第百十四話 破って見える世界
第百十四話 破って見える世界
ライキはその日から学校に残っていた。そして、キリという名を捨てて、ライキと言うなを名乗り始めたのだ。
「キリ…… じゃなくて、ライキ。気を使わせたみたいでごめん」
「別に構わないよ」
「でも、なんで残ってるの?」
「色々あってな」
ライキの視線を逸らすのはカイだ。体にも特に以上は無いように見えるのだが、カイは身震いをしていた。そして、メイスは何事もないように座っていた。
「それじゃあ、授業を始めるわよ…… と、その前に、知っての通り、今日からキリはもう学校にいないわ。そして、代わりに新しい転校生ライキよ」
「名前変えただけだろ!」
「いいえ、その結果師匠である魔賢者マグニスの弟子ではなくなったから、ただの一生徒よ。あと、昨日の午後に色々あったみたいだから、クラス内順位はなくすことにしたわ」
「「えぇー」」
その日の授業も問題なく終わり、輝、ライキとケレン、そして許可をもらったカレンの四人で集まった。
「で、何故カレンがここに?」
「別にいいじゃない」
「テルもそんなこと言うなよ。ちなみに、初めまして、ライキと申します」
「わ、私は、カ、カレン、ケレンの姉のカレンです。と、もうします」
カレンはイケメンに挨拶されて戸惑う少女のように震えながら言った。
「結局、みんな顔かよ」
「テルも顔悪いわけじゃないだろ」
「なんだよ、自分はイケメンってわかってるぜ。みたいな言い方」
「違うのか!?」
「そうだよ!」
今日、四人が集まったのはケレンが集合をかけたからである。
「それで今日集まったのは……」
「「集まったのは?」」
「キリのことよ」
「俺関係ないじゃん」
「いや、話を聞いたからには」
「そんな大事な話だったか?」
「えぇ、ケレン。あの、あの話をしたの!」
「おぅ、わかったよ(何が重要だったんだ? アウェスのことか?)」
「俺がなんでいるのかはわかったんだけど、どうするんだ? キリを探し出して、殺しでもするのか?」
「それじゃ、気が済まないわ」
「……(それで済まないって、よっぽどの事だったんだな)」
「ケレン、殺すんじゃなくて痛めつけないとね」
「(そう言う事明るい声で言うなよ!)まぁ、とにかくいまはどうするんだ? 何も手がかりはないんだろ?」
「いえ、あるわよ」
「えぇ、まじ?」
「でも、問題が学校から出られない事だね」
「いや、普通に出入りできるけど……」
「ライキだからだろ。見えねーよ!」
「いや、私も休みの間たまに出てたけど何も言われなかったわ」
「それは、ケレンだからだろ!」
「えぇ、でも……」
「カレンは黙ってろ!」
「私、他の生徒を見かけたりもしたし…… て言うか、輝は休みの間何をしてたの? なら聞くけどさ」
「それは……(ゲームとか、完全にダサいじゃん)機力を極めてた」
「それであれ! そりゃないわ!」
「いや、でもレイキとの戦いで……」
「そうそう、レイキとの戦いでどうなったんだ?」
「あれ、覚えてないの? まぁ、すぐ倒れたからって言うのもあるかもしれないけどさ」
「それで? (単純にきになる!)」
「私も知らないわよ。気づいたら、レイキが跡形もなくいなくなっていたって感じかな」
「そうだ、レイキ、今は?」
「えぇ、本当に何もって感じなのね。あなたが殺したじゃないの!」
「いや、それは聞いてないぞ!」
「あれ、もしかしてこれは伏せとかないといけなかったっけ…… やば……」
「どう言う事だ! トク、違う俺が殺したってことか!?」
「そうよ! あなたがね……」
「まじか……(トク……やりすぎだぞ……)」
「もう、二人とも集中して! それでこれから学校が終わったら外で集合して、情報を集めるわよ!」
「外でって、どう出るんだよ!」
「普通に外壁をつたって…… 氷で……」
「参考にならん、カレンは?」
「普通に風でふぅーと」
「…… ライキ……」
「門番の横を通って言ってもバレないよ!」
「…… (こいつら超人かよ)」
「俺には無理だわ……」
「試してみれば案外余裕よ!」
「そうそう、あなたのメタルかなんかを使えばさ! ケレンの氷みたいに!」
「いや、重くて無理だし」
「だから、門番の横をすっと!」
「ライキの速さがないとな……」
「いや、テルモ十分速いだろ」
「…… そういえば、門番に見つかったらどうするんだ?」
「今までなら、魔賢者マグニスが待っているって言えば」
「俺には無理じゃねーか。しかも、ライキ、お前もできねーじゃねーか! いや、ライキとして弟子入りするつもりだぞ」
「マジで、そんな簡単になれるものなのか?」
「まぁ、師匠は俺のことを知ってるからな」
「とにかく、輝はどうにか外に出て、それでキリについての情報を集めて、捕まえる。そのあとのことは、後で、煮るなり焼くなりね」
「その手助けはしないぞ(俺の魔法は拷問にぴったりじゃねーか)」
「わかってるわよ」
ケレンは舌打ちした。
「それでキリの居場所の当てはあるのか?」
「ないわよ」
「じゃあどうするんだよ」
「まだわからないわ」
「結局話は後でってことか」
「そうよ」
そうして、秘密の会議は終わり、各々が自室に戻った。しかし、キリという人物の正体、そしてどうするのかということは輝を悩ませた。なぜなら、悪い親、悪い人物だとしても、実際理由があったのかもしれないためだ。輝からしてみれば、一方的に攻められる他人を痛めつけるために行動することになるということであった。
「(俺はどうすればいいのかな? トクがいたらな…… でも、まさかトクがレイキを殺すまでするなんて)」
「(何があったか知らないといけない…… ってか、ベルトなら知ってそうだよな。だって、魔法協会の副会長ならそのぐらい知ってそうだもんな)」
「(でも、ベルトに会えるわけないよなってか、どうやってベルトはライキを見つけたんだ…… 謎が深まるばかりじゃねーか)」
次の日の授業後、輝はライキに背負われて学校を初めて抜け出した。何をするのでもなく、ただ学校を何事もないのかのように出たのだ。すると、そこに開けたのは今まで見たことのない賑わいを見せた魔法界学法都市ジクールであった。行き交う人は微笑み合い、様々な生徒がいる。そうだ、他にも生徒がいるのだ。
そして、その生徒は同じ学校の制服ではない。そう、つまりはジクールには他にも学校が存在することを意味していた。また、輝が人の数に驚いたのは、制服を見られるのを恐れたからであった。しかし、輝は気がついた。同じ制服の人がちらほらと点在することを。また、学校もそこまで規制を固めていないという事も。




