表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
七章 四国対戦
79/120

第七十八話 ボス級の登場

 第七十八話 ボス級の登場


 スカラの目の前に現れたのはサイロスカリウスという高さ四メートルほどのサイのような生き物であった。何もいうまでもなく巨大な特徴は大きな角だ。シウホーン、イノロクとも比べ物にならず、ベーアクスよりも大きいその生き物は討伐リストでも百コンクものであった。


「えぇ!? テル? 俺を残すなよ!」


 スカラはその場から逃げ始めた。しかし 、その巨体からは考えられないほどのスピードでサイロスカリウスはスカラに突撃してきた。

「やばいって! ガスボム! エクスプロージョン!」


 スカラは自傷を恐れず、自分の近くで爆発させることでサイロスカリウスを避けた。しかし、サイロスカリウスも諦めず追撃してくる。

「マジで! テル!」

 しかし、もちろん輝はそれほど早く戻る頃もなく、スカラは魔力と体力を心配しながらもサイロスカリウスの突撃を何度もガスボムを用いてなんとかというレベルで避けていた。



 その後もいくつもの追撃を避け切ったスカラは一人で人の住む移住地区に逃げ切った。

「ふぅ、でもテルがもしかしたら……仕方ないか……今は回復優先か……俺の機力もそろそろ切れてもおかしくないしな……」



 サイロスカリウスも流石にスカラをそれほど追ってはこなかった。実際にサイロスカリウスは縄張り意識からの攻撃であったため、範囲外に出てしまえばそれほど攻撃的ではなかったのだ。しかし、そのようなことを知らないのは当然であった。





 そして、丸ごと時間帯が現実では変わる頃、輝の機力が回復していた。

「(えぇ!? どうなった? スカラは?)」


 しかし、輝はサイロスカリウスの縄張りにいることを知らない。

「(さっきのでかいのはどうなった? 一人で倒したわけないよな……)」

[テル!]

「(なんだ?)」

[魔力も回復してますよ]

「(おぉ、いいじゃねーか)」


 輝はしばらくスカラを探すためにうろちょろしていた。そう、そして運が悪くもサイロスカリウスの縄張り内でだ。


 そして、大きな足音とともにやってきたのはサイロスカリウスだ。輝は目前にして唖然とした。

「(こいつはデカすぎる……こいつがあの百コンクのサイロスカリウスってやつだろうな)」

[おそらくそうですね。それよりよく覚えていましたね]

「(稼げそうだと思ったからな……でもな……)」

[逃げますか? それとも?]

「(いけるか?)」

[どんな香りが好きかによりますね]

「(くそ)」

[でも魔力は上がってますよ]

「(えぇ!? 回復だけじゃなくてか? ほんとだ……)」


 輝の魔力はXXIIIからXXVII、つまり二十三から二十七にいつの間にか上がっていたのだ。しかし、輝に判断の時間を与えるほどサイロスカリウスは甘くない。スカラの時、同様にサイロスカリウスが突撃してきた。


「(やばい!)」


 輝はなんとかというところで避けた。

「(もしかしてスカラはこれで……)」

[今はそんなことよりも!]

「(そんなことだって!)」

[いや、まだきますよ!]

「(ほんとだ! やべ!)」


 輝は逃げる道を失っていた。入り組んだ道の先の行き止まりだ。

「アンチ・フルーツフレグランス!」

 甘い果実の香りとは相反して、異体の知れない今日れるな刺激臭が発せられた。

「(どうだ?)」


 サイロスカリウスは香りからか首をふり香りを振り切ろうと試みながらも輝に突撃しようと助走をかけた。

「(効果はあってもってことか? じゃあ、せめて)アンチ・フルーツフレグランス・アタッチド! ラベンダー! (サイロスカリウスに!)」


 サイロスカリウスの猛攻は変わらない。輝は必死に最後の魔力を振り絞った。

「フルーツフレグランス! ラベンダー!(これで最悪瀕死になっても多少は回復が……)」


 サイロスカリウスはスペードを抑えるどころか、加速して輝の方へ突進。輝は目を瞑って、屈み込んだ。


「グォーーーー」



 とその瞬間、

「テル! これは俺の最後の魔力だ!」

「スカラ! お前生きてたんか!」

「ガスボム! エクスプロージョン! ガスボム! エクスプロージョン! ガスボム! エクスプロージョン!」


 スカラは現れたと思いきや、倒れた。魔力ぎれとともに走ってきたスタミナ切れでもある。


「ドーン、ドーン、ドカーン!」


 サイロスカリウスは香りを避けるため、体を小刻みに動かしていたせいもあるのか、爆発でバランスを崩して横たわった。


[テル! あの武器で!]

「(そうだったな、これで!)」


 輝が存在を忘れていた剣は輝の香りで腕の長さほどになっていた。

「これで!」


 輝が走り出した時、サイロスカリウスが首をふり、輝を振り飛ばした。

「(くそ!)」


 輝が起き上がった時、サイロスカリウスは巨体を自身で持ち上げた。しかし、もう輝の方を見ていなかった。サイロスカリウスはスカラを敵視したのだ。


「グォーーーー」


 サイロスカリウスはスカラへの突撃のために助走をつけていた。



「うりゃー!」


 輝はサイロスカリウスの後ろから剣で突き刺した。サイロスカリウスの尻に突き刺さった輝の剣はサイロスカリウスについた香りを吸ってさらに長くなった。サイロスカリウスは助走を止めたが、平然としていた。


「(これでもか……)」



 輝が諦め剣を握る力を弱めた瞬間、サイロスカリウスは尻を振って輝を吹き飛ばした。


「グォーーーー」


 サイロスカリウスは輝の方を見つめている。


「なんだ! 早く殺せよ!」


 しかし、サイロスカリウスは動かない。


「もう同情なんていいんだよ!」



「ドサッ……バタン」

 サイロスカリウスが倒れた。



「(えぇ!?)」

 輝は唖然としながらもサイロスカリウスを飛び越えてスカラの方に向かった。

「スカラ! 大丈夫か?」

「あぁ、だけど多分そろそろ機力が切れる」

「安心しろ! あいつは……」

「あぁ、やったんだろ! 賞金は半分ずつだからな」

「あぁ、もちろんだ。もっとやってもいい」

「はぁ? そんなのいい訳ないだろ」

「言うと思った。じゃあ、また数時間後に」


 スカラは機力切れで消えた。特に問題はない。しかし、輝は再びサイロスカリウスの方を見に行った。

「(本当に倒したんだな)」


 輝はサイロスカリウスの尻から短くなった剣を抜いて、頭部に向かった。

「(この角売れそうだけどな)」

[密猟ですか?]

「(ちげーよ)」


 輝は角を撫でて見せた。そして、討伐リストを見た。

「(えっと、これはサイロスカリウスであってるよな)」


 しかし、サイロスカリウスのところ、まして他にも数が増えた様子はない。

「(えぇ!? これ討伐に入らないのか?)」

[いや……それとも……]


 輝はサイロスカリウスを見た。すると、サイロスカリウスの目がゆっくりと開いた……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ