第十八話 賞金の行方
第十八話 賞金の行方
外へ出てすぐ、ボンドがテルに話しかけた。
「兄ちゃんすごかったな、参加費もらうぞ」
「いくらだ?」
「一億ハイルだ」
「嘘つけ」
「利子だよ」
「一日も経ってないぞ」
「いいじゃねーか、金持ちなんだから」
「じゃあこれで十分だろ」
輝はボンドに五千万ハイルを渡した。
「おぉ、ありがとな」
「(一千万ハイルだって待機部屋で盗み聞きしてたんだけどな。ま、あれぐらいはいいか)」
輝は大通りを歩いてローブ屋を探した。人はまだ多く、恐らくはコロシアムの影響もあるのだろう。皆がローブを着て、大通りを歩いていた。
「(どこにローブ屋があるんだ)」
[前回のところはどうですか]
「(あそこはちょっとな)」
[じゃあ、看板の名前から探してみますね]
輝は大通りは真夜中でも街灯が明るく照らしており、ほとんどの店が二十四時間営業とみられた。トクは看板を一つ一つ輝に伝えた。
[ゴッサの鍛冶屋、マリンローゼ、ボルトの宿、ローブ屋ゲルマ、ドリクスの服屋、マトックの母、情報屋ジンクス、スルトマーケット……]
「(ちょっとまった、ローブ屋って言ったか?)」
[はい、ローブ屋ゲルマですね]
「(よし、そこ行くぞ)」
[この前の店ですが……]
「(やめだやめだ! 服屋って言ってなかったか?)」
[ドリクスの服屋ですか?]
「(そこ行くぞ)」
[了解しました]
輝はまた来た道を戻り、ドリクスの服屋に入った。輝は店内を見渡しながら、ローブを探したが、普通の服や、ジーパン、スカートなど、日本の服屋にもあるようなものから、こちらの伝統的か日本にはない服まで揃っていた。しかし、ローブは見つからなかった。
「いらっしゃいませ」
輝は現在きている服がボロボロということもあり、奇異にったジャージを一式揃えた。トレーナーに、パンツ、靴をどれも赤色で揃えた。
「すいません」
「はい、なんでしょうか?」
「これください」
「ありがとうございます」
「あと、ローブ売っていますか?」
「ローブ!? は、はい。どの色のお求めですか?」
「何色がありますか?」
「えっと、紺色、赤茶色、濃い緑色、白色とありますが……」
「黒はなんなのですか?」
「あれは気になさらないでください」
「(気になるなー、どれにしようかな?)」
輝は赤茶色のローブを指定した。そして、合計金額は十万ハイルであった。
「ちょっと、安くないですか?」
「ローブはおまけです」
「ありがとうございます」
輝は五千万ハイル札を渡した。どうやら五千万ハイルが一番大きいお金で、輝は二十枚賞金としてもらっていた。店員はおどおどしながらも、お金を丁寧に数え、輝に千ハイル札を四枚、五百万ハイル札を一枚、百万ハイル札を四枚、五十万ハイル札を一枚、十万ハイル札を四枚渡した。どうやら、五千万ハイルまで、五の倍数ずつのお金があるようだ。よってテルの手元には、九億四千九百九十万ハイル残っている。
「ゴーン」
鐘の音が鳴り響いた。
「(こんな真夜中に……)」
「終わりましたね」
「すいません、お手数かけました」
「いえいえ」
「服を着替えたいのですが……」
「こちらでどうぞ」
輝は店の試着室と思われる場所で新しい服に着替え、動きやすさに満足した。
「この服をよかったら捨てておいてもらえませんか?」
「は、はい。ありがとうございました」
輝は仕上げにローブを羽織り店外へ出た。
「えぇ、えぇーーーーーーーーーー!!!」
大通りにはまだ多くの人がいる、しかし誰一人ローブを羽織っていなかったのだ。輝は慌てて振り返ると、店員も濃い緑色のローブを脱ぎ、若い女性の姿があらわになった。
「(な、なんでだよ。おい、トク!)」
[わかりませんよ]
輝はとっさに歩いている人に話しかけたが、無視されてしまった。輝は周りに合わせるべく、ローブを再び脱ぎ、大通りを歩き始めた。時刻はすでに二時を回っていると考えて良いだろう。
「(そろそろ疲れたし、アイリスの宿に行こうかな)」
[道はわかりますね]
「(あぁ、ひたすらまっすぐだろ)」
[宿屋リスナーですよ]
「(通り過ぎたら教えてくれ)」
[わかりました]
輝は大通りを道沿いにまっすぐ歩いて行った。
[この右手の宿ですよ]
「(サンキュー)」
輝は宿屋に入った。すると、ローブを羽織っていないアイリスが出て来た。
「いらっしゃいませ、えって、テルじゃん」
「まだ起きてるの!?」
「今日は客多いからね」
「部屋空いてるか?」
「ちょっと忙しいから、後で私の家に連れてくよ」
「(アイリスの家!)料金はこれでいいか?」
輝はアイリスに五千万ハイルを手渡した。
「テル!? 何? ちょっと」
アイリスは驚きながらも、嬉しそうに受け取った。
「食事もついてるとありがたいんだけど……」
「もちろんよ、ちょっと待っててね、今すぐ作るから」
アイリスは奥に入って行ってしまった。輝は特に何も言われてないため、アイリスが座っている宿の入り口の椅子で座って待った。
「(後いくら残っているっけ?)」
[今の出費で、残り八億四千九百九十万ハイルですね]
「(やっぱ多すぎたかな?)」
[そうですね]
「(残りは何に使おう?)」
[貯金も大切ですよ]
「(情報屋で使うのはどうだ?)」
[それもいいですけど……]
そうこう何にお金を使おうか考えているうちに、アイリスの声が聞こえた。
「テルー、お待たせ!」
アイリスの行った奥に進んで行くと、前回泊まった1号室を通り過ぎ、部屋を計五、六室通り過ぎると、一つの扉が開いていた。そこからは明かりが漏れており、アイリスの声もそこから聞こえていた。輝は
扉を開け、部屋に入った。
部屋はフローリングのようなものが敷かれており、テーブルと椅子が四つあるしいさな部屋であった。テーブルの上には、いくつもの料理が並べられており、匂いだけでもお腹が空きそうであった。アイリスはエプロン姿でキッチンと思われる扉から出て来た。
「お待たせ、早く食べて」
「美味しそう」
輝とアイリスは椅子に座った。料理は、ご飯にコンソメスープのような液体、野菜の炒め物らしきもの、黒いモジャモジャ、小さく白くて丸い玉のようなもの、麺、そして、唐揚げだ。机にはフォークと思われる先が三つに分かれたものが置かれていた。また横には、切れ味の良さそうなナイフのようなものが置かれていた。
「(これってルーマスチキンとライスなのかな? ナイフアンドフォークか……)いただきます」
「えっ? 何?」
輝はものすごい勢いで食べ始めた。
「(この野菜炒めうまいな、どんな野菜使ってんだろ? この麺とご飯は一緒だな、唐揚げは前の食堂の方がうまいけどいいか)」
「ねぇ、どう?」
「すごい美味しいよ」
「そのブークとホロクも食べてよ」
「(この黒いのと白いやつのことか? うまそうじゃないな)わかったよ」




