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第74話 カマセ……イヌ?

 少し遅れてしまいました。

 さて、それから試合はとめどなく進んでいき、遂に私の出る試合になってしまった。


『次! 番号札4番の選手!』


 はぁついに来てしまったか。


 受付のところでもらった番号札は4番と書いてある。


 仕方ない、行きますか。


 私は重い足を動かしながら会場に向かっていった。




 ◇ ◆ ◇ ◆




『さてさてさて、次ぐ来まして4番の総当たり戦、予選でございます! 今回の試合は波乱は巻き起こるのか!? それは選手次第です!』


 いや、別に波乱なんて期待してないし。


『それでは! 試合開始です!!!』


 司会の人元気いいな~なんて思いながら試合は始まった。


 まぁ隅っこにでもいますか。


 ほんと、アレン先生は私に何を学べというのだろうか。


「おいお前! そんな隅に行くんじゃねぇ!! 残って消耗したところを狙うつもりだろうがそうはいかない!! この俺が倒してやるぜ!!」


 暑苦しいのが来たよ。


 三、四年生くらいだろうか。

 そんなくらいの少年がこっちに来て話しかけてくる。


 まぁ実際はそう考えているんだけど、それでも簡単に倒せるとは思っていない。

 楽勝ってことはないだろう、だって頑張っている人は頑張ってるだろうしね。


 ガイとの戦いだってハンデはしたものの結構危なかったし。


「はぁーどうしよう」

「おらぁ!! 行くぜ!!」


 いちいち声をかけるとは律義な人だなー。


 結構な遅さで私のところまで迫ってきた。


 いやいやいや、ちょっとなめてんの?

 ああそうか、警戒しているのね。

 なんかね、顔がマジで迫っている風なのに、走っている速度が比例してないというか何というか。


 まぁ結局は遅いわけよ。


 こいつふざけてるの? とも思いはしたけどこんな場所でふざけないだろうし顔がそもそも真剣マジだし。


 さて、どう対応したもんか。


 普通に殴って終わりでいいか。


 因みに私の腰には刃を潰した剣が差してある、この総当たり戦や対抗戦では平等と安全を期すために普段使っている鋭利な武器は使えない。


 安全とか言っときながら魔法を本気で使っている時点で安全もクソもない気がするけど。


 でも、刃は潰していても痛いものは痛い。

 一種の鈍器だからね、これ。


 これを使って攻撃するのも忍びないので、素手で行こうと思う。


「はぁ!!!」


 相手の少年は物凄い大振りで振りおりしてきた。


 女の子にそんな事するなんて、こいつどうにかしてんじゃない? とも思わないわけではないが誰に対してでも全力精神なのだろう。


 その振り下ろして来る剣を華麗によけてすれ違いざまに首にストンっと。


 少年はぐらりと崩れ落ちた。


 そもそもね、一撃目から大振りってどうかと思う。

 そんなの体がら空きになるから狙って下さいって言っているようなものだよね。


「君やるね~ソイツ三年な中でも結構優秀な方なんだよ?」


 突然話しかてきたソイツはこの倒れている少年と同じぐらいのように見える。


 てか、ちょっと言っていい?

 

 弱い!? これで優秀な方とか弱いわ!!


 そして話しかけてきた少年の後ろには予選出場選手の山が有った。


「素敵なレディーに僕の名前を教えてあげよう」


 そして、右目をパチンとしながら変な格好をして。


「侯爵カマセネコの三男、ジョセフ・カマセネコだ」


 そんな仕草をすると観客の貴族席の令嬢たちがキャーキャー言い出した。


 ……正直に言おう、チョー気持ち悪い。


 うぇーなんて言うんだろう、このモヤモヤして気持ち悪いの。

 そうだ、こいつ絶対にナルシストだ。


 よし、決めた、こいつは倒そう。


 だってキモイ、マジでキモイ。


「……そう」

「照れちゃってるのかな~可愛い子猫ちゃんだな~。僕は罪な男だ、またも一人のレディーのハートを射止めてしまったか」


 ヤバい、吐きそう。


 てか、さっさと来いや!! こっちはそっちがするの待ってんだよ!! この気持ち悪さを耐えながら!!


 私は別に目的を見失っている訳ではない。


 この言い方からすると、彼は私が倒した少年よりも強いのだろう。


 だとすると、彼をいとも簡単に倒してしまっては非常にマズイ、注目の的になってしまう。


 面倒なことは御免だ、今私は上級生をを一人倒してしまっている。


 普通、一年生では余り出来ないだろう。


 つまりは何回も簡単に倒してしまってはダメだ、苦戦の末ようやく倒したことにしないと。


 だからこっちから行くとなると苦戦の演技がしにくいのだ。

 もし思っていた以上の力を出してしまったら、一瞬で倒してしまいそうだからである。


「じゃ行くよ」


 やっとか。


「さあ! 僕の華麗なる演舞を目に焼き付けるがいい!!」


 ああ、そう。


 てかお前もおせーよ!!

 何? もしかして、私が倒したこいつは優秀とか言っていたけどコイツの中ではってこと?


 ああ、それなら理解できるは。


 こんな奴らが優秀なんてどれだけ標準が低いんだって話だよね。


「ふっ君もやるじゃないか。僕の演舞についてこれるなんて、その年では凄いことだよ。だが、僕の本気はこんなものじゃない。褒美に見せて上げよう」


 コイツサッキカラナニイッテンノ?


 まぁ適当に受けながらいなしてるだけなんだけどね。

 私からは攻撃はしていないから受けるので精一杯とでも思っているんだろう。


 それにしても弱いなこいつも。


 どうしたものやら。


「誇るがいい!! 僕の本気を体験できることを!!! はああああ!!!!」


 雄叫びを上げながら私におっそいスピードで迫ってっ来る。


「獅子百激!!!!」


 本気とか言っときながら魔法でも戦技ですらない。


 それなのに技名つけるとか、あほなのかもしれないね。


「……もういいか」


 こんな奴に苦戦してたら、自分がバカになって来ている様な気がする。


 てか、そもそも強くないやつに負けるとかがいけないのであって弱い人に負けるのは違うだよね。


 私は剣をい構える。


 雄叫びを上げながら迫って来ている、カマセ……何だっけ?

 そう、カマセイヌに出来るだけ痛まない様に優しく剣を払う。


 それが、彼の顎を掠める。


 脳がぐらりと揺れたのだろう彼もどさりと倒れた。


「まぁこんなもんか」


『おおーー!!!! これは大波乱だァァァァ!!!!!!! 何と三年の対抗戦準優勝者がまさかの予選敗退!!!! これを誰が予想できたでしょうか!!?? 勝者はーー、な!! なんと!! まさかのライトリアです!! キリ選手の妹とは、兄弟揃って化け物かぁぁぁ!!!???』


「は?」


 私の思考が一時停止した。

 



 

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