・モンスターを倒した!
山腹にある洞窟の入り口が爆発した。
爆発した勢いに巻かれて弾き飛ばされた布のマントに身を包んだ少年は、
猛吹雪の山腹の、
洞窟の入り口の手前にあった広場に都合よく着地した。
着地した少年の目の前では、
爆発して崩れる洞窟の入り口を更に爆発で吹き飛ばして、
煙の中から漆黒の竜が姿を現した。
立ち上る煙はもはや、
土煙なのか爆煙なのか、
雪煙なのかもわからないほどの煙である。
しかも吹雪ッ!
吹雪で、
巻き上がる煙が煙のように吹雪の強風で巻かれ、
もはや、何が何だか分からない、
雪つぶての煙たい不明瞭な白い濃霧が去っていく現象になっている(こういうのってどう表現すればいいですか?え?自分で考えろ?あ、はい。そうします)。
膝をついた少年は皮色の布のマントに身を包みながら、
洞窟出口に転がった瓦礫を蹴り上げながら近づいてくる漆黒の竜を見た。
鱗がない、
毛むくじゃらの竜だ。
漆黒……というよりも、
黒に、さらに磨きのかかった黒に似た深い紫の濃い色をした黒獣毛の竜。
爬虫類系の甲殻のような鱗の竜ではなく、哺乳類系の獣毛の竜だった。
しかもおそらく……子竜。
厄介なことになった、と思う。
哺乳類系の竜はたいてい神獣だ。
そういう物と決まっている。
逆に爬虫類系の竜であれば幻獣の類だった。
……いずれにせよ、
「鉄の剣」一本で、相手に出来る相手ではない(日本語が怪しい)。
……オッホン。
「鉄の剣」一本で、太刀打ちできる相手ではない(はい、オッケー♪)。
しかも危機的なことに、
今の少年は、その太刀打ちできない筈の「鉄の剣」一本しか装備していなかった。
/(^o^)\ナンテコッタイ
盾は無い。
防具は布製の服とマントだけ。
布の服と布のマントのみの超軽装で……、
この猛吹雪の厳寒の凍山の中で立っている……。
死ぬよね?
しかし、
目も開けられないほどの猛吹雪の中で、
少年は氷点下の気温によって、
鞘ごと凍りついたはずの鉄の剣をスラリと難なく引き抜いた。
重い鎧などを身に付けるのは好みでは無かった。
ただの布の服と鉄の剣だけで、
神話級の神獣や幻獣を相手に、生き残る事を使命とする少年。
その少年からの攻撃っ!
引き抜いた剣をまた、わざわざ納刀した!
そして収めた剣の柄を握ったまま狙いを定めて、
向かってくる黒い紫竜に、自分の剣を一閃に振り切って抜刀すると抜き放った。
会心の一撃ッ!
抜き放って剣の軌跡が虚空を切った直後、
少年の抜剣と同時に走りだした竜は崩れ落ちた。
腕を限界まで振り切った少年がキンと金音を立てて剣を再び納刀する。
地面に倒れ込んだ漆黒の竜は立ち上がらなかった。
もう動かない竜をよく確認して、
少年は仕留めた獲物の見分もせずに、その場を足早にして……、
そこから、そそくさと逃げ出したッ!
幻獣メガフレアス・ヴァッハムートを倒伐したッッ!(えっ?逃げたのにっ?)
\デンデケッデッケー♪デケデケェ、デー、デー。デ・デ・デッ!デ・デ・デッ!/
―デェーーー♪デー、デー。デー・デー♪―
(エコーのつもり)
テレレレー♪テーレッレッー♪
少年のレベルはあがりませんでした。
(逃げたので。て、ゆーか、最初からそんなシステムそのものがこのお話にはありません)
……その後、
自分のしでかしてしまった初の大仕事の大顛末に、
一目散に逃げ出してしまった少年は、まったく気付くことができなかった。
抜剣の一閃によって倒れ込んだ竜が……、
吹雪に埋もれかけながらもムクリと起き上がると、
なんとッ!
『仲間になりたそう』に少年の後ろ姿をじっと見つめていたことを……。
(※お好きな次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
【次回予告】
命からがら、村に逃げ帰ってきた少年は、
突然、出会った大物モンスターとのショックから農園に閉じこもっていた。
一生このまま、ここで採掘ばかりしていた方が性に合っているのかもしれない。
この物語でも、現実逃避ならぬ虚構逃避を始めた主人公に、
作者はやっぱりさらなる追い打ちを掛けるのだったッ!
次回! かんたんに引きこもりなどさせない! かんたんファンタジー 第15話。
『仲間』
うん、たぶん、
このサブタイトル通りにはならないと思います(デン♪デンデデデン♪)
次回もまた読んでねー!!♡




