67 スカイハイ攻略戦 2
◆
ウィリスの眼光に射竦められたミリタニア兵が、ジリと後ずさる。
突然のことに状況が把握できない兵士達は互いの顔を見合わせ、オドオドとしていた。
「狼狽えるな! 敵は一人だ! 囲んで押しつぶせッ!」
「そ、空に竜がいますッ!」
「弓兵! 竜を近づけさせるなッ! 魔法兵! 竜が滞空したままなら構わん、撃ち落とせッ!」
一際大きな武人が、短槍を掲げて叫ぶ。
彼は中隊長の一人であろう、その声で兵達が士気を盛り返す。
一部の隊が陣形を整えると、他の部隊にもそれが伝播した。
「的確だ、指揮官としては悪く無い――しかしな……」
ちょうど男の後ろに門がある。彼の位置は、ウィリスの目指すべき方向であった。
ウィリスは散歩でもするように足を進め、盾を構えて自分を囲まんとする兵達を巨大な戦鎚で破砕していく。
「死にたく無ければ退けと、俺は言ったのだ。武人であれば名誉も大切であろうが、無駄に死ぬ事はあるまいよ」
情け容赦の無いウィリスの一撃は、兵達の身体を上下に二分する。
むろん得物は戦鎚。破砕され分たれた兵達の身体は切られたのではなく、引き千切られたも同然であった。
飛び散る臓物が宙を舞い、砕けた頭蓋から脳漿が溢れ出す。
人体の破裂は見る者を恐怖の底へ押し込んで、瞬く間にミリタニア兵は恐慌状態に陥った。
正直ウィリスとしては、ここまでやりたくは無い。
しかし徹底的な恐怖を敵に刷り込めば、戦意を喪失してくれるだろう。
むしろそれが、被害を減らす近道だと考えていた。
もちろんローザリアも、その点は理解している。
“ゴォォォォォォォ!”
ウィリスの背後では、ローザリアの竜――フレイヤが炎を吐いていた。
燃え立つ炎の間から爛と輝く竜の翠眼が、敵兵にフレイヤの大きさを誤認させる。
むろん化け物じみたウィリスの強さと相まっての相乗効果であろう。
兵達にとって今やフレイヤは、伝説の魔竜にも等しかった。
「おい、あれってシラクの魔竜じゃあないか?……」
「なんでそんなモンが来るんだよ?」
「ほら……敵の誰だかが竜を捩じ伏せたって話があっただろ」
「おいおい……竜を捩じ伏せたのが、あの黒甲の男じゃあないのか?」
ミリタニア兵にしてみれば、冗談ではない。
戦う相手は、せめてまともな人間であって欲しい。
槍を突き出すミリタニア兵の手が、皆ブルブルと震えていた。
「――ヤツを止めろ! 命を惜しむなッ! ミリタニアの興亡、この一戦にありッ!」
またも先ほどの武人が叫んでいる。鉄の兜に赤い房飾りが付いていた。
再び兵達が勇気を奮い立たせて、ウィリスに穂先を向けてくる。
ウィリスはこれ以上、兵を殺したく無い。
となれば指揮官を無力化させるより他、道はなかろう。
だから声を嗄して叫ぶ中隊長と思しき男の下へ、一直線に駆けて行く。
「殺すには惜しい男だな……」
既に殺してしまった兵達には申し訳ないが、ミリタニアは戦さが終れば味方となる――ならば、なるべく優秀な者は失いたく無い。
決して相容れぬ時はやむを得ないが、今日の犠牲を戦さの倣いと受け入れてくれるならば、ああいった男はきっと力になってくれるだろう。
中隊長へ真っ直ぐ向かうウィリスに気付いたのか、兵達が槍を突き出してくる。
しかしウィリスは構わず、戦鎚を横に薙ぐ。そのまま繰り出される槍を弾き飛ばし、突進した。
金属製の槍が小枝のように折れ飛び、キラリと穂先が宙に舞う。
唖然とする数十の兵達が、折れた穂先を呆然と見て……。
舞った穂先はフレイヤの炎を反射し、ギラリと朱色に瞬いた。
兵達は全員、背後を振り返った。
もう、ウィリスは追えない。
中隊長は尊敬に値する男であったが、すぐに彼は柘榴の如く潰されるだろう。
冥福は祈らない。どうせ自分達も、すぐに後を追うのだろうと思ったから。
中隊長は殊勝ににも槍を構え、盾を突き出してウィリスの突進に備えた。
ウィリスも大柄だが、中隊長も中々の体躯である。
ニメートル強のウィリスに対し、それほど見劣りする訳でも無い。百九十センチはあろうか。
「我こそはミリタニアの重装歩兵団――!?」
中隊長は、せめて死に花を咲かせようと思い名乗りを上げる。
しかしウィリスはおかまい無しで、突進の速度を緩めない。
彼は一騎打ちなど、付き合う気が無かった。格が違うと言わんばかりである。
実際、かつて十万の兵を率いたウィリスと、せいぜい百五十の兵を束ねる中隊長では雲泥の差だ。
「おのれ、武人を愚弄するかッ! 死ねッ!」
中隊長が裂帛の気合いを込めて、轟音と共に槍を繰り出した。
「別に愚弄する気は無い」
ウィリスは中隊長が繰り出す短槍を半身になって躱すと、そのまま横蹴りを叩き込む。
それで十分であった。
中隊長は門まで吹き飛び、身体をくの字に折って項垂れている。
「ぐぅぅ……」
鎧が拉げ、盾も遠くに飛ばされていた。
それでも立ち上がろうとする中隊長を、ウィリスは戦鎚を握ったまま殴り飛ばす。
五メートルほど吹き飛んで、中隊長はようやく動かなくなった。
「暫く寝ていろ……さて」
ウィリスは正面の大きな門を見上げてから、背後を振り返る。
相変わらず多くの兵に囲まれているが、近づいてくる気配はなかった。
ウィリスの直上にフレイヤが待機していて、今にも炎を吹きかけようとしている。
「スゥゥゥゥウ――……」
ウィリスは大きく息を吸って、戦鎚を斜め後ろに構えた。
目の前には大きな閂があり、これが城門を閉ざす鍵の役割をしている。
長さは十メートル弱、太さは五十センチほど。
これを外す為にこそ、彼はここにいる。
といって一人の人間が叩けば抜ける程、やわな物ではない。
本来であれば、十人もの人間で動かす代物であった。
だがウィリスは目を瞑って力を溜めると、気合い一閃。
「ウォオオオオオオオオオッ!」
轟音と共に弧を描く戦鎚が、閂の端に当てられた。
“ゴォォオオオオオオオオオオオン!”
凄まじい音が響き渡り、閂が弾かれた様に飛び出した。
そのまま閂は横に飛び、壁にぶつかり砕けて割れる。
刹那――ウィリスの背後から無数の槍が繰り出された。
どうやらフレイヤの炎を乗り越えて飛び込んだ、決死隊のようだ。
敵もさるもの――城門が破られれば先は無い。となれば、このような手にも出て来るのか。
ウィリスは戦鎚をそのまま回転させて、旋風のように槍を弾く。
バキバキバキバキッ――と異音が響き、数十の穂先が宙へ舞う。
ウィリスは踏み込み、疾風の如く直進した。
巨体でありながら、ウィリスは誰よりも早い。
彼を目で追えた者は、居ないのだろう。
ウィリスは瞬く間に敵中へ躍り出て、再び戦鎚を回転させた。
ぐるり三百六十度、敵が吹き飛ばされて行く。
それはまるで竜巻に飲まれた木の葉の様に、人が錐揉みしながら宙へと舞った。
「ローズ! 戦斧ッ!」
閂を破壊すれば、戦鎚に用は無い。
「分かったッ!」
直上に控えるローザリアが、頷き凛とした声で返事をする。
その最中もローザリアは竜の上から、高速で矢を敵に射かけていた。
恐るべきは、その速射と命中精度の高さであった。
もともと竜騎兵の戦いは、竜の超絶した戦闘能力に依存するところが大である。
その意味において属性竜たるフレイヤを駆るローザリアの優位性は言うまでも無いが、彼女は更に自らの戦技を上乗せしたのだ。
もともとドレストス王国と言えば、騎射戦術に長けた国柄である。
当然ながら騎射はローザリアも得意であったし、これならば竜の上でも可能ではないか――と思ったのだ。
その結果は、大当たり。
もともと知能の高い属性竜であれば、意思の疎通が言葉でも可能。
となれば両手を放しても、全く問題無い。
加えて近づく敵には竜の意思で炎を吐きかけるから、ローザリアの射撃を邪魔する者も掃討出来るのだ。
今もウィリスに近づく敵兵を牽制しつつ彼の上空へ行き、ローザリアが矢を射かけていた。
当然敵もローザリアに矢を射かけてくるが、地上から迫る矢など、竜の羽ばたき一つで落下していくだけである。
しかも――そのローザリア、魔法の素養まであった。
炎はシェリルに学び、水系統はイゾルデに学んでいる。
こうなると、さながら空飛ぶ一人要塞。
図らずもウィリスと同等に、無双してしまうローザリアであった。
(なるほど。確かに敵にとっては不死兵と同じ程に、竜騎兵も恐ろしい存在であろうな……)
一人納得しつつ、彼女はウィリスの注文である戦斧を竜の身体から外す。
必要と思われるウィリスの武器を、一通りフレイヤの身体に鎖で括り付けてあるのだ。
他にあるのは槍が二本と大盾、そして大弓である。
戦斧は戦う為というより、跳ね橋を持ち上げている鎖を断ち切る為に必要な武器であった。
「戦斧――落とすぞ、ウィル!」
「おうッ!」
カチャリ――と音を立てて、留め金を外す。
すると極太の刃を双方に備えた巨大な戦斧が、ぐるぐると縦に回転して地上へ落下した。
地上ではウィリスが、未だ群がる敵兵を戦鎚で破砕している。
ローザリアは、一体どうやってウィリスが戦斧を取るのか気になった。
というか、彼の頭上に落ちたらどうしよう――などと不安に思っている。
だが、そんなことは杞憂であった。
ウィリスは助走を付けて飛び上がると、敵兵の頭に足を掛け、更に高く飛んだ。
そのまま下に群がる敵兵に戦鎚を投げつけると、空中で戦斧の柄を掴む。
戦斧を身体と垂直に持ったウィリスは、中空で縦に激しく回転。誰も彼に近寄れない。
さながら刃の付いた車輪――といった様子だ。当然、間近にいた敵兵は身体を縦に割られ、次々と絶命していった。
◆◆
ウルド=シラク連合軍が夜襲を仕掛けてきたとき、ミリタニアの上将軍ラシードは転寝をしていた。
このところ彼の睡眠時間は激減している。六時間起きていては三十分眠り、その後三時間起きて一時間眠る――といったような調子だ。
王都スカイハイを囲まれて以降、当たり前だが彼の心が安らぎを得た事など無い。
ラシードは将軍らしく豪放磊落に見せようとしているだけで、実際は責任感が強く忠誠心にも厚い男であった。
「将軍! 夜襲です!」
部下が駆け込んで来た足音で、ラシードはすぐに目を覚ます。
しかし――飛び起きたとあっては、いかにも狼狽えているように見えるだろう。
ラシードは部下がもう一度「夜襲です!」と叫んで、ようやく目を開けた。
「そういうことも、あるだろうな」
落ち着き払い、立ち上がって溜め息を吐く。
「……まったく、迷惑な敵だ」
殊更ぼんやりして見せるのも、部下を安心させる為であった。
けれど、そんな態度に反してラシードの指揮は迅速である。
防壁上へすぐに上り敵の陣容を見据えると、ラシードは矢継ぎ早に命令を下した。
「矢を構えよ! 数で押し負けるな! 投石機、すぐに稼働できるな!? だが……敵は歩兵を下げている。これなら様子見だろうよ!」
言ったものの、ラシードは釈然としない。
なぜ敵が今、攻めて来たのか?
様子見であれば、昼間でも良かったはず。
ならばやはり、総攻撃だろうか。
だが……歩兵が後方にいるというのは理解しがたい。
また彼我の兵力差を考えたとき、無策での総攻撃など有り得ないだろう。
僅差とまでは言わないが、こちらにも勝機のある兵力差である。
となれば問題は魔術師だ。
そこまで考えて、ラシードは声を張り上げた。
「魔術兵を集めろ! 防壁をさらに展開! 雷帝級の魔術師が敵には、まだいると思えッ!」
その瞬間“ドゴォォォォォォン”と地鳴りのような音が響く。
ラシードの眼下、防壁に無数の炎がぶつかり、メラメラと燃えていた。
「早いな……くそッ」
ラシードの額に冷や汗が浮かぶ。
今日を凌がなければ、スカイハイは終わりであろう。
冗談ではなく、主都が落ちる……。
「将軍! 北門も激しく攻められているとのこと! こ、これは総攻撃ではありませんか!?」
「ああ、だが……敵には正面切って四方を攻める兵力など無い。だとすれば、何らかの意図が隠されているはずだが……」
「意図、ですか? それは一体?」
「分かれば苦労などせん。だから兵には伝えるな。ともかく我らは西門を死守する。というより、それ以外に手が無いからな」
「は、はい……!」
ラシードは正面を睨み、敵軍の動向を探る。
夜の闇の中で、陣形が動いていた。
騎馬隊が弓隊の後方まで上がってきたらしい。
これは、おかしなことだ。
城を攻めるのなら、防壁を突破せねばならない。
となれば本来、前に出すべきは歩兵であろう。
何故なら騎兵が突入する為には、門が開かなければならないからだ。
ラシードはそこで、ようやく思い至った。
「空に変化は無いかッ!?」
部下は唖然として、首を左右に振る。
「あの……閣下。ウルド軍に竜騎兵はおりませんが……?」
「いいから、警戒しろッ!」
ラシードの読みは正しかった。
慌ただしく駆け込んできた伝令が、自身の正しさを伝えている。
しかし正解を導き出したところで、与えられるのは苦難だけだ。
「将軍! 敵が直上から来ました! 竜騎兵ですッ!」
完全に後手に回っていた。
ラシードは激しく脳を回転させて、打開策を導き出そうと考える。
「竜騎兵は何騎だ? これがゲディミナスのソテルであれば――」
ラシードは急いで望楼へと上った。
既に西門の内側でも、炎が渦巻いている。
外に魔法の炎――内に竜が吐き出した炎だ。
ここまでくれば、敵の狙いは一目瞭然。ラシードは新たな命令を発した。
「門を死守しろ! どれほどの犠牲を払っても構わん。侵入した敵を、必ず倒せッ!」
壁の外側にいる敵は門さえ開かなければ、どうとでもなる。
だからまず、優先すべきは侵入した敵の始末であった。
しかし望楼から門の内側を見たラシードは、言葉を失った。
目抜き通りに、兵士達の無惨に潰れた死体が転がっている。
いや――現在進行形で死体は量産されているし、兵達はもはや潰走といえる惨状だ。
「侵入した敵は、どれほどか?」
「竜騎兵が一騎と、黒衣黒甲の兵が一人です」
ラシードは望楼の手摺をドンと叩いた。
木製の手摺はラシードの圧力に耐えられず、メキリと異音を立ててひび割れる。
自身の眼にも、一人と一騎が映っていた。
彼が信頼を置く部下の一人が、為す術もなく吹き飛ばされる姿も見た。
その部下は試合において、ラシードでも苦戦する程の手練であったのに……。
「閂が破壊されました! あの男……次は――跳ね橋の鎖を断ち切りに向かっているようですッ!」
伝令の声が、ほぼ悲鳴に変わっている。
「見ればわかる……」
ラシードは眼下で巨大な戦斧を振り回し、味方の兵を雑草のように刈り取る黒甲の戦士を見つめていた。
戦えば、確実に負ける――だが……。
どうせ負ければ、戦犯だ。良くて斬首――悪くすれば、一族郎党皆殺しである。
ミリタニア最高の将軍となる夢は、ここで潰えるのか。
そう思ったが、ラシードは満更でもなかった。
あの黒甲には、見覚えがある。
不死隊の隊長、ウィリス・ミラーだ。
ローザリアの配下になっているはずだから、見間違いではないだろう。
世界最強の男と戦って死ぬなら、武人の本懐であった。
「俺の槍を」
ラシードは部下に言い、階段を降りる。
槍を受け取り階段を一段降りるごと、ラシードの胸に去来するものがあった。
幼い頃、世界最強の将軍を夢見たあの日……。
惰弱な王を戴き、煤けてしまったかのように思えた自分の心。
だが、そうではなかった。
沸々と沸き上がる闘志が、少年の頃の自分に戻してくれる。
ならばこそ……。
臆病者と誹られ生きるより、死して名を残す方がまだマシだ。
仮に家族が生き残ってくれるなら、なおのこと……。
「勝って最強になるぜ……けど負けたら……」
苦笑するラシードの瞼の裏には、幾人かの顔が浮かんだ。
年老いた母には、なんと詫びれば良いだろう?
妻は俺が死んだら泣くだろうか?
十二歳になる息子と八歳になる娘の将来を、見る事が出来ない悲しさが背中を包む。
ああ、娘が嫁に行く姿を見る事が出来ないってなぁ……父親としては失格か。
それでも息子なら、分かってくれるだろう。
最強の男に挑む、この父の気持ちを……。
だいたい、勝てば良いのだ。
勝てば国は滅びず、自分はウィリス.ミラーを倒した男として最強の名を手にする。
そうなれば、名実共にミリタニアの大将軍となるだろう。
そこで思い出した様に、ラシードは伝令を呼んだ。
もちろん勝つつもりで戦うが、負ければ自分は死ぬ。
死んだとしても、将としての責任は残るのだ。
無責任に死ぬ事は、将として不名誉なことである。だからラシードは、こう言った。
「俺が死んだら、王に伝えてくれ。潔く降伏されたし――とな」
「将軍ッ!?」
「どうせな――あの王の為に命を途して戦おうなんて酔狂な将はいないだろう? それに泥沼の市街戦になってみろ……多くの者が死ぬ。王だって名誉や矜持の為に死ぬ様な方ではあるまいし、だったら降伏なされば良かろうと――そういう訳だ」
「ですがッ、でしたら将軍はッ!?」
「だから、万が一の場合だ。俺がアイツを片付けりゃ、それで良いだろうが。あ、お前……俺の強さを疑ってんのか?」
「い、いえ……」
「よし。じゃあ結果を見て、それから行け」
外に出ると、ラシードは愛馬に跨がり槍を扱く。
ともすると恐怖に震えそうになる自分を鼓舞し、馬の横腹を蹴った。
自分とて、ミリタニア最強を自負する男なのだ。
すぐにラシードは、ウィリス・ミラーの前に立ちはだかった。
「俺はミリタニアの上将軍ラシードだ、この門を預かっている」
言うや、剛槍を一閃。ラシードの槍先がウィリスの眉間に迫る。
ウィリスはラシードの槍を斧で弾き、馬上の男を睨み据える。
「俺を――兵で囲まんのか?」
「何人で囲もうが、無駄だろう」
「そうか。それで一騎打ちか?」
「ああ、そうだ。俺は門の守将だし、お前が死ねば門は開かん。悪く無い勝負だと思うがな?」
「死にたいのか?」
「死ぬのは貴様だ。さっさと名乗れ」
「……ウィリス・ミラーだ」
「やはり! ――相手にとって不足無しッ! 勝負ッ!」
ラシードは口元を綻ばせ、馬腹を蹴って槍を繰り出した。
面白いと感じたら、評価、ブクマ、感想、宜しくお願い致します。
作者のやる気が上がります!
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