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世界の管理人さん  作者: 三本目の靴下
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管理人との接触

なだらかな丘には、数えられないほどの草が生えていて、遠くには森林とその先には山が見える。

丘には、誰か働き者が草をせっせと抜いて作ったかのように一本道のハゲた道が通っている。

その道を一人の少女が歩いている。

いや、正確には歩いていた。

少女は揺れている地面に気をとられ、歩みを躊躇っているのだ。

幼女から少女に変わったばかりの彼女には、背負っているランドセルの中身の重さにまだ慣れていない。

地面の揺れでランドセルに身体が振り回されないように気を付けている。

だが彼女が歩みを止めている理由はそれだけではない。

今から目の前を通り過ぎる『揺れの原因』をじっくりと見るために彼女は歩みを止めているのだ。

『原因』の正体は知っている。

しかし、彼女はそれを遠くから見た事はあるが、じっくりと間近で見たことはない。

それこそ、今彼女の位置から遠くに見える山との距離程度では見たことがある。

二つ先の丘の向こう側から『それ』は徐々にこちらへ向かって来ている。この距離でもその片鱗が見えるその物体はとても巨大で、そして明らかに自然界の動物の動き、色をしていない。全体的に加工された鉄の色を剥き出している。

総合的に周りの自然から明らかに浮いている。

一つ先の丘の向こう側まで来た『それ』は最早動く要塞の様に見える。2つの足でその身を支えながら進み、体と頭を区別することの無い球体の身体。そして、その球体を滑る様に移動している眼は動く物を必ず視界に捉える為に無駄なく動いている。

彼女がその姿に見入っている間に、そのノロマな動きとは裏腹に、いつの間にか彼女のいる丘までまで来ていた。

彼女は立ち尽くしながら、改めてその大きさに驚く。

今まで木や山などと比べてその大きさを視認していたのだが、

自分と比べる事により視認は『実感』へと変わった。

森林の中にいた鳥が羽ばたくと、その球体に乗っている光る眼は素早く球体を滑り蝶を捉える。

眼はいくつもあるが、動いたのは一個だけだ。

その他の光る眼は球体の、身体の中心線を作っている。

さっき動いた眼も鳥と認識するやいなや、すぐに中心線に戻っていった。

大きな地響きを鳴らしながら、彼女の隣を過ぎようとしているが、『それ』の眼は彼女をまだ捉えていない。

彼女はそのまま動けずに黙ったまま、意識を『それ』に奪われたままでいたのだが、

「……これが…管理人さん」

と思わず、口に出してしまった。

その瞬間、『管理人さん』と呼ばれたその眼は鳥を捉えた時と同じ様に素早く彼女を捉えた。

そして、その大きな、大きすぎる、彼女の何百倍もある身体の動きを止めた。

彼女はビクッと身体を強張らせた。

彼女も大人たちから「管理人は危なくない」と聞いている。

しかし、子供たちの間ではそんなことはお構いなしで様々な噂が飛び交っている。

その噂のほとんどは良くない噂ばかりだ。

ジー…ジージー…

機械音が少し流れ、機械音はやがて有声音へと変わった。

『ハロー…チャオ…ハイオニ…コンニチワ…ボンジュール…オーラ…ホイ…アッサラーム・アライクム……』

様々な挨拶が不完全な発音で流れている。

「コ…コンニチワ…」

彼女はつられて、思わず不完全な発音で返してしまった。

『コンニチワ』

「…コンニチワ」

管理人にとっては、言語確認を再確認する為に再度挨拶したのだが、

彼女は萎縮してしまい、再び挨拶を返した。

『スコシ、オタヅネシタイノデスガァ?』

疑問形のつもりなのだろうか?語尾がおかしくなっている。

『ココワ、ニッポンデスガァ?』

「え?…あぁ…はい。日本です。」

『アリガトウゴザイマス』

そう言って管理人は再び眼を中心線に滑らせ、全ての眼を前に向け、大きな音を立てながら歩き出した。

彼女はこの日初めて、管理人に出会い。管理人の存在を実感した。

地球を管理する存在、管理人。

彼女は管理人の姿が見えなくなるまで眺めて、我に返った。

「あっ」

腕時計を見ると学校に遅刻しそうである事に気がつき、走り出した。

ふと視界の端、森の中に再び不自然な物を見つけた。

そこにあったのは、かつて人間が使っていた戦車と呼ばれる乗り物の残骸だった。







学校に向かう途中に巨大な『管理人』と呼ばれるロボットに出会った少女。

これから、どうなるか構想はまだ不完全ですが、おおよそ決めてます。

もしよろしければ、たまに見てやってください。

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