・世界地図
世界地図を買った。
大きな大きな世界地図だ。
大きな広い世界地図を道具屋で買って、広げて見ている。
「ボウヤ、そんな大っきい地図なんか買ってどうする気なんだい?」
道具屋のオカミさんが覗いて訊いてきた。
「ちょっと使おうかなと思って……」
「使う?使うったって、
アンタは、この村へあの山の主人になりに来たんだろう?
それなのに、この村とは関係のない他の土地の地図がいるのかい?」
なお怪しそうに訊いてくる道具屋主人に、
少年はヘタくそな愛想笑いを浮かべる。
「はあ、それがなんか面倒クサイことになっちゃって……」
作り笑いをしながら道具屋から逃げ出すと、村の中央部にある広場に向かった。
村の広場には、
いつも誰かがいて会話をしたり、適当に歩いていたりしている。
「最近、また山からの獣が増えてきたそうだよ」
「うーん、やっぱり新しい子には期待していたけど、ちと無理だったかのぉ」
「南の街でも、魔物や獣が増えてきてるんですって、また私たちの所為にされないかしら?」
村人たちの不安がる噂話を話し半分に聞きかじりながら、
少年は村の中央で立ち止まると空を見上げて叫んだ。
「黒い、響キッッ!!!」
少年が空に向かって叫ぶと、
叫ばれた空から黒い毛並みの竜がコークスクリュー回転しながら落下してきて、
飛び上がった少年を背中に乗せると、瞬く間に遥かな天空へと舞い上がった。
それは昨日、覚えたばかりの召喚獣魔法。
召喚魔法『黒い響き』
「ファア、ファーアっ!」
「うるさい、ダマれ、バカ野郎。
お前の所為で、おれはいま、おれの村でひどい目に合ってんだッ。
だから、早くおれが今から言う所をさっさと目指しておれを運べッ!」
「ファア!ファーアッ!」
主人に命令され、
嬉しくはしゃぐ黒毛の魔竜がものスゴい速度で錐揉み回転しながら上昇すると空を翔ける。
召喚獣を召喚する召喚魔法は、移動魔法に攻撃魔法にも使える万能魔法。
しかし、魔法とはいえ、
召喚獣に付けた名前をただ叫んだだけなのは企業秘密だ!
(良い子の皆にはナイショだよっ?)
村中の住人たちの茫然とした視線を一身に受けて、
世界地図を掴んだ少年と主人を得た竜は、大空を飛んで世界を翔け抜ける。
吹きつける集中線の向かい風の切れ目から見た大パノラマの360°の地平線と水平線を旋回して、
まずは目指したのは、
海の彼方にある……、砂漠の大地……だった。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
砂漠、それは喉が渇く。暑い。埋もれる。
そんなイメージしか湧かない灼熱の大地。
しかも今回はただの下見で、見どころが何もないッ!
おいおい、人様に読んでもらいたい次回予告がそんな予告でいいと思うのかッ?
次回! ひどいツッコミしかない かんたんファンタジー 第17話。
『砂漠』
砂漠で汗をかくという描写を書きたかっただけで、この話を入れたのは内緒の話。
(デン♪デンデデデン♪)
次回もまた読んでねー!!♡




