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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
六章 一年最終試験
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第四十七話 試験はすでに始まっていた

 第四十七話 試験はすでに始まっていた


 輝の撹乱は成功していた。氷のフィールドがなければ自由に滑ることも叶わない。しかし、ケレンには焦るどころか、冷静を極めていた。そして、輝が魔機に法力を溜め込んで、熱の力とともに投げつけた。

「(頼むこれで……)」


 だが、あっけなく、氷の壁に閉ざされた。対して、ケレンは氷の刃を輝に向け発射した。だが輝は負けじと、全てを溶かした。

「(そんな簡単には行かねーよ)」

[でもこれで攻撃手段が……]

「(さっきのカレンの見たらなんかできそうなきがするな)」

[そんなできるもんですか?]

「(これもノリなんだよ)」


 輝はカレンの周りを飛び回ったかと思うと、ケレンに殴りかかった。この一瞬にダルクが、そしてカレンもが期待した……が、見事に氷の壁に阻まれた。魔法があったなら溶かすこともできたであろうが、それが起こっていないということはトラウマもまだということだ。

「(くそ、やっぱり)」


 ダルクは輝が氷結された状態を見て、試験の終了を知らせた。

「終わりだ、ケレンの勝利」


 ケレンが終わった後に、輝に近づいて行った。

「ちょっとは真剣にできないの? それぐらいが戦う相手への礼儀じゃないの?」

「……」


 ケレンはカレンの元へ行った。すると、ダルク先生が皆に明日について詳しいことを伝えるため教室、夕食後に教室に集まりように言った。


 そして、食事を終えたボビーと輝は負けたもの同士、悔し見ながらも教室に行った。


 すると、皆はもうすでに揃っていた。カコも回復したようで、席に座っている。

「すいません」

「僕も……」


「早く席に座れ! それでだ、今日勝ったものはA組に、負けたものはB組に行くことになっているのは言ったよな」

「はい」

「まだ何かあるのですか?」


「それでだ、ちょうどカコのために病室に行った時に知ったことなんだが、今日負けて明日も負けた場合はC組に降格とのことなんだ」

「えぇ……」


「いや、そのままではないぞ、C組のトップたちが昇格をかけて負けるものたちと戦いその中での勝者がB組に残るってわけだ」

「でも、俺たちって普通に強いんじゃ……」


「それは一年前だ、同じ受験生だっただろ、だがA組は推薦された上級魔道士の弟子または子だからな、まぁ全員十人とも戦うことになるかもな」


 皆は先ほどよりも絶望した様子で諦めていた。そして輝もその一人であった。


 その後すぐに解散となり、ボビーと輝は自室に戻ると話していた。

「テル、聞いたぞ、いいところで魔力切れだって?」

「……(そんなことになってんのか?)」

「まぁ、そんな気にすんなって」

「……いや、実はね……」

「なんだ?」

「あれ、魔力切れでもないんだ」

「えぇ? そうだって言ってたけどな」

「これ、本当は誰にも教えないつもりだったんだけどボビーには教えておくよ」

「……」

「あのケレンを傷つけた時から人に対して魔法が使えなくなったんだ」

「えぇ!? どういうこと? でも使って超速かったって」

「それは魔法だけを使えばね……殴ったり、触れるだけもできないんだ」

「それは、何? トラウマみたいなの?」

「よくわかったね、そう、そんなところらしい……だからメタルが魔機としてないかな? って思ったんだ、相手に触れなくていいからね」

「確かにね、それを教えてくれればもっと熱心に手伝ったのに!」

「そんなの悪いよ、でもボビーにはなんか教えようと思ってね」

「ありがと」

「ありがとってなんだよ」

「いや、秘密を共有されるのって初めてなんだ。だからなんか嬉しい」

「そんなこと言うなよ(余計なこと言ったかな?)」

「まぁ、早く明日のために寝たほうがいいよね」

「そうだね」


 そう言うと二人はベッドでゆっくりと眠りについた。と思われたが、輝が真夜中起きた時、ボビーは明かりをつけてごそごそ何かを行っていたことを輝は夢であったのか記憶が定か出ない。


 三百六十五日目・ジュン十四日


 試験日当日。


 定刻通り輝は六時に起きた。そして、六時半には準備を済ませたところで、ぐっすりと寝ているボビーを起こしにかかった。

「ボビー起きろ!」

「いいよ、先行ってて」

「そんなこと言うなよ、行くぞ」

「本当にいいって、疲れてるからさ」


 輝は仕方なく一人で食堂に向かった。すると、そこには五人昨日勝った五人しかいなかった。他の負けた三人というと、カコ、ソウマ、アキノだ。しかし、誰もいない。すると、フレイが輝に話しかけた。

「おはよう、テル」

「おはよう、フレイ、他のみんなは?」

「他のって? もう諦めてたよ、そんなの勝てるわけないって」

「まじか?」

「でも、やっぱり輝はきたね、勝つ自信はあるんだろ」

「まぁ、一様どうかな……


 輝は横目でケレンを見るが、全く興味どころか関心もなかった。

「それで今日はどこでやるんだろうな」

「そうだな、まぁ場所ぐらいはダルク先生が確保できるだろ」

「確かに、魔法でちょちょっとな」


 皆といっても六人だがそれぞれが朝食を終え、教室に行った。

「お早う、って他ボビー、カコ、ソウマとアキノは?」


 輝は手を挙げた。

「ボビーは疲れているからもう少し寝かせてくれって」


 次にフレイが、

「ソウマは腹の調子が悪いらしいです」


 そして、マリカが、

「カコはだるいと、アキノは忙しいとのことです」


「だけどテルはちゃんと来てるな」

「はい」


 皆は輝を意外そうな目で見た。

「それでだ、今日は部屋にいるものもいることがわかっているから、部屋を除いた部分を私がコンストラクトでスタジアム風にすることになってるからな」


 フレイが手を挙げた。

「フレイ」

「あの、そのコンストラクト中どこにいれば……」

「自分の部屋に戻ってもらうぞ、それで試験は昨日勝った生徒からやることになってるから、他の生徒が来なければテルが最後ということになるな」


 生徒たちは全員自室に戻って行った。


「コンストラクト! ステイジアム!」

 ダルクの声の後に一年生の塔三、四階の改装が始まった。


 そして、八時程度に輝は外に出ると、まさにあの闘技場のような場所になっていた。

「(すげー)」

[あのコロシアムといった感じですね]

「(いやでも、空が見えるぞ)」

[そうですね、あの地下闘技場とはまた違った感じですね]


 すると、A組の生徒が入場して来た。どの生徒もローブのようなものを羽織って顔を隠している。


「(あいつらか、つえーやつらは、てかなんでローブ)」

[ザコには見せる顔はない的な感じでしょうね]

「(前とことんムカつくな、カレンの時みたいには負けられねーな)」

[どこらかそんなことが言える自信が]

「(そんなんねーよ、だけどケレンにはいいとこ見せないとな)」

[ついこの前まで覚えてすらいなかったのに……]

「(一様覚えてたよ……)」

[そうならなぜ私は? なんて]

「(そう言うこと言うなよ、俺は前からケレンが好きだったんだよ、あの可愛くて優しい、完璧なケレンがな)」

[本当に、最低ですよね]

「(なんだよ、俺の味方になれよ)」

[はいはい、始まりますよ]

「(わかってるって)」


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