・岩場
村に帰ろうと思っていたが、
竜の背に乗って空を飛行中に急に気が変わったので、
それはやめておいて、
当初の目的通り、岩地に向かうことにした。
岩地とは、
どこにでもある岩山の山腹か麓に広がっている、
どこにでもあるありふれた岩場の事だ。
街の民家や建物以上の高さがある切り立った崖や大きな塔岩がゴロゴロしていたり、
そびえ立っている堅い灰色の地帯。
モンスターは……、
おそらく、いるのではないだろうか?
少年はあまり聞いた事はなかったが、
岩地にも、
それなりのモンスターはいるような、いないような、
そんな淡い記憶が微かにだがあったような気がする。
「それは、よく調べて来なかったけど、
もし実際いたら、その時は出くわした時に考えればいいよな?」
少年は軽い気持ちでそう思っていたが、
結局、現実というモノは、
物事をその様に甘く軽んじて考えていると後でヒドイ事になるという事も忘れてはならない
そんなことを、ちゃんと考えているのかいないのか。
高速で景色が流れる下界の様子をうかがう少年は、
低空飛行する竜から飛び降りて、
岩地の崖や巨岩の隙間にできた道が、奥で広がった広場に着地した。
ジャリジャリした地面だ。
地元の川岸にもよくある同じような小石が敷き詰められた歩きにくい地面。
草はあまり生えていない。
岩地や岩場では、あまり植物のような緑に出会うことはない。
せいぜいが、目に入るものは茶色の枯れ木や枯草ぐらいのものだろう。
岩場や岩地とは、そういう地形なのだ。
「……近くに沢があるのか……」
耳をすますと渓流の水々しい音が聴こえてくる。
着地した岩広場の横の岩道の奥から、川の流れる音が聴こえてきた。
歩いていくとやっぱり開けた岩場の川岸にでて、
緑の全く存在しない、
岩場だらけの灰色な渓流釣りができるような感じになっている。
今度は釣り竿でも持ってこよう。
そう思った少年は、川岸から離れて、
他の場所を散策し始めた。
荒涼とした岩場の大地。
植物系の素材はあまり期待できない。
あるとすれば、
鉱物系か……。
見れば、
道すがら、開けた広場や暗い洞窟の大きな岩や崖の断面などには、
掘ればいい素材が出てきそうな黒い亀裂が所々で奔っている。
しかし、
ここでツルハシを振るったところで手に入れた素材は重く、
持って帰る事はできないだろう。
少年はそれを想像しながらポリポリと頭を掻いた。
「うーん、
ここはお独り様用の採掘兼、釣り堀場所の穴場ってところかな?」
少年が一人で、そう納得すると、
さっさと手を挙げて呼んだ黒竜に飛び乗って、
次の場所に向かうことにした。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
やはり、まだ村に帰る展開には早すぎると思い、
急遽、他のマップの事も書くことにしたのだが、
結局、何も「興味を引く」ことも書けずに、ただ文字を埋めるだけの展開に……。
次回!
と言いながら、また次回も同じ事になりそうな かんたんファンタジー 第20話。
『火山』
……「地球転星」ロスとでもういうべきなのか、
著者にとってもその存在の喪失は、意外にも大きかったもののようです。
(デン♪デンデデデン♪)




