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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
七章 四国対戦
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第五十四話 新たなる挑戦

この章『四国戦争』は大変長くほぼ別のストーリー(作者も自覚するほど)です。でも、内容はそれほど……?

 第五十四話 新たなる挑戦


 サクラ先生はボードに字を書き始めた。


「(先生だなやっぱり……)」

「それで機力自体は強くないけど、器用なの」

「……」

「だから、魔機はその弱い力をいろいろな方法で強化することができるものなのよ。だけど、今回の場合は、器用さがいるのよ」

「魔機が複雑だから?」

「その通り!」


 サクラ先生は輝に微笑みかけた。

「(意外と先生きれいだな……)」

[いけませんよ]

「(わかってるって、俺が好きなのは…)」

[好きなのは?]

「(……)」

[誰ですか? アイリス? バーナス? レイ? それとも、サクラ先生…?]

「(なんで、ケレンを言わないんだよ! ケレンに決まってんだろ!)」

[よく言った!]

「(なんか上から目線だな)」


 サクラ先生はボードに書き終わると再び説明を始めた。

「それで! 機力は実は多ければ魔法を使うこともできることは知っていたかしら?」

「えぇ!? でもそれは法力じゃないと……」

「言ったでしょ、法力は強いって」

「はい……」

「だから、魔法を起動させるだけの機力を持っているなら魔法が使えるのよ」

「どのくらいの……?」

「A級以上ぐらいなのかな」

「先生、できるのですか!」

「まぁ、私A級魔導師だからね」


 サクラ先生は再び微笑む。

「それで、私にもできるのでしょうか……」

「誰にでも機力さえあればできるのよ」

「でも、それって機力の無駄遣いじゃ……」

「いいえ、私は魔法を起動させるのに器用さはいらないっと言ったわよね」

「はい」

「だからと言って、器用さはいらないというわけではないのよ」

「つまり、器用な魔法になるってことですか?」

「そう、その通り! 魔法でできることが増えるのよ、もちろん集中もかなり具体的にできるようになるのよ」

「だから……器用になって確かに集中という点では興味深いのですが、それ以外に何かあるというわけでないのですね?」

「いえ、集中という点では似ているけど、例えばあなたのメタルを変形させる熱、それが器用になれば、好きな形にできるのよ」


「でもって……?」

「私見ていたわ、あなたのあの武器じゃあ、使い物にならないわ」

「(斬れもしないって言いたいんだろ)はい、わかっています」

「あと、これは自分で知って言ったほうがおそらくいいと思うわ」

「ありがとうございました……」


 二人は静まり返った。


 輝は沈黙に耐えきれず、部屋を出て行こうとしたが、呼び止められた。


「テルくん」

「(なんだよ)はい」


 輝は恐る恐る振り返った。

「E-Gameやってみる?」

「でも……」

「実は私二つ間違えて購入しちゃってね」

「なら(することないし)」


 輝はコードレスイヤホンのようなものを受け取った。


 すると、サクラ先生の隣の席に座らせられた。

「じゃあ、準備はいい?」

「はい」

「それを耳に入れて、横のスイッチを押してみて」


 そう言っている側、サクラ先生も横で耳に入れて、羽織っていた上着を脱いだ。

「(やべ、めっちゃ近い!)」

[テル!]

「(わかっているって)」


 輝は目を閉じると、スイッチを押した。


「(なんか頭いてー)」





「(なんかグラグラする)」




 そしてしばらくすると、輝の頭のなかに、輝がいかにも別世界の光景が映った。


「(なんだここ?)」


 そこは、日本のような光景だった。日本人のような、見た目のキャラクターばかり、輝自身の見た目は変わっていなかった。


「(それでどうしろっていうんだよ)」


 すると、桜模様の着物を着た女性が輝に話しかけた。

「テルくん?」

「えっと……」

「サクラよ、あなたの先生」

「でも見た目が…」


 そう、見た目が全く違うのだ。髪は黒いし、耳元がっていない。日本人のような見た目であった。しかし、頭の上にはしっかりとSAKURAと書かれていた。


「これはアバターよ、それよりテルくん見た目変わっていないのね」

「珍しいのですか?」

「珍しいも何も、普通はないわよ。でも、以外と馴染んでいるわね」

「そうですか……」

「あと、ここでは先生じゃないからね」

「了解しました」

「よろしい!」


 輝には日本に戻って着たようにしか思えなかった。覚えのある光景、何もかもが懐かしかった。

「(もう一年にもなるか……)」


 すると、サクラは輝を引っ張って行った。

「どこに行くのですか?」

「何?ここはただの玄関口よ!ここからがゲームの入り口じゃない」


「(そういう系のゲームか)……」

[テル、ほとんどゲームしたことないのに、偉そうに言いますね]

「(なんだよ、いいだろ)」


 サクラに連れられて、輝はゲートのようなものに面した。

「これは……」

「ここを通るとね、変な生き物が仲間になるのよ」

「えっとそれで……?」

「その生き物はこの中以外でも連れて歩けるらしいから私も楽しみだわ」

「えぇ、先生、違う、サクラはやったことあるわけじゃないのですか?」

「いいえ、本当は彼氏とプレイする予定だったんだけどね…だから二つあったのよ、それで待っていたのだけど、裏切られたからね」

「はい……」

「それで、誰かする人を見つけるまでは、ぷらぷらと見物していたわけ」

「(東京見物なんか?)じゃあ、私はいいところに行きましたね」

「そうね」


 そして、輝とサクラはゲートを通った。すると、農場のような光景に変わった。

「(そういえば変な生き物ってポケットに入るやつとかじゃないよな)」

[懐かしの! それは完全にパクリですね]


 そして二人の服はボロボロの綿でできた服に変わっていた。また巾着のようなものが腰についている。


 中に入ってみると、案内人だと思われる人が話しかけた。

「驚かれました? ここの世界では着せ替え自由、だから最初は最低限から開始します」

「へぇー」

「カップルさんですか?」

「(なんだよこれ……)いいぇ」


 輝が否定しかけるところを遮ってサクラがいった。

「はい、私たちカップルです!」

「それなら限定のハートクッキーがもらえますよ」



 サクラは輝の手を握った。


「(なんだよこれ、そんな限定品とか欲しいんか?)先生!」

 輝が小声で言うと、サクラも小声で言った。

「ここではサクラよ」


 ハート型のクッキーは巾着に入っていた。


 実はこのゲームは、食べ物を使って生き物を仲間にするらしく、そして成長させて行くものらしい。そして、その生き物とともに戦うとのことだ。また、その食べ物を買うためには、働いて稼ぐなどもしなければならないらしく、単純に楽しいばかりではないようであった。


「それでこれからどうします?」

「さっきはごめんね」

「いえ、これもらえましたし」

「そうだよね、限定とか言われたら本当にね。一緒にきてよかった」

「もしかして知っていたのでは?」

「……」

「だから私を連れてきたのですね」

「……」


 サクラは顔を赤くして、隠した。

「そうよ」


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