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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
五章 砂漠投獄
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第三十ニ話 仲間の探し方

 第三十ニ話 仲間の探し方


 輝は到底運べるとは思えない大きさの砂の塊を押してみた。しかし動かない。次に引いてみた。無論動くことはなかった。

「どうすれば……」


「一人でできると思ってんのか?」

 輝の後ろから男の声がした。

「誰?」

 照が振り返ると、あのレノルドよりも身長が高いと思われ、体もむきむき、神は剃ってある。

「誰ってこっちのセルフだよ、まだ二十歳にもなってないだろ」

「十七、八ぐらいですが……」

「これはな、別の人と一緒に押さないと動かねーぞ」

「じゃあ一緒に押してくれ……」

「悪いなチビ」


 そういうと三人の他の男たちと一緒に軽々とブロックを押して行った。周りを見ると、ほとんどの人は六、七人と一緒にいる。ところどころ一人の人もいるが、そういう人は座り込んで何もしていない。

「(そんなどうすれば……)」

[あういう人を誘うしかないんじゃないですか?]

「(絶対何もしないだろ)」

[ですが一人では……]

「(仕事しないとどうなるんだ?)」

[言ってませんでしたもんね]


 輝は歩き回り、やっとのことでレノルドを見つけた。またレノルド以外の看守が一人もいないことも知った。

「主任!」

「なんだその呼び方、レノルドでいい。それでなんだ?」

「あの、もし仕事をしないとどうなるのですか?」

「まず食事がもらえないだろ、あと死ぬ」

「えぇ!」

「そんだけだ」

「ですがそのしたしてないってどうすればわかるのですか?」

「それは俺がチェックしてるからな、六十三人分をな」

「以外と少ないんだ」

「あぁ、だから今のところは積み重ねる仕事以上に、運ぶことに重視しているんだ」

「そんなことよりも、わたしだけではあのブロックはとても……」

「一人ではな」

「でも他に誰も……」

「ちゃんと見渡したか?一人の奴がたくさんいるじゃねーか。それを束ねればどうにかなるって」

「わかりました」


 輝は半信半疑のまま、一人で座っている人に声をかけ始めた。

「あのすいません」

「なんだ?」

「あのもしよければ、僕と……」

「断る」

「でも食事の方は……」

「どちらにしても俺とお前では無理だ」

「これから増えていくはずなのですが……」

「じゃあ、その時にまた声をかけてくれ」

「あぁ、はい」


 輝は次の人に移った。

「あのすいません、もしよければブロック運びしませか?」

「もういいんだ、もう決めたんだ」

「そうですか、気持ちが変わったら教えてくださいね」


 輝は次から次へと聞いて行った。

「あの、よければ一緒に……」

「いいぞ」


 そんな時、八人聴いた中での、唯一の人物が現れた。

「ありがとうございます」

「そんなこっちもね、探していたんだよ」

「僕はテルです、今日来ました」

「私はケアキだ」


 彼は立ち上がった。細くスラッとしたなりに、黒い長髪の男性だ。筋肉は輝は人のことを言えないにしろとてもあるとはお世辞で言えない。


「ケアキさん、ちょっと試してみます?」

「そうだな」


 輝とケアキはブロックへと行き、同時に押してみた。しかし、びくりとも動かず、二人では無理出ることがわかった。

「もう何人かいるな」


 輝は再び今回はケアキと一緒に、座っている人たちにオファーした。すると、少しずつ、何回も繰り返すごとに増えていった。どの人も非力で弱そうでもあるが、合計九人全員が一眼になればという狙いであった。


 そして実際に全員で押してみると、少しずつ動いた。確かに長い道のりではあったものの、日が暮れるまでに計三つのブロックを運べたのであった。しかしその間に、先ほどのムキムキグループは二桁を超えている回数も輝たちを通りこしていた。また、毎回会うたびに、皮肉な言葉を浴びせた。

「頑張ってるな」

「頑張れよ、九人で」

「フレー、フレー、ガリガリ!」


 そして、一日が終わると、食事の時間であった。ムキムキの人たちとの食事は違ったが、今まで食べていなかったものたちは食べることに祝福を感じていた。実は、仕事量によって、食べることのできるものが変わるようでもあった。そして、食べ終わると、皆が部屋に戻った。


 すると、皆を部屋に入れ終えた、レノルドが輝の部屋へとやって来た。

「テル、お前は戻らなくていいぞ! これから授業だ」

「えぇ!?」

「魔法のコントロールが必要って言っただろ」

「言ったけど……今?」

「そうだ、まずはお前の魔法についてから聞かせてもらおうか」

「魔法は……」

「なんだ?」

「熱です。しかも条件稼働式の」

「熱と……温度はわかるか?」

「ケレンに火傷させた時に言われてた温度は……(何度だっけ?)」

[千度です]

「(そう言えば、あの時教えていてくれれば……)」

[人のせいにはしていけませんよ]

「(お前、人じゃねーからわかんないんだよ)千度だと言っていました」

「千度! これも納得できるな」

「……」

「それで条件の方はどうなんだ?」

「その条件が私の感情なんです」

「感情? 怒りとか、悲しみか?」

「怒り、恥ずかしみ、熱意などだと思います」

「熱意は簡単そうだが、他はかなり限られてくるな」

「それが、熱意もなかなか」

「よしわかった、あの手しかないな」

「えっとなんのことですか……?(嫌な予感)」


 すると、レノルドは注射器のような針をと液体の入ったものを持って来て、輝に刺した。

「痛い!」

[体温が上昇してます。七百八十度]

「あの時ほど高くないかもしれないが、この液体は魔法を強制的に放出させる薬品でな、投与しすぎると死ぬから、今回だけだぞ」

「って、えー……」


 すると、レノルドは輝に触れた。

「熱いな」

「危ないって」


 輝は急いでレノルドから離れた。

「そんなビビるなって」

「それでも、手は?」

「俺の魔法を言ってなかったな、俺の魔法は他の魔法の効力を弱めることができるんだ」

「それってめっちゃ強いんじゃ」

「だから主任なんだけどな」

「なるほど」

「それでだ、その熱の集中等はできるんだよな」

「はい、一様」

「じゃあ、足の先に集中できるか?」

「はい、してみます」


 輝はつま先に法力を集中させるイメージをした。レノルドは人差し指で、輝の体を触った。

「テル、これはなかなかだがまだ集中し切れてないな」

「というと?」

「法力に漏れがある、つまりコントロールの基本である集中がまずできてないんだよ」

「そんなはずは……」

「自分で触ってみるといい、足に集中しているのに、手はあったかいだろ」

「そうですね」

「それをなくすことができたら、法力コントロールの基本はクリアだな」

「はい」

「じゃあ、今日は寝ていいぞ」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

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