第二十六話 ボルクスの実力
第二十六話 ボルクスの実力
皆はまた騒ついた。
「無理じゃね」
「あのボルグスからって」
「急にレベル上がりすぎだぞ」
一人一人がステージに上がっていった。あるものは戦おうとして諦め、あるものは戦う前から諦めた者もいた。しかし、輝の前に座っている人物は違った。
「お願いします」
「お願いね」
丁寧にお辞儀した彼は、しなやかに右へ行ったと思ったら、左側からしなやかにバッチをとった。
「オー」
「ありがとうございます」
「合格だね、これが君の魔法か?」
「そうです」
次は輝の番だ。輝はステージに上がっていくと、ボルクスの小ささに驚いた。
「お願いします」
「お願いね」
輝は皆からの視線を集め、前に合格したものがいたためか、皆注目していた。合格者たちも笑いながら見ている。
「あいつ、すぐギブだろ」
「無理だな」
輝はボルクスの左に走って行った。すると、輝は彼を見失った。
「あれ?」
見渡した輝は肩にボルクスが乗っていることに気がついた。
「おいおい、あれは雑魚すぎんだろ」
[体温が上昇…]
「(どうしよう、マジでこれ落ちたら…)」
ボルクスは輝の肩から降りた。
「諦めるか?」
「いいえ」
「いい心持ちだ」
輝は再び左に走った。しかし今回は違った。前回に比べ、明らかに素早く、ボルクスは後ろに飛び退いた。
「あら」
だが、ボルクスは完全に油断していたため、輝は ボルクスの右足を掴んだ。
「ライトフット」
その瞬間、その右足が巨大化し、輝もろともステージを打ち壊した。
「おっと」
輝は多少の意識を残して、輝は動けなくなった。
「魔法使わないっていなかったか?」
「そうだ、だからお前は合格だ! 名前は?」
「テ、テルだ……」
「テルか、覚えておこう」
輝は合格と言われたのみも関わらず別室に運ばれた。そのまま、輝は眠りについた。
六十三日目・オーガスト一日
輝が目をさますと、輝の隣にはレディールルが、そしてボルクスがいた。
「やっと起きたか!」
「ここは?」
「医務室よ、それじゃあ起き上がってくれる?」
「一体何が……」
「私はいかんことをしてしまったからな、ステージの修復を完了し、レディールルの回復もついでに待ったということだ」
「そういうことよ、それじゃあちょっと立って」
すると、レディールルは輝を見つめた。
「合格したんじゃ?」
「ちょっと黙ってて」
一分と外から見ていたら短い時間も、輝にはとてつもなく長い時間のように感じた。
「えぇ!」
「何?」
「法力も、機力もまだまだ発展途上、筋力はなかなかだね! 知力もこれから増やしていけると思うよ」
「それで……」
「潜在能力値が、通常の人族の三倍あるのよ」
「三倍……」
「それも、法力も、機力も」
「それはどういうこと?」
「人族は機力の潜在能力値が、エルビーの一点五倍あるの。それでエルビーは法力が高いのよね。それで私が合格ラインにしているのは、今現在能力高い人もだけど、潜在能力値も重要なの」
「それで」
「大抵はどれかに二倍以上が潜在していたら合格なんだけど、あなたは全ての値に三倍がついていたのよ」
「すげーじゃん!」
「まぁ、これからの頑張り次第だね」
「頑張ります」
「じゃあ、ステージ降りて、席についてね」
ステージは完全に修復されていた。輝は別室をでて、ステージを降り、席に座った。レディールルも輝の後にいる、十数人を素早く、審査した。
「途中で申し訳なかったですが、この三十人が合格者です」
「少なくない」
「やばいわ、私」
「あと、ここにいる合格者以外にも、推薦入学者がもう十人あり、それがA組、次の十人がB、C、D組です」
ホールのステージの壁に、映像が映し出された。そこには、組と名前が書かれていた。
[輝はB組ですね]
「(二番ってことか)」
「では、ここから出てもらいます」
皆はブツブツ話し始めた。
「またか?」
「めんどくせーな」
輝が寝ている間に何かが起こったらしいのだ。外には、先ほどいなかった、A組だと考えられるもう十人がいた。
すると、黒いスーツに黒い髪、黒いサングラスをかけたダンディーな男が出てきた。
「コンストラクト! スクール!」
そして、その男は消えていった。
レディールルは皆に対して、大声で話した。
「A組から四階、三階、二階、一階とD組まで下がっていきます。それではそれぞれの階に向かってください」
輝たちは城の中に入った。すると先ほどまであった大広間が、廊下と部屋がある学校の一層のようになって降り、横には階段があった。輝はB組、階段を二回上がり、三階についた。
「(これがあの人の魔法か!? すげー)」
三階に上がると、一回と同じように廊下があり、輝は別の人の後ろをついていった。そして一つの部屋に入った。その後、ぞろぞろと残りの人が入っていき、部屋には十人が集まった。部屋には座席と名前が書かれていた。輝も皆と同じように、席に座った。
「(俺のは? テルは)」
[ここですね]
教室の扉が開いた。その先生と思われる男性は黒いスーツに、黒髪、黒いサングラスをかけている。だが、先ほどの人物は細くスラっとしていたのに対して、この人物はぽっちゃりとふくよかであることがわかる。
「こんにちは」
「こんにちは」
「これから一年担任を務めるダルクだ。よろしく」
「あの、すいません」
一人の男が手を挙げた。彼は人族で金髪の長身、チャラい感じの男だ。
「なんだね」
「あの先のコントラストとかいってた人ですか?」
「コンストラクトね。そうだけど何かな」
「さっきの方が痩せてなかったですか?」
皆は顔を下げた。確かに気になっていたのは輝だけでなかったかもしれないが、礼儀として言わないことを皆が選んでいた。
「それじゃあ、私の魔法から教えよう。私のは魔法は、コンストラクト、建設だ。私は先ほど行ったように、私の想像した通りに、建物の配置や構造を変えることができる。だが、それはものだけじゃないんだ」
「つまり、先生の体もってことですか?」
「そうだ、だから私の体の構造ももちろんのこと変えることはできなくはない」
「すげー」
「じゃあ、ボルクスさんみたいに巨大化も!」
「いいや、これが元々の姿だ。城の形までは変えれないように、構造までしかできない。つまり、あの場に出て時は、脂肪を足元に集中していたんだ」
「なるほど、足元までは見てなかったかもな」
「それじゃあ、君たちにも自己紹介をしてもらうぞ」




