第二十九話 戦闘訓練?
第二十九話 戦闘訓練?
昼食を食べ終わると、皆は教室に戻った。
「美味しかったか?」
「まあまあ」
「美味美味」
「これからペアを作るから覚えておけよ」
ダルクは先ほどの順番で、ペアを作った。ボビーとケレン、フレイとカレン、輝とカコ、ソウマとアキノ、そしてスバルとマリカだ。それぞれには、違う授業内容が言い渡された。まず、スバル・マリカペアとソウマ・アキノペアは、まだまだ機力だ少ないために、消費機力の少ない棒を使って、なんども機力を完全にからにした。魔力などのエネルギーを空にすると、体は取り戻そうと成長するためらしい。残ったペアは、消費機力の高い棒を使って、戦闘訓練をした。ペアで、棒を使って叩き合うというものだ。しかし、原則として、明かりをつけた状態でなかればならないというものであった。
まずは先ほどのジムに行き、輝・カコペアから始まった。
「カコであってるよね?よろしく」
「よろしくね」
「すいません、法力の使用は禁止ですよね」
「当たり前だろ」
「(よかった、使えないし……)はい」
訓練が始まった。二人はそれぞれ棒を強く握り明かりがついた。
「(あぁ! さっきよりもなんか早く無くなっていくような感覚だ)」
[これが先ほどボビーがいっていた消費機力の違いですね]
カコは輝の方へ走ってゆき、先制攻撃に出た。もちろん体の作りからして、輝の方が運動神経もいい、輝は余裕で躱した。
「遅いね」
輝はお得意の背後に回る作戦で、カコの背後から肩を叩いた。しかし、叩く瞬間明かりが消えた。
「あれ!?」
「機力を流しし続けることに集中するんだ」
「(ただ持っていればいいんじゃないのかよ)」
カコは叩かれたそばから下にしゃがみ、輝の脛を棒で思いっきり叩いた。しかし、これも明かりが消えてしまう。
「どうして……」
「やっぱりちょっと難しいか、二人とも下がっていいぞ」
「ありがと」
「痛くなかった」
「大丈夫だよ(はっきり言って意外と痛かったけど)」
「次のペア、フレイとカレン」
「はい」
「はい」
二人もそれぞれ棒を握った。フレイの棒には明かりが灯ったが、カレンの棒には明かりはない。
「さっきの疲れが残ってるの」
「早く始めよ」
フレイはカレンに行き、棒を振り回した。あてずっぽに当たれば良いと思っている現れだ。だが、明かりは常に灯っている。
「おぉ、結構機力があるんだな」
しかし、その小さな隙をカレンは棒でフレイに当てた。また、当てる瞬間にのみ、明かりがついた。
「カレンは知ってるんだな、よし、次!」
ボビーとケレンがそれぞれ出てきた。
「二人にはこっちの棒を使ってもらう」
「えっと」
「先ほどのものは最初の二倍の消費機力の棒でな、これは五倍だ。見た目は同じだがな」
「ほんとだ、結構激しいな」
「ほんとね」
ボビーもケレンも棒の明かりはついていない。
「テル、一つのアドバイスはな、明かりをつけないで、叩く時だけにつけるんだ」
「なるほど」
ケレンはボビーの方へ歩いて行った。
「始めましょうか」
「ふん」
ケレンの棒さばきは華麗であった。フレイはただただ振り回していたのに対して、ケレンの棒さばきは一瞬の隙もなく、完全に攻撃を完全に防いでいる。
「防御作戦か」
ボビーは澄まし顔で、ケレンの方へ歩いていく。
「相当自信のね」
「いやいや」
ボビーはケレンの壁に叩きつけた。すると、ケレンはすかさずボビーに叩きつけた。だが、やはりボビーもそれほど簡単終わらない。丸い体を動かし、ケレンを再び叩いた。しかし、これも終わらない、結局は持久戦へともつれ込んでしまった。
「なかなかやるね」
「ケレンも」
「もういい、終わりだ」
「えぇ……」
「じゃあ、今わかったように、機力のコントロールが大前提だ。フレイはそのまま、カレンから、カコはボビーから、テルはケレンから教えてもらえ、じゃあ私はあっちの練習を見てくるからな」
輝はケレンを見て頬を赤らめた。
「よろしくね、テル」
「よろしく」
「えっとまずね、魔機を持っても機力を流さないところからね。体に留めておく感覚を持つの」
「えっと」
「法力は使えるんだよね」
「多分……」
「じゃあ、それの集中する感覚と同じように、機力を棒を持っているところから離れさせるの」
「でも、法力と機力の違いなんてわかんないけど」
「大抵は魔力として身体中を動くから、同じようにしても構わないはずよ」
「へぇー、なんでケレンってそんなに頭いいの?(かわいいし)」
「そんなことないよ、ボビーだってできてるし。あと、私とカレン、ミラーノ族はね教育がちょっと進んでるのよ、だからアウェスから落ちる前に多少は学ぶの」
「落ちるって?」
「この歳になると、アウェスから落とされるのよ。まだ、翼も成長中だから、空を飛べるようになるまでは、ここで生活しなきゃいけないの」
「大変だね」
「テルは? 人族ってどうなの?」
「特に何もないよ、ここで過ごすだけだと思うよ」
「思うよってどういうこと?」
「魔法界出身じゃないんだ」
「そうなの!?」
「じゃあ、なんで……」
「ある魔道士に拾われたんだ」
「師弟関係てこと?」
「すごい! どんな魔法使えるか教えてよ」
「いや、知らないって……」
「じゃあ、私が言うから!」
「ケレンもないって言わなかった」
「みんなには知って欲しくないの、秘密だよ! 私の魔法は氷、氷でいろんなものを作れるわ」
「俺のは、熱だ」
「フレイと一緒じゃん!」
「いや、彼は炎だろ、俺のは明かり、つまり火はつかないんだ」
「それって還元率がいいんじゃない」
「そうなのかな」
そう二人は話しながらも、輝は明かりをつけずに棒を持つことができるようになった。
その頃、ダルクが教室に戻ると、どの生徒も何もしていなかった。
「お前ら何してんだ!」
「やば」
「何も」
「休憩です」
「やる気あるのか!?」
どの生徒も、また練習を始めた。だがソウマは違った。
「先生!」
「なんだソウマ」
「なんで機力がいるんですか? 法力があればいいじゃないですか」
「じゃあ思えはなんでここにいる? ここは魔道士になりたいものの場所だ」
「だから両方いると?」
「そうだ」
「でも、魔機とかある程度使えれば、別にそこまで頑張んなくてもいいんじゃ」
「ある程度ってどう言うことだ?」
「だから、私生活に影響がなければ……」
「そうか、じゃあこれ知ってるか?」
「それは? もしかして?」
「コンドームというものだが、これも魔機だ」
「……」
「確かに何もなくても多少の効力はあるが、法力を流すと、完全に安全になる代物だ」
「だからなんですか?」
「これの消費機力はその棒の数百倍を超えているし、動きながらの使用は難しいと思わないか?」
「もういいよ、先生の言いたいこと・経験談はわかったから……」
ソウマはうつむきながら、練習を始めた。実際、練習といってもただただ棒を握り、機力の成長を促すだけのものであった。そして、どちらのグループも真剣にそれぞれの練習と特訓を行った。




