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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
六章 一年最終試験
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第四十六話 隠されていた実力

 第四十六話 隠されていた実力


「じゃあ次は男子から行くぞ、フレイ対ボビーだ」

「(俺余ったー)」


 フレイとボビーは皆の前に出た。ボビーはお気に入りの魔機を部屋から持って来たのに対し、フレイは剣のようなものを持っている。


「じゃあ、始め!」


 トクは早速説明を始めた。

[ボビーさんは完全に魔機頼りですよね、同じ値段で買っているのでそれほど性能の差があるとは思えませんが、ハンマーのような形をしてますね]

「(そうだな)」

[そうしてフレイさん、炎をどう使うか、そして魔機の剣も機になるところですね]

「(温度はそれほど高くなかったよな)」

[今はわかりませんよ、後炎ということは飛ばすことなどもできるのではないでしょうか]

「(確かに、至近戦だけじゃなくて遠距離でもいけるってか)」

[そうですね]


 ボビーは距離を開けられる前に、大きく振りかぶり両手でフレイに殴りかかった。フレイは炎を出してその場から離れようとしたが、その魔機はフレイの方に曲がり、フレイの肩に当たった。

「いてーな、でもまだ大丈夫!」


 ダルクは止めなかった。


 フレイはボビーから距離を開けた。

「ボビー、今のすげーな、それも魔機の効果か」

「後で勝てたら教えるよ」

「じゃあ、教えてもらえないな」


 そういうと、フレイは炎を出した。すると、魔機である剣にも炎が移った。

「それがフレイの魔機か?」

「あぁ」


 二人は距離を詰めながら相手を見た。

「そろそろ行くぞ」

「よしこい」


 フレイは様子見で左側から炎を放出した。速度も威力もないが相手の逃げ場を減らすという意味では効果的なようにも見える。そしてまさにそれをフレイが行なった。


 放出した炎六つとともに、ボビーの方へ走ってゆき、右手に魔機を持った。すると、ボビーは魔機フレイの攻撃を防ごうとしたが、それがフレイの左側、つまりボビーの右へとそれた。


「やっぱり!」


 フレイはボビーの空いた左側を炎を消し、切り裂いた。


「痛い!」


「終わりだ、フレイの勝利だ」


 輝を含め多くの人が理解していなかったため、フレイがわざわざ勝利への道を語り始めた。


「まず、俺が最初避けようとした時、不思議たちは思わなかったか? そうだ、ボビーの魔機が俺の方に来たんだ。それはボビーが何かをしたのか、俺の何かに釣られたのかってわかるんだ」


 わかっているケレンやカレンは無関心そうに、輝はよく聞いていた。


「それでだ、はっきり言って試して見たんだよ、あの炎で、もしかしたら俺の炎につられているんじゃないかってね。後、もしこれが全員分相手にあるのだとしたら、もしかしたらテルの熱も同じ魔機で対処できた方が便利じゃないのかなとも思ったんだ。するとあいにくその通り、炎の方につられてたから、急いで炎を魔機から消したんだよ」

「(なるほど)」


 するとフレイもボビーも一様病室に行くように言われジムを去って行った。


 次は女子の出番、ここで選ばれなかった人物が輝の相手になるのだ。


「じゃあ、次はカコとカレンな」

「はい」

「はい」


「(おい待てよ、よりによってケレン相手? てか先生知っててこれやってんのかよ)」

[何かこれにも理由があるのでは?]

「(やだだってさ、彼女には勝てるって、俺が負けること前提じゃね)」

[いやでも、それはそれで、筋トレ頑張ったじゃないですか]

「(通用するといいけどな)」

[そうですね、それより今はこれですよ。カレン対カコ]

「(カレンじゃね、勝つの)」

[そうですかね、まあ風の魔法は強いですしね、でもものを浮かべると言って魔法をどう使うかも注目できそうですよ]

「(いやそれって完全に戦闘系には向いてないと思うぞ)」

[確かに、これはカコさんにはきつそうですね]


 カコとカレンはそれぞれやはり魔機を持っていた。カコは小さな石のようなものをいくつか、カレンは短剣のようなものを持っている。そして、開始した途端に、カレンは勝負を決めることになった。


 カコはまず魔機の小さなものを全て浮かべた。しかし、カレンにはそんなに時間も猶予も与える気は無かった。風を起こし全てのその小さなものを切り裂いた。

「えぇ!?」


 驚いて戸惑うカコに、カレンは短剣を風で飛ばした。物凄い速さで加速して行く短剣を手のひらの怪我を覚悟でカコは触り、短剣を浮かべた。そして、浮いて行くと思われて時、カレンは風を使った移動で、その浮かび上がる短剣をとってカコにさした。


 カレンは何も無かったのかのように皆のいる場所へ戻り、ダルクはカコを病室に送ると同時に、カレンの圧倒的勝利をたたえた。


 そしてついに輝の出番という場に来たのだが、実はカレンのカコにさした部位が面白くない場所らしく、ダルクはしばらくジムを出ていた。


 その間、皆は顔を見合わせてカレン相手でなかったことに感謝し、恐れた。が、輝は逆にカレンに話に行った。

「カレン……どうしてあんなことが? これただの試験だよ?」

「何のこと?」

「何のことって、あそこまでしなくても……」

「何甘いこと言ってんの? そんなこと気にしてられないわ、そんなことよりも自分の心配したら、一様あんたのトラウマのことだけは話してないからね」

「ことだけはって何を話したんだよ!」

「あんたがカスだってことをよ」


 輝はどうにかしなければならないという思いから、アキノから魔機を貸してもらった。そして、しばらくするとダルクが帰って来た。


「カコには別状はないみたいで、今は落ち着いたようだ。じゃあ続けるぞ、テル対ケレンだ」


 テルとケレンは向かい合った。

「ケレン久しぶり」

「さっさと終わらせましょ」

「それはこっちのセリフだ」


 すると、戦闘の合図から早速ケレンはジム中を氷ずけにした。

「すげーな」


 もちろん、輝には熱の自己発動ができるようになったため、輝の周りには氷一つなかった。

「でも相性が悪かったな、ケレン」

「相性? 笑わせないで」


 ケレンは輝を嘲笑った。これは前までのケレンでは考えられなかったことだが、輝の与えた悲しみとカレンの何かしらの言動が彼女をこうしてしまったのだろう。


 輝は自慢のスピードでケレンに近づこうとしたが、ケレンも氷の上を滑って輝からの距離を保った。

「(今までのように速さだけじゃダメなのはこういうことか)」


 輝の体は熱して来た。今度は輝はフルスピードでケレンを捉えようとケレンを撹乱させ始めたのだ。


 ジム内の氷は溶けて水となり、蒸発した。皆がテルが勝つのではないかと思った。姉のカレンでさえも……

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