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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
七章 四国対戦
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第六十四話 契約の執行

 第六十四話 契約の執行


「俺と契約しないか?」

「えぇ?(なんだよ、この適当な展開)」


「なんだ? 悪魔との契約なんてできないぞ!」


 悪魔は輝をどやす様に言った。


「でも偉そうだしな、めんどくさいし……」

「……」

「あと、俺になんの得があるんだ?」

「俺はお前を殺せなくなる」

「それだけか?」

「……俺を好きな時に召喚できる」

「他には?」

「俺の力が戻ればこんな結界なんて簡単に壊せるさ」

「ん? 大きさは変わるのか?」

「いや、召喚された時点で決まるんだ」


 悪魔は半分悲しそうに言った。


「わかった」

「本当か?」

「だが、どうやってやるんだ?」

「俺を殺せ」

「えぇ?」

「あぁ、俺を殺したら、お前が契約主になるんだ」

「でも……」


 悪魔は立ち直って言った。

「俺を今までに殺したのは紫龍だけだ」

「それで?」

「契約主が死ぬと、俺は涙になって契約が終わる」

「だから瓶に入っていたのか!?」

「そうだ」


 照はしばらく考え込んだ。

「てことは、紫龍は一匹だけじゃないのか?」

「いや、一匹死ぬと、どこかで一匹増えるんだ」

「なるほど……」



 今度は照は長めに考えていた。

「それで、お前はどうやって殺せる?」

「魔法使えないのか?」

「パフュームしか……」

「あのいい匂いはお前からだったのか!」

「そうだけど……」

「それでこの結界は?」

「魔女のだ」

「その魔女とやらは……」

「多分見捨てられた……」

「なら……」


 悪魔は考え込んだ。


「お前に一つだけ俺を殺す方法がある」

「それは?」

「俺の首を絞めろ!」

「でも……」

「なんだ?」

「そんな簡単にできるのか?」

「あぁ、俺には硬くする力もないからな。だが、契約した暁にはお前の魔力を使わせてもらうからな」

「……」


 輝は特に何も考えずに、悪魔の首を絞めた。力一杯、顔を背けながらだ。


「(死んだか?)」


 輝は悪魔の方をみると、ピンピンしていた。

「あれ?」

「なんだ、こんなもんか?」

「いや……」


 輝は再び力一杯、首を絞めた。

「(今度は?)」


 悪魔はビクともしない。


「足でもいいか?」

「なんだって?」

「足で首を絞めるんだよ」

「やめろ! それは汚い」

「だけどな、俺の腕力はVに対して脚力はVIIIなんだぞ」

「なんだ、その数字の羅列は。わかった、好きにしろ!」


 輝は再びしゃがみ込んだ。そして、両足で悪魔の首を挟み圧力を加えた。


 そんなことをしている間に、なぜただ結界から輝が出られないか説明しよう。魔女はもともと広大な土地に結界をかけた。その理由は、輝を混乱させるため。結界内にいるときは、魔女の幻術があるため、いかにも同じ場所に戻ってきているようだが実際は結界の区域を抜けてしまえば、輝は抜け出せたのだ。しかし、輝が現在いる結界は小さい代わりに、壁のような結界で外に出ることができないのだ。つまり、結界の種類が変わっていたのだが、こんなのとを輝は知る由もない。


 そんなところで、輝が首を両足で挟むこと数十分、悪魔の体が揺さぶり始めた。



「(効いてきてるのはわかるけど、時間かかるな)」



 そして、また数十分経つと、悪魔は動かなくなった。



「(これってもう、死んだのか?)」

[死んだら、消えるのではないでしょうか?]

「(そうだよな、多分)」



 そしてまたまた、数十分。突然、悪魔は消えた。

「あぁ! やっと」



 しかし、同時に輝の方も限界がきたようで、強制ログアウト。機力切れであった。


 輝は目を覚まし、そのまま食事も食べず、眠りについた。



 一年六日目・ジュン二十日


 輝が起きると、昼食が部屋に届けられていた。そうだ、輝の起床した際にはすでに昼だったのだ。


 輝は疲れが残っていることもわかっていながら、食事を食べた。

「(昨日、悪魔を殺したところで終わったよな……)」

[そうですね]

「(なんか、疲れてんな)」

[昨日はなかなかインテンセィブでしたもんね]

「(なんだよ、急に横文字使って、でも機力は上がったと思うよな)」

[そうかもしれませんね、それかダルク先生が言っていたように、変換効率が上がったのかもしれませんね]

「(急に難しいこと言うな、俺はこっちの世界でも知力はIだぞ)」

[自慢になりませんよ、後私がついてますからね]

「(いや、否定しろよ。そこまでばかじゃねーよ)」



 そんなゆったりとした昼食を終えた輝は、E-gameに戻ることにした。


 輝はイアホンを耳に装着、ログインからの、四国戦争のゲートへと直行。もう、お手の物だ。



 輝がゲームに戻ると、終了した場面、つまり悪魔を殺した場面に戻った。



 輝はスターテス画面を確認した。

[あれ、魔法の欄に悪魔ムリュウ:Vがありますよ]

「(ほんとだな、試してみるか)」


 輝は立ち上がった。


[いや、ちょっと待ってください]

「(なんだよ?)」

[スターテスが上がってますよ。腕力:VI、脚力:X、精神力:III、知力:I、魔力:XI]

「(ほんとだなって、知力下がってるよな)」

[はい、そのようですね……]

「(なんだよこのゲーム……)」

[魔力が上がっているからいいじゃないですか]

「(そうだよな、ポジティブにな)」



「悪魔ムリュウ!」



 何も起きなかった。


「(あれ?)悪魔ムリュウ!」



 しかし、何も起こらない。



「(どうしてだ?)」

[合言葉とかがあるのでは?]

「(そんなんことは聞いてないぞ……)」

[私もですよ]



 輝はしばらく立っていた。



「(いや、でもおかしいよな)」

[そうですね、なんかそれっぽく言ってみてください]

「(何をだよ、出でよとかか?)」

[いいんじゃないですか?試してみてください]

「(厨二病かよ)」



 輝は決めたようにして言った。

「ここに出でよ、最悪最強の悪魔ムリュウ!」



 すると、輝の目の前に黒い煙が発生し、そこからムリュウが出てきた。

「おぉ!(ほんとに出た!)」


 ムリュウは空中に飛んでいた。

「ヨォ!」

「呪文の言い方ぐらい教えてくれよ!」

「えぇ? なんのことを言ってんだ? てか、さっきの魔法なんだよ、照れるじゃねーか」

「えぇ!?」

「最悪最強だなんて……」

「でもそれを言わなきゃいけなんじゃないのか?」

「お前マジで言ってるか?」

「お、おぅ(どう言うことだ?)」


 ムリュウは笑い始めた。



 そして、トクも同じくして微笑した。



「あのな、お前の魔法がただ足りなくて、召喚魔法が使えなかっただけだぞ。つまり、ただ魔法名をいえばいいんだよ」

「えぇ……でも……(トク?)」

[きっとそうだと思っていました]

「(おい、トク! 俺をばかにしてんのか!)」

[いえいえ、そんな。まず、ムリュウさんお方が戻りたいのにそんな大切なことを伝えないわけがないじゃないですか!]



 そして、トクとムリュウは再び輝を笑い者にした。


「お前ら! ばかにしやがって!」

「なんだ? 俺以外に誰かいるんか?」

[私ですよ!]

「いや、何もない(そうだよな、トクのことは誰も知らなくていいんだ)」

[別にたまにはいいじゃないですか!]


 トクは続けて笑っていた。


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