第百五話 逆の対立
第百五話 逆の対立
「じゃあ、こっちがレイキだ」
「なんですか先生。俺忙しいんだけど」
そこに出てきたレイキという男は、輝の予想していた上をいった。容姿端麗、水色の髪に、筋肉質の体、言うことなしだ。とはいうものの、輝と多くを共通していた。身長、見た目、そして種族さえも共通だ。ただ髪の色とかっこよさにおいてレイキが上をいっていたのだ。
「それがな、こいつ、去年この組でA組に上がったやつなんだけどな、法力の制御ができないんだ」
「それが俺とどう関係あるんだ! 俺だってA組とさえしてればな!」
レイキは冷たい目で輝を見た。
「レイキ、そんな自信があるんなら、やるか?」
輝は劣等感を感じたままに言いすぎてしまった。
「おい! テル! 勝手なこと言うな!」
「いや、先生! こいつ、いやテルとやって俺が負けたら教えますよ!」
「勝ったらどうするつもりなんだ?」
「A組行っていいですか?」
全生徒はこの三人に注目していた。そして、この発言には皆が目を見開いた。
「いや、レイキ! そんな勝手なことが許されるわけ」
「先生、俺は構わないけど(最近全然戦ってなくてうずうずしてたんだよな)」
「いいえ、いけません!」
しかし、輝とレイキはすでにやる気が満々だった。
「いいえ、絶対に許されませんよ! そんな勝手な! 私が良いといっても、これは B組だけじゃないですからね!」
「私は許可します!」
そこに入ってきたのはサクラ先生だった。
「えぇ、いや待ってください、サクラ先輩」
「だから、私はレイキとテルの試合を認めるってこと」
「で、でも、知ってますよね。テルの……」
「だから、何? 別にA組も強ければいいからね。彼がテルより強いのなら構わないわ」
「わ、わかりました。どこでしますか?」
「あなたの魔法で同にでもできるでしょ」
「わかりました」
どうやらダルク先生はサクラ先生の後輩で、言い返せないようであった。
「あの……私たちはどうすればいいのですか?」
そう聞いたのはカレンだった。
「そうだな、一日ぐらい特訓はいいだろう。この体育館を使うしな。後、レイキは法力のコントロールに長けてるからな。しっかりみろよ」
「「はい」」
そうして、休む暇もなく、体育館は観客席が数席ある闘技場へと変貌した。このようなことにおいては、ダルク先生のコントラストは本物であった。また、繊細な内装からもわかるように、ダルク先生の機力と法力は誰もを凌駕しているようにも見えたのだ。しかし、人前で魔法を使わないサクラ先生の実力はやはり未知数であった。
「(トク、面白くなってきただろ)」
[……]
「(わかったよ、でも見てろよ)」
そうして試合は始まりを迎えた。
「それでは、A組テル対B組レイキの試合を始めます。ルールは無し。以上を持って開始する!」
二人は戦闘では恒例の距離をとった。そして、お互いを睨み合うんだ。どちらが先行をとるか、相手はどのように魔法を使うのか、何もかもがわからない際はこの戦法に間違いはない。
「レイキ、お前かなり自信があるみたいだな。さっさときたらどうだ?」
「挑発しているつもりか? お前だって、A組なんだろ! やれるもんならやってみろよ」
硬直状態は長らく続いた。どちらかが集中力を切らすのを待つ。そう言う長い戦いだ。
「もう、わかったよ!」
先行に出たのは、輝だ。法力を足元に集中し、全速力でレイキに接近した。しかし、レイキは恐れを抱いている様子もなく、輝の拳を正面から受けた。
「やっぱり、噂通りの腰抜けだな。相手には法力使えないってか」
レイキは輝を鼻で笑った。
「(やっぱり無理だな。できると思ったのに…… てか、知ってたのかよ。もし克服してたら一撃だったぞ)」
しかし、輝はある異変を感じた。それは、殴った拳にある痛みだった。確かに、ほかを殴ると自信もを傷つけることはあるのだが、今回は違った。
「レイキ、何をした!」
「……」
レイキは不気味な笑いをした。
そうして、輝は再び、直接攻撃に出た。全速力でかけると、次に同じ右の拳に熱を込めて……同じく不発だった。
しかし、輝はあることに気がついた。熱を込めた瞬間に、痛みが和らいだのだ。そして、殴るとまた来る痛み。今回はその後にすぐに法力を右手拳に送ることで、すぐに解決した。
「レイキ、お前の魔法、熱なんだな」
「何の話をしている!」
「しかも、熱い方じゃなくて、冷たい方の」
「黙れ!」
「いや、別にすごいと思うよ」
「黙れ! 氷に劣ってるとか言うんだろ!」
「いや、別にな…… だって熱と炎だってお互いの良し悪しがあるだろ。氷は温度を変えるのに不自由するみたいだけど、冷たいと逆なんだなっと思って」
「熱の方が強いって思ってんだろ!」
「いや、別に……」
「いいさ、笑っておけよ。いまに見てろ!」
レイキは自身満々に微笑んだ。
「(そろそろやるか!)」
輝はタンタルを取り出した。そして、みるみるうちに形は短剣へと変貌した。しかし、いつかの短剣とは違うことに誰もが気づいた。刃は鋭く、薄いのだ。
「悪いな! 別に死にはしないだろ!」
輝はそのまま、同じ全速力でレイキに刃を振りかざした。しかし、輝には何も斬れた感触を感じなかった。
「(あれ?)」
そう、レイキの方を見ると無傷なのだ。
「その程度か!」
「熱を下げて硬くしたってことか!」
「その程度なのか……」
レイキの顔には満面の笑みがある。そして、そこには伝わってくるような印象があった。勝利を確信した自身があったのだ。
すると、レイキは液体の入った瓶を取り出した。そして、それの蓋をあけ、そのまま床に流れなかった。
「くそ……(凍らせるってことか……)」
そのまま、その液体は固体へと変貌し、輝の短剣とは違った、長い長剣が出来上がった。
「でも、機力のコントロールができないと意味がないんだよ! 俺だってかなり苦労したからな」
しかし、輝の情けない言い分も悲しく、形が決まって剣は今、刃の鋭さを増していた。唯一の輝と比べた弱点はその時間だったのだ。しかし、それを知る由も無い輝はそれを見ながら、考えていた。何が来るかと。そして、後悔することになる、まるでテレビの悪役のように、なぜ相手をわざわざ待っていたのかと……
そうして、熱い熱を発し、短剣を扱う輝と冷たい熱を発し、太刀を扱うレイキの本当の戦いが始まろうとしていた。




