・酒場のオヤジの話
「よぉっ、お疲れさん。
ほいよ、ご注文の品だ。
お、いい飲みっぷりじゃねえか?
なんだ?いやにご機嫌だな。
そうか、もうすぐだったな。
例の新入りが来るってのァ……。
お手柔らかにご指導、賜わってやれよ?
また逃げ出すかもしれねえぞ。
最近ここも、若いヤツラを下に取られちまってるからな。
今度は長く続くといいが……、
あ?そんな甘い世界じゃない?
あたぼうよ。
そんなのぁ、どこの世界だって同じよ。
だがな?
知ってるか?
ちょいと斡旋している嬢ちゃんたちから仕入れてきた情報なんだが、
その今度来る若ぇヤツってぇの、都会育ちらしいぜ?
そんなのが頼りになんのかよッ?
しかも13のガキとか、きたモンだとさっ。
ああ?女かって?スケベジジイがッ。
野郎だよ!
男の子供だッ!
やれやれ、
そんなヤツが酒場に入り浸るのかと思うとゾッとしねぇぜっ!
と、
いけねぇや、仕事に戻るわっ。
お代、勝手にツケに入れとくかんなっ?
どうせ持ってねぇんだろ?
結構、タマってんだぜ?
やっと来た新入りに押し付けんなよ?
おめぇさん、やりそうでいけねぇや。
ヘラヘラ笑ってんな。褒めてねぇよッ!
飲み終わったんなら、
とっとと、
カラダあったけぇうちに服くるまって、けぇんなっ。
酔い醒めねぇ内に次の仕事が待ってんだろ?
ナニやってるか知らねぇけどよ?
おめぇさんが入ると山が静かになる。
そんだきゃあ、確かだ。
ま、こんな調子で簡単にツラツラと書いてくんだとさ。
こんぐらいの長さのを、
毎週の、休みの朝ら辺にな?
だからつって、期待はすんなよ?
ん?
誰のセリフかって?
知るかよッ。
事情通の嬢ちゃんたちになんか変わったことがあるか?って聞いたら、
このメモに書かれている事を、
その時その場所で喋ってくれれば、教えてやるっつわれたんだよ!
まったくワケわかんねぇよな。
そら、
おんじゃ気ぃ付けて帰れ。
また寄るんだったら新情報、仕入れておくからよ!
ほんじゃあなッ!」
バタンと、重厚な木の扉が勢いよく閉まった。
次回予告、(※お好みの次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)
やっと辿り着いた彼は。これから自分の活動拠点となる地に足を踏み入れる。
錆びれた入り口をかいくぐり、
『何処かで見た』はずの賑やかだが過疎の足音が着実に忍び寄りつつある、
待ちわびた住民たちの生活の場へと案内されていく。
まず、必要だったのは自分に用意された個人生活の空間の確認だった。
新連載!『かんたんファンタジー』第一話ッ!
『自室』
……2月3日、毎週日曜・朝8時00分より、投稿、開始!
これは、
挫折しながら、かんたんに描かれていくファンタジー……。