第二十七話 B組のクラスメイト
第二十七話 B組のクラスメイト
「じゃあ君から」
「はい」
ダルクは先頭に座っている生徒を指した。
「僕は、スバルです」
「魔法は?」
「まだよくわかっていません」
「スバルね、よろしく」
「よろしくお願いします」
スバルという名の彼は、見たところでは大変幼い。話し方も柔らかく、小さな声で、顔つきもまだお子ちゃま風だというのが適切だろう。髪は茶色で、人族である。
「次!」
「私はマリカ!」
「元気がいいね、それで魔法は?」
「ボムです」
「よろしく、マリカ」
「よろしくお願いします、先生」
マリカはエルビーだ。耳の先が尖っている。体は細く、輝注目の胸も平たい。髪は蒼色で、元気のいい、アクティブな子であることは一目瞭然だ。
「(女子でボム魔法って、えっぐ)」
「次!」
「私と妹を一緒に紹介していいですか?」
「いいよ、自由に」
「私はカレン、彼女は双子の妹、ケレンです」
「カレンとケレン、魔法は?」
「私のは、風を操る魔法で、ケレンのはまだわかっていません」
「どこ出身なのかな?」
「空の都アウェスにすむ、ミラーノです」
「アウェスから……よろしくね」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
ケレンは小さな声で言った。
カレンとケレンの見た目は同じだが、大きな違いはやはり胸だ。妹のケレンの方は豊満な胸であるに対して、カレンの胸は成長が悪い。二人とも、金髪で背中に小さな翼が生えており、服も背中が開いた服である。おそらくそれがミラーノの特徴であると思われる。
「(ケレンやばい、可愛いし、胸も……あと、おしとやかだし)」
「次!」
[輝!あなたの番ですよ]
「(わかってるって)テルです」
「魔法は?」
「(言わなくていいよな)今わかっていません」
「そういえば、君が一人年上なんだよな」
「えっと?」
「ここはみんな十五、十六歳だけど、十七歳だと聞いているぞ」
「そうです」
「えぇー」
皆は不満のような声をあげた。
「まぁ、とにかくよろしく」
「よろしくお願いします」
輝の平凡な自己紹介は終わった。しかし輝は皆には留年した頭の悪いやつだと思われてしまったと考え、先生を少し憎んだ。その後も自己紹介は続いていった。また、先生も飽きたようで、テンポが早くなった。
「私は、カコです。 物を浮かべることができます。よろしくお願いします」
彼女は人族のようで、黒髪に、平凡な胸の大きさだ。しかし、顔は大変整っていて、モテそうといえば、モテそうである。
「俺はソウマ。魔法は隠しとくわ。よろしく」
先ほど発言した時とは違い、かなり気の抜けた自己紹介であった。
「私は、アキノと申します。魔法の方は無知なもので……どうぞよろしくお願いします」
彼女はいかにもお嬢様といった雰囲気を醸し出している。長い金髪の人族でふくよか見た目に、キラキラとした宝石を手やら首に身につけている。
「俺はフレイ、魔法は炎だ。よろしく」
彼は赤髪のエルビーで、身長はそれほど高くない。しかし、顔つきは大変よく、体もがっしりとして、かっこいい。
「僕はドアフ族のボビー。魔法は使えないけど、魔機の扱いなら自信があるよ。みんなよろしく」
彼は、小さく、ぽっちゃり系を通り越した、おデブだ。だが、その割には、筋肉も多少あるのではないのかと思わす、自信が彼にはある。
「終わったな! じゃあ、今日のホームルームは終わる。学校は明日つまりオーガスト二日から始まる、今日は自分お部屋に行っていいぞ! 食事は食堂に朝昼晩に行けば食べられる」
先生は部屋を出て行こうとした。すると、マリカが手を挙げた。
「先生、私たちの部屋はどこにあるのですか?」
「そうだ、忘れてた。この同じ階には、この教室と、食堂、ジム、そして、生徒らの部屋がある。自分の名前の書いてある部屋を探してくれ。ちなみに、二人部屋と三人部屋が一つずつある。あと、ここの扉はロック式じゃなくて、パス式だから、その部屋の人しか入ることはできないぞ。以上、何かあったら私の部屋に来てくれ。それでは、以上!」
皆、先生の言葉遣いがだんだん変わってきていることに気がついていた。そして、先生はそのまま教室を出て行った。
「えぇー、個人部屋じゃないんだ」
「まじで、二人部屋じゃなかったら死ぬは、俺」
「ウゼー、Bクラスだろ」
皆言いたい放題だ。一言も言わない輝を含めた人らは、教室を出て、自室に向かった。
「(俺の名前を見つけてくれ)」
[わかってますよ]
教室を出て、階段の方ではなく、奥に進んでいくと、大きな食堂と思われるエリアがあり、その先に行くと、道が双方に分かれていた。
[男子右、女子左だそうです]
「(右だな)」
輝は右に曲がり、自分の名前を見つけた。
「(オォ! 二人部屋じゃん、もう一人はボビーか。まぁいいか)」
輝は扉に手を通した。すると、手がそのまま通り抜けた。
「(すげー)」
次に、輝は体全体を入れ、通り抜けると、二つのベッドと勉強机が右左にある、ちょっとしたいい部屋であった。洗面は一つ、クローゼットも一つのようだが、それは寮の基本だろう。
「テル君、よろしく」
ボビーが輝には突然話しかけた。
「あぁ!よろしくね(びっくりした)」
「それで、どっちのベッドがいい?」
「どっちでもいいけど」
「じゃあ僕、左側ね」
「わかった、右ね」
輝は特にすることがなく、勉強机の上に置いてあった冊子を読み始めた。
[魔法界学校都市ジクール、魔道士専門学校]
「(なんかすごそうだな)」
[規則:服装、およびすべてのものは学校が供給する]
「(ええって、いきなりすごいのきたな)」
すると、誰かが扉をノックした。
「入っていいか?」
「先生?はい」
先生は当然のごとく、通り抜けてきた。
「言い忘れてたが、これからは制服で常に行動するから、この服に着替えて、今来ている服等は私に渡してくれ」
「わかりました」
輝は洗面で着替え、ボビーは部屋のはじで制服に着替えて、私服を渡した。
「ありがと、あと言い忘れてたけど、朝は七時から朝食、八時から授業、それで、一時に昼食、また午後八時に夕食だ、じゃあ、また明日」
「おやすみなさい」
先生は部屋を出て行った。輝はボビーに時間を聞いた。
「今何時?」
「その時計で確認できるよ」
そこには、箱のようなものがある。おそらく魔機であろう。
「これはどうやって使うんだ?」
「これはね、手を上に乗せて、機力を流すんだ」
「オォ」
その箱に、数字で時間が出て来た。
「ちょうど八時だね、夜ご飯食べに行こっか」
二人は部屋を出て食堂に向かった。




