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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
四章 魔法学校一年
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第二十八話 魔道士の本分

 第二十八話 輝と魔道士の本分


 食堂に行くと、別の生徒も集まっていた。ソウマが輝とボビーに話しかけた。


「いいなぁお前ら、二人部屋って」

「そうか?」

「あぁ、こんなお子ちゃまとナルシストと同じ部屋はごめんだな」

「ナルシストってフレイのことか?」

「あぁ」


 すると、フレイが話に入って来た。

「ナルシストって俺のことか?」

「そうだけどなんだ」

「俺一回もそんなこと……」

「そんなことはどうでもいいんだよ、それより、制服ってなんだよ」


 女子達も会話に入って来た。と言っても、マリカとカレンだが。


「ほんとだよね」

「これあんまり可愛くないし」


「(どうでもいいけど、腹減った)早く食べない?」

「そうだな」

「そうだね」


 食堂のカウンターへ行くと、おばあさんが一人厨房にいた。

「すいません」

「オォ、新入生か」

「はい……」

「食事だね、今日はチキンライスだよ」

「ありがとうございます」


 皆が受け取り、席に着いた。

「(意外といいサイズの食事だな)じゃあ食べる?」

「なんでお前が仕切ってんだよ、勝手に食べればいいだろ」


 多少の言い合いはありながらも、何もなく夕食は終わり、皆部屋に戻った。


「ボビー、ドアフ族って一体なんなんだ?」

「テル、知らないの? 結構有名だと思ってたのにな」

「それで?」

「ものづくりに長けた一族だよ、魔機とかを主に作っているんだ」

「へぇー、そういえばさ、機力ってどうやったら出せるんだ?」

「習うと思うけど、出すというよりは出るのに近いかな?」

「出る?」

「そう、意識がなくても、魔機に触れてたら出るよ、試してみたら」

「何で?」

「その時計でだよ」

「そうか」


 輝は時計の上に手を乗せた。すると、時計に時間が表示された。

「(八時四十分)すげー」

「ほらね」

「明日から意外と楽しみだな」

「そうだね、シャワー浴びて寝ようか」

「じゃあ、先浴びるわ」


 そして、学校一日目は何もなく、無事終わった。


 六十四日目・オーガスト二日


 次の日、朝起き、朝食を食べ終わると、輝とボビーは教室に八時前に着いた。

「早く着きすぎたかな」

「そんなことはないでしょ」

「ていうか、楽しみだね」


 先生が入って来た。その後には、バラバらと人がきて、八時になった時には、十人全員揃った。

「おはよう」

「おはようございます」

「じゃあ、今日は基本から魔法と魔機について学んで行くぞ」


 授業が始まると、教室は静かに、皆は真剣になった。

「まず、魔法は法力、魔機は機力に寄って使うことができる、他にどんな力が重要になってくるかわかるか?」


「はい」

 フレイが手を挙げた。

「筋力と知力」


「そうだ、そして魔道士になるには、その全てが揃ってなければならないこともわかるな」


「先生」

「なんだ、テル」

「魔道士以外にも、法力、機力、知力に長けたものは魔賢者、法力、機力、筋力に長けたものは魔騎士などとそれぞれの呼び名があるんだ。だが、もちろん皆がなりたいのは、魔道士だがな」

「それでも、H級魔道士やら、魔道士と付いてますが…」

「級がついている時点で、ただ魔道士になりたいものだが、魔道士ではないことを示しているんだ」

「つまり……」

「本物の魔道士には、級などついていないってことだ」

「Aプラス級の上ということ」

「そうだ」

[まだまだ道は長いですね]

「(俺がいつ魔道士になりたいって言った?)」

[いや、でもなりたいでしょ]

「(ちょっとだけだよ)」


「話に戻ると、そのどの力も訓練によって鍛えることができるんだ。それで、この一年は、皆が共通してできる、魔機について学んでいこうと思う」


 ボビーが手を挙げた。

「ボビー」

「あの、僕多分知っているのですが……」

「全てをか?」

「はい」

「なら最高得点でもなんでも叩き出してくれよ」

「えぇ、あぁ、はい」


「それで、魔機の説明からだ、ボビー頼めるか?」

「はい、魔機とは、機力によって動かすまたは発動、稼働させることができる道具のことですよね」

「だいたいそうだ、それに加えて、その材料、製法、それらの機力還元率によっても、その魔機の力は変わってくるんだ」


 マリカが発言した。

「そういうことなら、誰でもなんでも使えるということでは?」

「それが、特別なものもあるんだ。その一般的な例が、召喚獣。あれは完全に、魔機の一種なのだが、あぁ言ったものは、同じものが一つとないから貴重なんだけどな」

「(トク、お前も魔機だったのか?)」

[そうかもしれませんね]

「(そうだったら、俺ほとんどずっと機力を使っているってことか?)」



「それでは、ジムに移るぞ、服を運動着に着替えてここに集合だ」


 皆はそれぞれ、トイレやら、人の目につかない場所で、運動着に着替えた。


 ジムは教室の隣にあり、トレーニングジムというよりは、体育館のような空間で、何もない。先生は、数十本の棒を持ってきた。

「それじゃあ、これからこの棒を持ってくれ。これは機力が流れていると、赤く光る剣だから、それぞれの実力もわかるだろう」


 皆はそれぞれ棒を握り、雑談をした。

「これって一生終わる気がしないんだけどな」

「マジで余裕じゃね」


 しかし、余裕と言っていたのもつかの間、時間が経つにつれ、皆疲れていった。

「ぼく、ギブアップする」

「私も」

「俺も、めんどくセーし」

「私まで」

「あぁー」


 多くの人が諦めていった。残ったのは、輝、フレイ、ボビー、カレンとケレンだ。相変わらずボビーは余裕の様子であり、カレン、ケレンもだ。フレイはだんだんやつれていっており、輝のあかりは今に消えそうだ。


「あぁ、消えた」

「俺のも」

「私のも」


 残ったのは、ボビーとケレンの棒の明かりだけであった。ボビーの明かりは相変わらず、明るく光っている。対して、ケレンの明かりは、少しずつ暗くなっていった。


「もういい、わかった」


 先生が、止めに来た。

「まだまだなのに?」

 ボビーは完全に余裕をこいている。

「いや、食事の時間だからね」

「あ、そう」


 皆が昼食を食べに、食堂に向かった。

「ボビー、すげーなお前」

「そんなんことないよ、あの棒の消費機力が低いっていうのと、機力還元率が意外と高いいい魔機だからだよ」

「消費機力? 機力還元率?」

「消費機力はそのまま、どれだけの機力が稼働に必要なのかという値で、還元率は高いものほど、効率よく機力を消費できていることを示すんだ」

「詳しいな」

「当たり前だよ、次の授業始まるよ」

「そうだな」


 輝とボビーの仲はルームメイトであるということもあり、急速によくなっていった。


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