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最後の黄昏
九藤 朋さん主宰 黄昏時コンテスト参加作品です。
*おまけは除外。
最も哀しき冬の姿は黄昏の窓辺
消えかかる空の最後の冬にまろやかな音が響き渡る
彼女は死ななかった唯隠れていった
雪国の蜥蜴のように
真っ暗な岩陰に潜み唯黙って待ち続けるだろう
春去りて雨の終わりに
夏は死に秋は裸に散り急ぎ
そうしてふたたび冬来たるのを
わたしは忘れない
その白い横顔を冷たい吐息を
そして決して媚びることの無かった眼差しを
ffおまけ
やわらかなひかりのどけきたそがれに
かげはわすれじふゆをわすれじ
寒さの中で悲しみは自由だったのです。
それが緩み人々の間に軽やかさが戻るころ、悲しみたちは行き場を失い彷徨い始めます。
また冬を待ち、暗い影に潜むことが出来ればいい。でも、そうでないものたちもいて、それらが春の狂気として湧き出てくるのです。