第百四話 波乱の予感
第百四話 波乱の予感
「テル、大丈夫か」
輝は病室のベッドの上で目を覚ました。
「ここは…… あれ、ボビーじゃん」
そこには、ボビーが心配そうに輝を見つめていた。
「ダルク先生……」
「おい、テル、芝居は終わりだ! お前元気なんだろ!」
「はい!」
輝はそのまますぐに立ち上がった。そう、元気だったのだが、ベッドの上にいてみると、体もだるく感じていたのだ。
「それで俺はどうすればいいのですか? 魔力の制御を訓練すると聞いたのですが……」
「それが、ボビーから機力の制御を、法力はカレンかレイコどっちがいい?」
「どっちがって……」
「なんならC組から上がってきた生徒でもいいんだけどな」
「いや、誰でもいいです……」
「後、メタルのことも聞いてるから、ボビーに聞くといいんじゃないか?」
「(そうだよな、ボビーがタンタルを教えてくれたわけだし)わかりました」
「じゃあ、今ボビーここにいることだし、このまま鉱物の分類の方頼んだぞ」
「わかりました」
「はい」
そうして、輝が向かったのはボビーの部屋だった。また、そこには四つの箱が準備されていた。
「これって……」
「今日からテルと住めってさ」
「どんだけ?」
「わかんないよ」
「でもルームメイトとかいなかったのか?」
「あれ? テル、知らなかった? 個室だよ」
「えぇ? でも、去年は……」
「毎年良くなってくんだよ! いいだろ!」
「まぁ……」
「後、テルがいるときのために、部屋が大きくなってるしな!」
「へぇー、でも割にあわなくない?」
「そうでもないよ。だってD組がないだろ」
「えぇ…… えぇ?」
「じゃあ、一階ってどうなってんの、今?」
輝は階段を上がる際に特に注意を払っていなかった。四階にいける喜びのあまり、気にしていなかったのだ。
「えっと……」
そうだ、ボビーもそのうちの一人だったのだ。
「コロシアムとかなんじゃね」
「そうかもな……」
「とにかく、タンタルの鉱物のこと、ちょっと調べたんだ」
「それで! 何がわかった?」
「どうせ、名前はわかんないだろうから言わないけどな」
「それで! どうすれば!」
「主に四つのメタルが入ってることがあるんだ。それで、タンタルは三千度ぐらいだって言ったでしょ」
「まぁ、俺がそう頼んだしな」
「それより、温度を言ってくよ! 千三百度、千六百度、二千五百度を順に分別していけばいいはずだね。念のために、タンタルだけっていうなら、三千百度ぐらいで最後を占めたほうがいいかな?」
「えぇ……もう一回言って!」
「わかったよ。千三百度と千六百度、二千五百度、三千百度ね」
輝は鼻で笑った。しかしそれは軽蔑の意よりも、自分の無力さを知ってのことであった。つまりは、自分自身を軽蔑したのだ。
「(トク、覚えたか!)」
[一回目で覚えましたよ!]
「(そうか、じゃあ、その時は頼んだぞ)」
[他人任せな! 今回は自分でしっかりとしてもらいますから! 何回も聞くのが恥ずかしいのなら、覚えてください!]
「(ひっでーな)」
そうして、輝は久しぶりに元気が残っているなか、法力を使った。
「(おぉ! 今何度だ!)」
[他人任せにしないでください!]
「(ああ、わかったよ! あの温度計使うからいいよ!)」
「ボビー、あの温度を測る魔機持ってる?」
「ダルク先生からもらっておいたよ」
「よかったよかった(お前は用無しだな)」
「えっと、テルは何を笑ってるの?」
[ほらみなさい]
「いや、何も。それよりも、計って!」
輝は法力を最大限出力した。結局、輝にはコントロールはできないため、最大限であるのかも実際はわからないのが。
「四千八百度! テル! すごいよ!」
「へぇー、結構あったんだな」
「でも、これじゃあ全部が全部溶けちゃうよ」
「そんなこと言われても、調節できないんだって」
「だからするんだって! ちょっと抑えるようにしてみて」
「抑えるって言ったって」
「僕は法力がさっぱりだからね」
「そういえば、C組から上がった誰かから法力の制御を学ぶって」
「あぁ、多分レイキだな。あいつ使う魔法も似てるから」
「レイキ。なんか強そうだな」
「うん。 C組トップだったらしいからね」
「へぇ、楽しみだな」
「そんなことより、僕からは機力だろ!」
「機力って制御いるの?」
「えぇ!? えぇーーー!?」
「だって、魔機使うだけだろ」
「……」
ボビーは黙り込んだ。そして、しかめっ面で輝の方を見た。
「どうしたんだよ! ボビー!」
「魔機を馬鹿にしただろ」
「ごめんって」
「いや、いくらテルでもこれはな……これは」
「ごめんって! 魔機使わないからわかんないんだよ」
「使ってみるか? それも教えてやるよ」
「おう(ここでなんか言ったらまじでキレられるわ。ボビー結構怖いな)」
「じゃあ、まずはテルのメタルの使い方をもう一回見せて」
「えぇ、最終試験で見ただろ!」
「いや、あの時はかなり……だっただろ」
「おう、見せてやるよ。もっと鋭利なんだからな!」
輝はタンタルを取り出して、ケレンの小さな像を創造した。
「おいおい、なんでケレンなんだよ!」
「別にいいだろ! でもすごいだろ! リアルだろ!」
「リアルって言ったって! でも、確かに機力の集中にはかなり自信があるみたいだけどね」
「ケレンと特訓したからな」
輝は自慢げにボビーの像をも創造した。
「すごいだろ! これボビーだぞ」
「俺、こんなに太ってないぞ!」
「わかった、わかった!」
輝が次に創造したのは、極限まで痩せさせ、筋肉をつけたボビーだった。
「どうだ、こうなら文句はないだろ!」
「テル、馬鹿にしてるのか! もう、いいわ。じゃあ、魔機について教えるよ」
「そんなことよりもレイキにあっていいか?」
輝はボビーの話を差し置いて、話を止めた。
「そんなことって!?」
「いいか?」
「わかったよ! いつも忙しそうにしてるけどな」
輝とボビーはそうして、体育館へ向かった。
「おう、ボビーとテル、どうした?」
「あの、テルの法力の制御ってレイキが教えるんですか?」
「……確かにレイキはいいかもな。おぉ、ボビーありがとな」
ダルク先生は予想外であったのかのように、応答した。
「(先生は違う人を考えていたんだ……)」
[そのようですね]
「(トク、お前は黙ってろ!)」
[わかりましたよ。わかりました!]
輝とトクの間は波乱の到来を知らせていた。
しかし、それ以上にレイキと輝との波乱はそれ以上だったのだが……




