・砂漠
下界の地表スレスレをツバメのように飛ぶ竜の背中から飛び降りて、
少年は砂漠に着地した。
ッカン。
という音が聴こえてきそうなほどの灼熱が、空と大地から押し寄せてきた。
眩しい太陽が不気味に笑いながらグルグルと回っている陽炎。
時折、タイミングを見計らいながら地表に落ちて、襲いかかってきてもおかしくないほどの熱さだった。
頬から伝った汗が熱砂に落ちるが、そんな汗もすぐに蒸発した。
水を飲む。
竹の水筒から直で水をゴクゴクと飲む。
水筒に入っている水は、どれだけ飲んでもカラにはならない。
水筒の中には鉱水石の純度を高めたビー玉ほどの宝水晶が一つあり、
宝水晶が水に浸っている限り、水はどれだけ零れても量を減らさないのだった。
さらに、いま少年が持っている水筒の中には宝水晶のほかにもう一回り小さい宝気晶と宝氷晶も入れてある。
これで少年の水筒はいつでもどこでもプツプツと泡の弾ける冷たい冷たい無糖の「炭酸水」が出てくるのだった。(旨いッ!!!)
「……ぷはァッ……」
喉で弾ける透明な炭酸水を、砂漠の中ではゆっくり飲めとは思っていても一気に飲み干しながら、一息つける。
日影をつくるフード付きのマントで気休めの冷涼をとりながら、
上がった砂丘の頂から漠砂の遠くを眺めた。
地平の彼方には灰色の崖が集まる岩場が見えた。
あの岩場まで行けば、
取りあえず、この強すぎる陽射しから逃げられる場所を見つけることができるだろうか。
少年は、熱砂を駆ける。
マントを翻しながら走っていくと、ここでの目的の物もついでに探していた。
『茨イチゴの採取』
なんでまたイチゴなのか、
砂漠の数少ない茂みでのみ発見する事が出来る「幻のイチゴ、その二」
〝ちゃんと見つけてきてね~。ちゃんと見つけて持って帰ってくれたら、
今晩はきみの言うコトなんでも聞いてア・ゲ・ちゃ・う♡〟
……。
持って帰らなくてもいいかな?
魔が差してそんな事を考えていると、
召喚獣の黒い竜が正面から少年に飛んで迫って来たので、思わず飛び乗ったッ!
直後、
今まで考えれないほど高温だった気温が、上昇する高度によって急激に下がると、
小さくなる砂漠の大地が遠ざかる……。
一つの場所に留まっていられる時間は短いのだッ!
さあ、次はどこに向かおう、
……できれば今度は、
気温が極端じゃない場所がいいなと、少年は思った。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
みなさまいかがお過ごしでしょうか?
ワタシはまだ5/11にこの次回予告を書いています。
いま、そちらではいったいどうなっていることでしょう。
まだ5/11の18:05にこの次回予告を書いているワタシには、
それが、まったくわかりません!
次回! タイムカプセル化した次回予告の、かんたんファンタジー 第18話。
『草原』
世界を巡る……旅が始まったと思ったら、すぐ帰る……(デン♪デンデデデン♪)
次回もまた読んでねー!!♡




