第二十一話 ギルド探しは骨折り損?
第二十一話 ギルド探しは骨折り損?
「でもなんで魔法協会本部に?」
「ギルドに入るためだろ!」
「ギルド!? そんなの聞いてないぞ」
「入らなきゃいけないんだよ、いくら持ってる?」
「(いくらだ?)」
[八億四千九百九十万ハイルです]
「八億四千九百九十万ハイルあるけど」
「くそ、なんで使ったんだよ。賞金は確か十億だっただろ」
「それは……(アイリスとボンドに貢いだ……)」
「もういい、足りない一億五千万十万ハイルは貸す。十億ハイルは百マジクだから、まずは両替するんだな」
「わかった」
輝は魔法協会の建物の中に入って行った。そこには、建物の地図のようなものが貼ってあり、トクの案内によって、両替所をすぐに見つけた。
「(ここか)」
そこには女性のエルビーが応対した。
「両替ですね、何を何に両替しますか?」
輝はベルトに借りた金も含め、全財産十億ハイルを出した。
「十億ハイルをマジクにしてください」
「わかりました、現在のレートはこの紙を確認してください」
トクは素早く読んだ。
[両替レート
千万ハイル<—>一マジク<—>千ガルミ]
「(だから百マジクか)」
輝は紙を見ている間に、女性のエルビーは百マジク札を輝に渡した。
「追加なんだけど、誰か師匠がいるかな?」
「ベルトという人物ですが……」
「ベルトさんの! へぇー、あそこへ行くとギルドメダルが購入できますよ」
「あぁ、はい。(なんで師匠を聞いたんだ?)ありがとうございます」
女性の指した先には大きな自動販売機のような機械があった。
その中身には同じ商品がいくつも並んでいた。
[ギルドメダル、百マジクだそうです]
「これを買うのか?」
[そのようですね]
「(買えばいいんだろ)」
輝が百マジクハイルを入れると、ギルドメダルらしき金色のメダルが出てきた。すると機械から声が出てきた。
「ビーーーーーギルドメダルを購入したあなたにビーーーーー隣の窓口に行けばギルドに入ることができますビーーーーー」
「(止まった、急になんだったんだ)」
確かに横には窓口がある、しかし中にいる人は見えない。
「(ここだよな)」
[そのはずです]
「あの、すいません」
「はい、ギルドに入りたいのですね?」
「(男性?)あぁ、はい」
「それではあなたの魔道士証明書とギルドメダルを提示してください」
輝は窓口の下に隙間があることに気づいた。
「(窓が小さすぎんだろ)」
その隙間に取り出した証明書とギルドメダルを取り出した輝は返答を待った。
「お待たせしました、H級魔道士のテルさんですね。そして、あなたの支障はベルトさんということですね」
「はい」
「それでは、どのようなギルドに入りたいですか?」
「というと……」
「あなたにあったギルドに絞っていきます、例えば、メンバーの交流が多いギルド、人族がいいなど諸々の希望です」
「特には……」
「特になしと。それではあなたについて教えてください」
「何を言えば……」
「年齢、魔法についてなどなど適当に」
「須藤輝、十七歳、男、人族」
「それらはどうでもいいです」
「熱の魔法、条件稼働系魔法」
「なるほど、なるほど。他にあなたの性格などは……」
「(自分で言うのは嫌だけど)無知、恥ずかしがり屋、怒りっぽい、まだった目標はない、つまらない」
「もういいですよ、女性関係の方は?」
「ん?」
「いないと、はい、少々お待ちください」
輝はぼーっと何もせずに立っていた。
「終わりました、あなたにあったギルドは……ドレアニクですね。一つしかないのは珍しいですが、それほどあっているということでしょう、それではこれが身分証明書、ギルド推薦書とギルドへの地図です」
それらは小さな窓から出てきた。
「(ドレアニクか、変な名前だな)」
輝は魔法協会を出た、しかしベルトはどこにもいなかった。
「(どこだ?)」
[両替所の女性は知っているようでしたよ]
「(行ってみるか)」
輝は再び魔法協会に入り、先ほどの女性に話しかけた。
「あの、ベルトのこと知っていたみたいだけど…」
「テル君だよね」
「はい」
「これベルトさんから」
輝はメモ用紙のような紙を受け取った。
「(なんて書いてあるんだ?)」
[輝へ
無事ギルドが決まったみたいだな。おそらくお前にあったギルドはドレアニクだ。ギルド生活楽しめよ!
ベルト」
「(なんだよ、これ)」
すると、メモ用紙は灰になった。
[まぁ、地図に従うしかありませんね]
「(くそ、やってやるか)」
[バーナスのためにもですよ]
「そうだったな、彼女のためにもやってやるか!」
輝は、魔法協会を出ると、地図通りに進み始めた。輝は地図に忠実に従っているにもかかわらず、なかなかつかなかった。
「(どうしてだ)」
[先ほどから地図が変わっていますよ]
「(どう言うことだよ?)」
[魔法ですね]
「(これも試練か?)」
[かもしれませんね]
「(どうすれば…)」
何も輝の頭には浮かばなかった。
「アァーーーーーーー」
周りの人は輝を冷たい視線で見た。
「(声だしちゃった……)」
[体温が上昇しております]
「(わかってるよ、だって超恥ずかしいし)」
すると地図が一変した。先ほどのような宝の地図のような見た目から、最新の車のナビのように。現在地及び、目的地が記載されており、ルートまでもが示されている。
「(こういう系かよ)」
輝は魔法の地図を使いながら、長らく走った。都市部からも離れかなり人も少ない通りだ。
「(これって壊れてんのか?)」
[そのようなはずは……]
「(でも俺もう恥ずかしさなんて……)」
[目的地に近づいていたのに……]
地図はまた、古びた地図に戻ってしまった。
「(まじかよ)どうすれば……」
「君! どうしたんだ?」
「どれに開くと言うギルドを探していたのですが、魔法が切れてしまい、この地図は……」
「魔力が切れたと言うことか」
そのものは、二十代後半から30代前半ぐらいのみたえで体型はいたって普通。身長は高い方だろう。見たところでは、魔道士というよりは、町人などの見た目だろう。
「名前は何ていうんだい?」
「テルだけど……」
「テル君、ついてきたまえ」
そして、輝はその男についていくこと数時間、自身がどこを歩いているのかはさっぱりわかっていなかった。道をただひたすら歩き続けた。日も暮れ、とっくに真夜中であった。
「(ここって、どこなんだよ)」
[わかりませんね]
ちょうど日が出てきた頃、家が立ち並び、柵で覆われている集落のような場所が見えてきた。建物は貧しそうだが、煉瓦作りのものがほとんどだ。
「(ここか?)」
すると、集落の中でも最も大きい建物にたどり着いた。柵の外からでもこの建物の屋根を見ることもできた。その建物は、木でできているようで、かなり古びた様子であった。
「到着だ!」
[魔法ギルドドレアニク]




