第七十一話 本から学ぶという事 一部
第七十一話 本から学ぶという事 一部
輝は歩いていると人が本当出てくる店を見つけた。
「(なんだ?あそこで本を売ってるのか?)」
輝は近づいてゆき、賑やかな店の中に顔を入れると、多くの人が本を買っていた。それも、本がわからない封筒に黒い入った本を買っているのだ。
「(内容がわからないのに買っているのか?)」
[不思議ですね]
輝は店に入らず、店から出ていく人たちに話しかけた。
お金の十分にある大剣を担いだザ・ベテランの姿だ。
「あの……」
「おぉ、なんだ?」
「それは……」
「なんだ? あぁ、この本ことか?」
輝は頷いた。
「まだ、この街は初めてか? そうだな、これは安価な本なんだが内容がわからないんだ。自分にあった本かもしれないし、そう出ないこともある。運次第ってことだな」
その男は大声で笑った。
「でも…そのいらなくなった本は…」
「安価って言ったが、そうと入っても十コンクするんだ。そして、本を店で売ると五コンクで絶対に買い戻してくれるし、だがそれは本を開かなければの話だけどな」
「えぇ?本を開くとどうなるんだ?」
「そんなことも知らないのか?本人にしか読めないようになっているんだ。だから他の人かたしたらただの白紙の紙になるってことだ」
「それであなたは今何を?」
輝は目を輝かせながら言った。
その男は袋から本を取り出すと、悔しそうな顔で輝を見た。
「また、ハズレだ」
「ハズレ……?」
「また、これだよ」
輝が見せられたのは、「ラベンダーの香り」というものであった。
「(これってもしかして!)あの、よかったらその本売っていただけませんか?」
「なんだ、こんな本が欲しいのか?」
「まぁ……」
「そうだな、それでいくらだ?」
「六コンクでどうですか?」
「いや、これはやるよ」
「でも…いろいろなことも教えてもらったし……」
「そんな気にするな、じゃあ一コンクぐらいはもらっておこうかな?」
輝はタルンに渡された封筒の中身を見た。中には、百コンク札が一枚、そして五十コンク札が一枚入っていた。
「(これはどうすれば……)あの……」
「なんだ? お釣りがないとか言うなよ」
「その通りです……」
「仕方ないな」
その男は輝の五十コンク札をとったかと思うと、五コンク札八枚と一コンクコイン八枚を輝に渡した。
「これでちょうど八冊分の六コンクだな。お釣りがないから、ニコン区もらっておくぞ」
「はい!」
輝は微笑みながら言った。
「(やばい、この人超優しい)ありがとうございます」
「そんなに言うな、またどこかでな。もしかしたら戦場でかもな」
その男は大声で笑いながら街の大通りを塔方向へ歩いて行った。
「(多分、塔に行くのかな)」
[強そうですものね]
「(でもなんで今更……)」
[そろそろって思ってお金を使っていたのじゃないですか?]
「(それにしてもいい人だったな)」
[これが現実ともなると話は別なのですけどね]
輝は早速本を読み始めた。
[ラベンダーの香り]
「(でもこの名前からすると、フラワーフレグランスに近いよな?)」
[でも、フラワーフレグランスは甘い花の香りってイメージがありますよね。ほら、ここに書いてあるます]
「(俺は読めないから! でも、前の本はなぜか日本語で書かれていたよな)」
[ラベンダー、これはリラックス効果のあるパフュームで、近くにいる人の体力の回復、精神力の上昇などの効果があるそうです]
「(すごくね)」
[この魔法は、香り魔法フラワーフレグランスの派生で、フラワーフレグランスについては香り魔法入門二にてと書いてあるますね]
「(じゃあ、その魔法をあの魔女から教えてもらったのか!)」
[そう言うことになりますね]
輝のスターテスにはすでに“ラベンダー”は加えられていた。フラワーフレグランスから線が引かれていることから派生を表しているのだろう。
[ラベンダー:I]
「(何これ、コスパ高くね!)」
[そのようですね]
輝は早速道の端で使って見た。
「ラベンダー!」
しかし、何も起こらなかった。
「(どうなっているんだ?)」
[本を開いてください、まだ読み終わってません]
「(はいはい、読めるよアピールいいから)」
[じゃあ、読みませんよ!]
「(トク、お願い)」
[派生魔法は元々の魔法の後に唱えるようですね。また、コストも書かれているものが、元々の魔法に加算させるようです]
「(てことは、フラワーフレグランス! ラベンダー! って言って、消費魔力は三ってことだな?)」
[そう言うことになりますね]
輝は改め直して、魔法を唱えた。
「フラワーフレグランス! ラベンダー!」
すると、輝にも香り覚えのある、あのラベンダーの爽やかな優しい香りが広がった。
「なんだこの匂い?」
「これってラベンダーじゃね」
「すごいいい香り」
輝はいかにも自分がしたのではないように他人ヅラをしながら、人の意見を盗み聞きしていた。
「(これは使えそうだな、体力とかにも効果があるって書いてあったしな)」
[次に当たりますか?]
「(そうだな、バンバン行こう!)」
輝は店から出てくる人に片っ端から話しかけた。
「あの、どのような本が当たりました?」
ほとんどの人は答え、必要なら輝は六コンクで買取。たまに、輝を拒絶する人もいた。しかし、随分の時間が過ぎて行くにつれて、輝は八冊の本を手に入れることに成功した。
「(ヨッシャー! ついに八冊!)」
[そろそろ休憩をとっては?]
「(そうだな、読むのは後でいいか)」
輝はログアウトをして、現実に帰ると、外は暗く、すでに真夜中であった。
一年三十日目・ジュライ十日
輝は昼過ぎに目を覚ました。
「(やべ、サクラと会うんだった!)」
輝は急いでログインすると、昨日の街中に戻った。輝は急いで初心者ギルドのある街外れに走って行くと、そこにはサクラの姿があった。しかし、サクラの服は綺麗な新品の着物のような服で、長い刀を腰に差している。
「それは……」
「これ? いいでしょ、結構稼げたからっと思って買っちゃった」
「(結構って、かなりだろ)……」
「それで、百コンクは溜まってるんだよね?」
「はい、ここに」
輝は封筒を取り出した。
「ほんとだね。結構大変だったよね。でもここまでこれたなんてほんとすごい!」
「いや……(迷子になっただけだし)」
「それより、スターテスはどんな感じ?」
「えっと……」
輝はしばらく注意を払っていなかったスターテスに目を向けた。
「えぇ!」




