第四十五話 本番? これはまだ準備?
第四十五話 本番? これはまだ準備?
全員が教室に揃うとダルクが話を始めた。
「おはよう」
「おはようございます」
「有意義に十日過ごしたか?」
「……」
「まあいいか、全員いるな、なら早速本題だ」
皆の注目は先生に注がれる。
「試験の内容だが……」
生徒全員は前のめりに目を見開いた。
「A組との合同対人戦闘だ!!」
「……」
皆、ぽかんと口を開けた。
「A組にとっては場所を守ることが、私達B組には這い上がる下克上のチャンスだってことだ」
フレイが手をあげる。
「なんだ、フレイ?」
「その一試合で決まるのですか?」
「そこが次のポイントだ」
「今日、B組同士の対人戦闘で勝ったものがA組の対人戦闘で負けたものと勝負するってルールなんだ」
「今日!?」
皆は顔を見合わせた。
「そうだ、この後にある」
今度は輝が手をあげる。
「テル」
「あの、今日負けたら…v」
「安心しろ、今日は言った通り試験日じゃないからな、B組で 負けたものはA組の勝者と勝負するってルールだ」
「……それって?」
「あぁ、はっきり言って無謀だな」
「はぁ、なるほど……」
これは試験日出ないと言っていながらも、今日負けてしまっては全く勝ち目はないということを意味しており、勝ったとしても勝てるかはわからないというものであった。
次はボビーが手を挙げた。
「今日と明日の試験のことなのですが……」
「なんだ?」
「魔法と魔機の使用はどちらもいいのですよね」
「あぁ、その通りだ」
いつもは発言の少ないマリカが手を挙げた。
「おぉ、マリカ」
「あの、その対戦相手はどのように決めるのですか?」
「そうだな、適当に選べって言われてるけど、先生が選んでいいかな?」
「いいと思います」
「いいんじゃね」
「面倒だし」
皆が同意した。
「わかってたよ、みんながこう言ってくれるって! じゃあ、最初はアキノとマリカからだ。ジムに行くぞ」
「えぇ!?」
当のアキノとマリカは唖然としていた。
そして、アキノとマリカを含む全員がジムに集まると早速始まった。
「ルールなし、制限時間なし、私がいいと思ったら切り上げる、それでいいな」
「はい」
「はい」
二人とも真剣に向き合った。二人とも何かしらの魔機を持っていた。
そしてはじめの合図とともに二人は距離をとった。ここで二人の牽制合いをしている間に二人の魔法について輝が現在しいうる情報をトクは説明していた。
[アキノさんの魔法はわかりませんが、マリカさんはボブ魔法でしたよね。後二人とも魔機の扱いはそれほどうまくはなかったはずです……でもマリカさんは法力を皆が見せ合っている日、病気でしたもんね]
「(どっちが勝ちそうだ?)」
[やはりアキノさんの魔法がわからないことには……]
「(そうだな、いくらいい魔法でも、俺みたいに使えなかったりしてもな……笑えねー)」
まずはマリカから仕掛けた。マリカは盾のような魔機を持っており、その影からボムを投げた。すると、爆発した。
「ボーン」
皆、マリカが勝ったとおもったが、そう簡単には終わらなかった。アキノは丸まっていたのだ。
「えぇ?」
まるでアルマジロだ。
「(あれってなんだ)」
[不思議ですね]
「(魔法なのか? それとも魔機なのか?)」
[そこはまだ]
すると、丸まっている体制からアキノは起き上がった。
「腰が釣っちゃうよ」
「大丈夫だったの?」
「何が? ごめん丸まってる間は何も聞こえないし見えないからね」
「それって魔法?」
「それはどうかな?」
アキノは魔機のような刃物を持ってマリカに近づいた。と皆が思ったっが、突然宙に飛んだ。
「えぇ、何?」
マリカは急いでボムを投げるが、アキノはその時すでに丸まっていた。
「利かない……」
すると、アキノは元に戻りマリカに斬りかかった。
「良し」
マリカは急いで魔機であろう盾を構え防いだ。
「ふう」
アキノは必死に機力を使って盾を破ろうと、逆にマリカは盾を固めようと、どうやらそれぞれの魔機は強化系であったようだ。
そしてそれを見計らったのかのように、マリカはボブを盾ごしに投げた。アキノ今回は間に合わずボムが直撃してしまった。
「あぁ!」
アキノは部屋の隅まで吹き飛ばされたが、特に体に支障はないようであった。しかし、ダルクはマリカの勝利と判断したようであった。
「終了、マリカの勝利だ」
「はい」
マリカは嬉しそうに皆の元へ、アキノは諦めを顔に出しながら皆の元に戻った。
「良し、じゃあ次は……スバル対ソウマだ」
二人は皆の前に立った。スバルは拳にボクシングのグローブのようなものを、ソウマは先ほどアキノが使っていたようなショートナイフを持っていた。
「じゃあ、先ほどと同じだ、はじめ!」
やはり距離を取るのが定番のようだ。これもこれでトクが輝に説明をする時間がある。
[スバルさんはわかりませんが、ソウマさんのあの十五秒移動をどう使うかが注目だな]
「(そうだな、上手く使えば便利そうでもあるしな)」
始まりの合図の後、距離を先に詰め始めたのはソウマであった。そして、スバルの周りを回り始めた。
「何?」
「まぁ見てろよ」
スバルはどうすることもできずに、前後ろを見渡した。ソウマは遅くない、しかし回りながら速度を変えたり、魔法を用いてどこにいるのかを悟らせなかったのだ。
皆は感心しながら見ていると、ソウマが仕掛け始めた。スバルに攻撃しようとしては戻ったり、を繰り返し始め、スバルを困惑させ始めたのだ。
そして、スバルは諦めたように周りを見ることを諦めた様子で、突っ立った。今ならいけるそうソウマは思った。そして、ナイフで刺そうとしたその時、スバルの拳でソウマが吹き飛ばされた。
「いてー、なんだ?」
「俺が機力が全然ないって思ってたんだろ、だけどこれぐらいはいけるよ」
ソウマは魔法を使って、部屋の端からスバルの近くに戻った。
「それより魔法は使わなかったのか? どうして俺の位置を?」
「実はそれが魔法だったんだよ、僕も知らなかったぐらい」
「どういうことだよ?」
「だから、なんか直感でわかるんだ」
「直感って魔法か?」
すると、ダルクが手を叩いて二人の元に来た。
「そうだ、直感にでも、何か特別な感覚が優れているっていうのも魔法なんだ。後、スバルの勝ちな」
ソウマは悔しそうにスバルにきいた。
「でも魔法知らないって言ってなかったか?」
「あぁ、うん、なんかね、法力を出す特訓してるとね、突然なんかがわかるんだよ、例えばテストとかだと対人戦がくるな、みたいな感覚がね」
「それって未来予知ってことか?」
「あくまで感覚だから、外れることもあるよ、あくまで直感だからね。さっきは運が良かった方」
「くそ」
そして二人は皆のいる観客席に戻った。




