・ビッグマウスの死闘
地平線の彼方へと続いていく道が造られていく。
右から左へとゆっくり横切っていく浮遊小島の一部が、
目の前で次々に止まり始めると、
一直線の道を作っていた。
「……なんだ?誘い込まれてる……?」
アズルとアンマリーとセーラ。
少年と魔王の少女と聖女の少女が、
次から次へと左側から作りだされては右側で崩壊していき流されていく巨大な橋の大通りを走り抜けながら、上空を見た。
幾つもの光の筋が、遥か霞んだ地平線から、
自分たちの後方を狙って天空へと伸びていく。
「弾道弾ッ!着弾に備えっ!」
先頭を切って駆け抜けている魔王が叫ぶ。
背後で爆風と閃光、爆音が炸裂した。
「……くっ」
「気になるなら残って加勢していい。
ぼくのことは気にするな。
ぼくよりもきみの部下の方が大事だろう。
部下は大切にしろ。
士気に関わるからね」
「冗談キツイな。
魔王軍はそれほどヤワではない。
自分の身も自分で守れない者など我が軍の戦士ではないッ!」
とか、なんとか強がりを言っている間も、
大通りの両端に建ち並ぶ欄干から十人以上の人影が天高く飛び上がり、襲いかかってきた。
小柄の忍者みたいな軽装の鎧兵士。
ドン、ガン!ゴンッ。
と、少年だけが敵の攻撃をキレイに避けて、敵の攻撃が地面にめり込んだのをいい気味に臆病に素通りしたが、
魔王と聖女はそれぞれ専用装備の黒い手套と杖の武器で丁寧にあしらう。
「おいっ!せめて一撃ぐらい入れろッ!」
「やだよ。攻撃を避けて引き離せばそれでいいでしょ?」
「それでは後続が危険に晒されます。
敵の戦力は出来るだけ削ぐべきです」
「だったらぼくは、この戦争、降りるよ?
ぼくは好き勝手にやらせてもらう。
それが嫌なら、君たちも自分たちの好き勝手に動くことだ」
「……な?……おまえっ?」
「あなた……っ」
唖然とする魔王と聖女を、
少年は気にも留めずに走る速度を緩めない。
「ちゃんと、このまま先行して注意は引きつけてあげるから、
あとはそっちで何とかしなよ。
何が不殺だよッ。
敵を不殺にしたら、今度は味方が狙われるんじゃないかッッッ?!!」
ふむ?ちゃんと分かっているじゃないか?
だから、まあ、
よくそんなありそうな、こんな戦闘描写の葛藤のお約束を言って、
次々と襲いかかってエンカウントしてくる敵を全て回避率100%で避け切って、
360kmの距離もある天空の橋の上の道をひたすら走るッ!
「その通りだろうなッッ!!!!
お坊ちゃんッッッ?!!!!!」
突然、閃光が奔ったッッ!!
黄金の、黄金による、黄金の為の閃光がッッ!
「描写がメンド臭くなったら手抜きなのかぁっ?!!!
著者だけが「かんたんなファンタジぃーーーーぃぃぃぃッ???!!!!」」
やっばい、なんか変なセリフ回し……。
「お望み通り出てきてやったほぉっっっ?!!!!
挫刹っての著者ぁぁっ?
ホントに出番があるのかってビクビクしてた気分はどうだぁッ!
コラんッ!」
そして、
空中大通りの路側帯スレスレに立つ電柱のような一本の細く長い鉄柱の切っ先に、
スクッ、と一人が慢心して降り立つ。
「赤と青ッッ!
お前らは魔王と聖女のメスガキどもの相手なんだよッ!
行カレっ!」
「ハッ!
魔王ッ!貴様はこのオレ、レッドナイトがお相手つかまつッッ」
「はい!
聖女ッ、貴女の相手はこの私、ブルーナイトよ。ごめん、そうらえッッ!」
「ぐっ」
「っく」
真横からの赤と青の斬撃を交差で受けて、
魔王と聖女が右と左へ防御しながら押し飛ばされていく。
「ひッハッほっ、
モドキも侮辱になって、
それでもかってミノフ節ってそ、使うのムズイな?
だがって戦闘濃度は増すんだよぅ。
イヤな所ばかりが目に付くところ、
コレでジャマモノと、いなくなったえぇぁッ?
半野木昇ッ?
会いたかったなぇッ?
さぁッ?始めろうばッッ!
参院選という戦争もなぁッッッ!!!!????}
突如現れた、
言語不明瞭をキャラ付けにしちゃった、
扱いにくい黄金の騎士が、黄金の盾の裏から剣を引き抜く……。
「イタズラは隠すワルガキが生きがったら、
簡単に「人殺し」なんざギンギンっちゃってよぉ?
まずはお前にぶつけたい宛て、ぶった斬るぞッッッッ!
聞めぇッ!!!」
……。
後半「貴様にその手を汚せというのだ!」に、つづく。(今日9時更新)




