、首に賞金を懸けられるまでは一応、今はまだされてはいなかった。

 挫刹は選挙運動や二次創作違反の疑いをかけられたまま運営から追われ、その身を自分のユーザぺージ内に隠していた……。


               『第三惑星地球史日本版第2019部第7章14話0900』



「政治はお前ら、子供が腐敗させているッッ!!」


 黄金騎士が振り下ろした理不尽な凶器の一撃を、少年は剣で受け止めていた。


「お前ら子供は、すぐに大人の所為にするよな?

大人が悪い。

大人はおかしい。

大人は都合がいい。

大人は子供の気持ちが分からない。

大人はいつもムダなことをしている。と」


 黄金の騎士は言う。


「だが、お前ら子供の方はどうだ?

同じ子供同士を笑い。

同じ子供同士を傷つけッ!

同じ子供の違いを差別しッ!

面白おかしく笑って生きている……。

何も考えず。

何も知らず。

ただ、与えられた物事だけに無我しッ、

気になったことだけに夢中になっていればいい子供」


 大人が黄金の剣で押し込めながら、苦しむ青い子供を見る。


「今、俺はお前に剣を向けている。

お前に何度も剣を振り下ろしている。


お前ら子供は辛いな?

こうやって大人の暴力に耐えなければならない。


拳を向けられ、

刃を向けられる。


知らない時に、

忘れた時に、

気付かない時にッ!


ではお前ら子供はどうだ?

お前ら子供は、いったい誰にその剣を持って向ける?」


 少年の目が大きく開いた。


「同じ子供か?

同じ子供に刃を向けるか?

そういう話もあるよなぁ?


自衛のためとか理由付けして、ほざきながら隠し持ち!

思い通りにならなかったら、感情を虚ろに「凶器」を取り出して手に握るッ。


その凶器をどうする気だ?

凶器は包丁だったか?

それで野菜でも切る気か?

それともナイフか?

そんな刃物を握って何をする?


その刃物を向ける向けられる相手は……大人だったことはあるかッ?」


 思いがけない少年が、堪らず剣で剣を払って飛び下がった。


「……どうする?

未来は暗い。

大人がお前たち子供の未来を暗くしていく……。

分かるだろう?


世の中を見ろ?

大人たちは何を言っている?

きっと大人たちは、お前たち子供の親たちの事しか言ってはいまいッ?

大人は同じ大人しか相手にしない……。


ではお前たちはどうだ?

親が好きか?

それとも嫌いか?

まさか、いないか?


だが、きっとお前たちはこう思っていることだろう……」


 そして黄金の騎士は呟く。


「子供のままでは、大人と会話することができない……」


 少年が黄金の騎士を見上げた。


「大人と会話がしたいか?

だがそんなものは稀だ。

大人は餌しか与えはしない。それさえしない時もあるがな?


だがお前たち子供は「それ以上」が欲しい筈だッ!

それ以上が欲しかったはずだッ!


しかし、それを与えてくれる大人は、

なぜか、どうしても一人もいない……。


それが、なぜだか分かるか?」


 黄金の騎士が凶器を振るって少年に言う。


「大人も持っていないからだッッ!

子供が欲しい物は、大人も持っていないのだッ!

だから、

お前ら子供が本当に欲しい物が、子供の時に手に入ることは永遠にないッ!


その時、おまえらはきっとこう思うだろう……。


『世の中が悪いからだ』と……」


 黄金の騎士がやはり言う。


「俺は剣を持っている……。

その剣をお前に向け続ける……。

いつまでもな?

おれにはその自覚があるからな?


では?

お前も俺に剣を向けるか?

いいぞ?

それでも、大人の俺の方が勝つ自信があるからな?


だが、これが、子供同士の剣と剣だったとしたらどうだ……?」


 黄金の騎士が剣の切っ先を向ける。


「同じ子供がお前に剣を向けたッ!向けてきたッ!

大人でもいいぞッ?大人がお前に包丁を向けているッ!


その時、お前も同じ包丁を持って向けるか?」


 訊ねる騎士の前で、

 少年は自分の持っていた鉄の剣を、

 立っていた浮遊する小島の上から放り投げて空中に捨てた。


「ほう?剣を捨てて。

それでこの後はどうする気だッッ?」


 喜々として向かってくる騎士に、

 少年は無手で構えて答えてみせた。


 少年はもう、

 思い通りに行くのが世の中なのだと、絶対に思いたくて剣を捨てた……。



【次回予告】


 次回! 著者はこれを面白いと思っていた かんたんファンタジー 第31話


 「偽り偽られて」


 参院選投開票日の夜20時までは、この作品を紙などに印刷などはしないでね♪

                         (デン♪デンデデデン♪)


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