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異世界でもコツコツ強くなっていきます!  作者: 黒陽
八章 明らかになる真実
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第百十八話 キリの真実

 第百十八話 キリの真実


「どう言うことだ? 知らないって言っておいたって!」

「テルはキリのことどう思ってるんだ?」

「特に何も感じてないな。確かに、キリがしたことは間違っているけど、何か理由があるかもしれないしな。特に、ライキが捨てられたのは」

「そうか、よかった。そうだ、俺はキリの存在を知っている」

「じゃあ、何で嘘を!」

「いや、俺は嘘をついてはいないぞ。ライキが聞いたのは翼の魔法を使えるキリと言った。そんな奴は俺は知らない」

「つまり、翼の魔法ではない……」

「あぁ、まぁ、居場所は知らないんだけどな」

「何だ。だったらどうせ意味なかったか」

「まぁ、このことを黙っておくよな」

「まぁ、何にも収穫ないしな。ただ翼の魔法じゃないことぐらいしか。後、このことは言わないから安心していいぞ」

「ならいいんだが」


ベルトは真剣な顔で輝の方を見つめた。そして、場所を移したいと、人気のない塔の天井で座って話し始めた。


「テル! お前が自分の世界に戻れるとしたら、どうする?」

「……(どういうことだ……)」

「言葉を失うのもわかる。だが、ある全てをキャンセルする物質があるのは知ってるか?」

「…… (もしかしてレイが必要だって言ってたやつか?)」

「それは魔法を無効化する物質だけどな、もしかしたらテル、お前元の世界に帰ることできるぞ」

「…… いい」

「どっちのいいだよ!」

「俺は自分で選んできた」

「戻るつもりはないということか?」

「もしその物質を持ってるんだったらレイを何で戻さないんだよ!」

「レイ? あぁ、レイにも会ったのか。わかってる。そのこともいつかわかるさ。後、その物質はまだ持ってない」

「手に入れ方を知ってるのか?」

「宛ができたからな。もしお前が戻りたかったらと思ったんだ。師匠として何かしたかったからな」

「何だよ! 今頃、師匠づらして!」

「わかる。俺の師匠もそんな感じだったからな」

「じゃあ、何でそれを繰り返してんだよ!」

「だからこうして来たんだろ!」

「いい! レイを戻せ! じゃあな」

「ちょっとは可愛い弟子になれよ」

「は? あと、サクラ先生が会いたがってたぞ」

「知ってる。じゃあ」


ベルトは一瞬にして姿を消した。サクラ先生が虫の知らせを聞いて飛んできたのが、すでにベルトはいなかった。


「先生、ベルト行きました」

「えぇーー」

「それでは失礼します」


輝はその日なにをすべきか考えていた。そう、輝は頭のどこかで母の元に戻りたい、迷惑を掛けたくないなどの想いも抱えていたのだ。長い間、心配させ、母を一人に残したことを後悔したこともあったのだ。


「(戻りたいかって? 戻りたいよ。でも、俺が来たんだ。別にこの世界が嫌いなわけでもない)」


「(此処で学んだこともあるし、友達もできたしな。辛いこともあるけど、やっぱり俺を戻すぐらいなら、レイかバーナスをだな)」


しかし、訓練は怠らなかった。というよりも、それが輝が考えなくていい時間を与えていた。進展として、輝は基本運動をタンタルをまとった状態でも行うことができるようになった。問題は速度と重さであったのだが、スムーズに動くことができても、やはりメタルがない際の速度と比べてしまえば、比較にならなかったのだ。


「(あとは持ち歩きも大変だし、本当に使うかどうかは考えないとな)」


輝はタンタルを使わないことも考えたのだが、実際今だにトラウマが克服しきれておらず、結局は頼らざるを得ないことに気がついた。そうだ、体に纏ってしまえばい、どのように攻撃してもトラウマを思い出さずにすむという、極限のトラウマ逃避術であった。すでに、克服することは諦めていたのだ。


「(そういえば、レイキはなんか瓶に入れてたな。重さが関係なくなる魔機の袋とかあればな。ボビーに聞いてみるか)」


そうして、輝はすぐに B組に降りていった。実は、輝のあの事件以来、A組と B組の格差を広げ過ぎないように、両クラス間の移動の制限を減らしたのだ。B組の生徒は話を通せば、四階に行くことができ、A組の生徒に至っては、無言でも何も言われないのだ。


「あのボビー?」

「テル? どうしてまた?」

「それがさ」

「何? また聞きに来たの? いやだよ、魔機師専門学院のことは断ったはずだよ」

「いや、そのことじゃなくてな」

「何だよ」

「魔機の相談なんだ」

「おぉ! 僕に任せてよね」

「入れた物の重さがなくなる袋とかってあるの?」

「軽くなるってこと?」

「あぁ、すでに入れた物はそのままの重さだけど、袋に入りきる奴は知ってるんだけどさ。あるなら、メタルを入れとけるなっと思って」

「あるにはあるけど、重さがなくなるっていうよりは、軽くなるっていった方が正しいかな」

「そうなのか! 使えそうだ!」

「でも、テルってお金持ってんの?」

「えぇ?」

「もしかして、そんなこと考えてなかった? 去年は十マジクまでなら大丈夫だったけど、もう二年生にもなってくると、自分で全て集めないといけないからね」

「集めるったって、バイトもないんだしさ」

「バイト?」

「あと、家族いるわけじゃないからさ」

「テルは知らないのか……」

「何をだよ!」

「この学校のほとんどの生徒は自分で使う分は自分で稼いでるよ」

「だけど、仕事なんて!」

「やっぱりね。みんないろいろなことして稼いでるんだよ」

「いろいろって? ボビーは?」

「僕は魔機のカウンセリング及び修復をね」

「俺、金持ってないぞ……」

「安心して、テルからは取らないよ」

「そうか、よかった。でも他の生徒は?」

「ジクールで仕事してる生徒が多いかな。飲食店だったり、武器屋さんだったりさ」

「つまり、みんな……」

「外に出てるって? 当たり前だよ、僕はしないけど、学校側だって黙認してるしね」

「えぇ! でも、みんながみんなあの壁を越えることができるなんて!」

「壁? もしかして、学校のあの壁の上を通っていくんだと思った?」

「違うのか?」

「そんなことができるのは、僕のクラスではカレンぐらいかな」

「じゃあ、どうすんだよ!」

「そりゃあ、先輩が壁に作った穴を通っていくだよ」

「穴?(そんなのあったか? まぁ、注意も払ってなかったけどな……)」

「そうだよ、今度それ通ってお金かせがないとね」

「でも、今は……」

「流石に貸すことはできないよ」

「わかってるよ」

「とにかくありがと! って、ライキたちめ!」


 輝は上階へと駆け上がっていった。


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