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春のいろ
春は軽いろ。
風もなく。
光もやわく懐かしく。
柿の木は明るいみどりで勢ぞろいして。
ひなげしはぽっと赤く背伸びして。
あのお山にも命満ち。
山影のツツジ妖しく光り、
稲妻のような紫のいろ。
うなだれて上目遣いのユリの口、
艶めく真珠の白のいろ。
山野に命は萌え。
日向あたりの陽炎に、
春の命が燃え。
ff
はるかすみ西に流星果つるのみ
やがては今か今は幻
春野山獣らの足跡ばかり
花がさくさく山が喰われる
鮒娘のっこむ飛沫ばばばばば
少女は娘に娘は母に