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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
六章 一年最終試験
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第五十三話 ベルトの真の顔

第五十三話 ベルトの真の顔


教室のある生徒が発言した。

「疾風のベルトってA(プラス)級魔導師のはずでは?」


「その通りよ」

「ですが、確かにC級魔導師と…そして師匠がB級だと……」

「いいえ、彼の師匠は正真正銘の魔導師様だったはずだったわ」

「……(どうなってんだ)」

「一様言っておくと、彼は魔法協会副会長なのよ」

「えぇ……(副会長!)」

「それも知らなかったようね……」

「……(まじか)」

「最後にこれも知らないといけないわ、彼の本名はベルトじゃないってことをね」

「はい?(ベルトじゃない?)」

「彼はベルトリアルという名前で私の先輩なのよ」

「ほう……」

「まぁいいわ、よろしくね」

「よろしくお願いします」



「それで、今日から八月の初めまで授業ないから、部屋に戻っていていいわよ。三人に言っておくと、A組は基本個人部屋だからね」

「(すげーな)」

「みんなの荷物は全て移っているはずだから、三人には空いている部屋に入ってもらうわね」

「(よっしゃ!)」

「あと、食事はA組は部屋に届ける仕組みになっているから基本は部屋にいればいいわ」

「(こんなに違うんだな)」


皆はゾロゾロと部屋に向かった。全てが広かった。A組だからか、二年生だからかはわからないのが事実ではあったが。


輝は空いた部屋、つまり恐らくゴウがいたと思われる部屋、に入って行った。


「(やべ、広い)」

[すごいですね]


部屋は一人であるにも関わらず、二人部屋ほどの大きさであり、もともとものが少ない輝はがらんと空いた部屋に呆然と立った。


「(なんかすることないな)」

[まぁ、寝ましょ]

「(そうだな、今日は疲れたし……)」

[ベルトの方も驚きましたね]

「(なんだっけ、ベルトリアルだっけ)」

[そうでしたね]


輝はベッドに寝転んだ途端ぐっすりと眠り込んでしまった。



一年一日目・ジュン十五日


輝は熟睡してしまった。起きてみるとすでに昼近い様子で、輝は飛び起きて部屋を出た。

「(やべ、寝すぎた!)」


教室に行くと輝は驚くべき光景を目撃した。そこには、誰もいなかった。確かに授業はないと聞いていたが蟲の音ひとつない静かな教室だった。


「(誰もいない……)」

[授業がないですものね]


輝はフロアを走り回るが広いばかりで特にないと言ったものもなく、誰もいなかった。もちろん一様ある食堂にさえも。


「(食事は全て部屋に届けるって……)」

[本当に誰もいませんね]

「(でもどうすれば? 特に何もすることないし……)」

[特訓?]

「(まじかよ、これって休みなんだろ! ゲームとかないのかよ)」

[先生に聞いてみれば?]

「(ゲームなんか聞いたらぶっ飛ばされるぞ)」

[いや、何をすればいいかをですよ]

「(そうだな、先生とも仲良くなっておいたほうがいいもんな)」


輝は先生のいると思われる部屋にノックした。

「すいません……」


しかし何の応答もなかった。


輝は再び、今回は二回ノックした。

「あの、すいませんー」


しかし何も返答がない。


「(あれ、先生も休みもらってるとか? どうしよ……)」


輝は勇気を出して、扉を開けてみる。すると、意外にもサクラ先生がいた。しかし目は閉じたままで寝ているようであった。それも、上半身は下着のみで。


「(えっと……下着も桃色かよ……)」


輝はそのまま扉を閉めていこうとした。すると、サクラ先生は目を開けた。


「そろそ休憩しようかな……」


すると、サクラ先生は輝がいることに気がつき、上着を羽織り、耳から何かを取り出すと、輝を呼びかけた。


「テルくん?」

「(あぁ……)すいません……」

「気にしないで…私も一様は休みだからね、あとみんな部屋にいるからと思って…」


サクラ先生は顔を赤らめて言う。


「それでなんだった?」

「特にすることがなくて…何をすればいいのかなっと」

「なるほどね、私もよく知らないけど、勉強している子、特訓している子、遊んでいる子色々いるわね」

「遊ぶって……」

「そんな外には行けないわよ、でもA級になるとゲーム類も勉強や特訓がついていけるならもらえるのよ」

「本当に!?」

「えぇ、嘘はつかないわ。私だって今最近はやっているものを試していたところよ」


すると、サクラ先生は輝に先ほど耳に入れていたものを見せた。


「これは……」

「これ知らないの!? まぁ、仕方ないか……」

「それで……?」

「これは、最近はやっているE-Gameと言うものよ」

「それを耳に入れるのですか?」

「そうよ、そうするとどうにかして、ゲームの正解のような場所が見えるの」

「(なんか流行り始めたVRみたいだな)不思議ですね、でもその世界に行くとか、実際に体を動かすってわけではないのですよね」

「そうよ、ただ頭を動かせばいいだけってことよ」

「なるほど(ちょっと違うのか?)」

「あと、これは魔機だから機力はいるのよ」

「そうなのですか? (電気ってことか?)」

「えぇ、現実から来ているからわからないかもしれないけど、ここでは全てのものが魔機と言っても過言じゃないわ」


輝は黙り込んだ。


「あとね、これは機力が多くある人ほど一度に長時間できるものだからね」

「へぇー」

「だから機力の特訓にもなるのよ」

「(俺、機力とかほとんど使わないんだけどな)……」

「そういえばテルくんのあれ、あの丸いやつ、あれって魔機なのかしら?」

「(先生だから言っていいか)あれはメタルです」

「じゃあ、機力は使っていないと言うこと?」

「はい、あれは法力を使っています」

「もしかして、メタルを溶かして形を変えるってこと? そうよね?」

「はい」

「じゃあ、機力も使えばもっと器用に使えるかもしれないわ」


サクラ先生は声のトーンを変え、改まって言い換えた。


「じゃあね、法力と機力の違いわかる?」

「(なんだ急に? 知らねーよ)法力は魔法に機力は魔機にと言うことしか……」

「それは実は違うのよ」

「えぇ? (なんかずっと信じて来たものを裏切られた感)」

「実はそれらの力には性質があるの、法力は強いの、だけど不器用なの」

「と言うと……」

「だから、魔法にしか使えないのよ。魔法という私たちの潜在能力を解放するにはそれほど器用さはいらないの。だけどね、ある程度の力がないと起動はしないのよ」

「でも法力の集中とかは……」

「それは、その不器用な法力をどれだけ器用に動かせられるかってこと、だから人によってはとても難しいのよ」

「それなら機力は……?」


サクラ先生は小さなボードとペンを机の引き出しから取り出した。


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