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第72話 四日目

 今日は学園対抗戦四日目。


 いよいよメインイベントの総当たり戦の幕明けだ。


総当たり戦とは出場選手がランダムでそれぞれ配置される、この戦いでは全学年が出場できるようになっている。


 この一年に一度の学園対抗戦のメインイベントと言っていいだろう。


 まぁそんなメインイベントでも私は出場しないんだけど。


「何しているのだ? ユキくん、お前も出場選手だろう?」


 と、アレン先生がニヤニヤしながらこちらに来た。


「え? どういう事ですか? 私は出場選手じゃないですよ、登録だってしてないし」


 え、なに、なんか嫌な予感がしてきたんだけど……。


 今ここにいるのはアレン先生と私だけだ、他の一年は全員が選手登録を行っているからだ。

 普通は大体、上級生を倒そうだとか、腕試しだとか、実力の誇示だとか、まぁ色々と理由はあると思うけど大体の学園の生徒は全員出場する。


 貴族の場合出場していなかったら負け犬とかプライドがあって出場するんだけどね。


 でも私はそんなこと気にしないし、強くて誰かしらに目を付けられたく無いから出場しなかったけど、まぁ本音を言えばただ単に面倒くさいだけだったんだけど。


 だから私は出場選手にゃないはずだ、登録もしていない。


「言い忘れてたんだけど」


 と、ここでアレン先生は言葉を区切る。


 いや待て、待ってくれ、待って下さい!!


 そんな事はないよね! 私が想像していることは無いよね!! だよね!!!

 そんな私の心の叫びは虚しく……。


「シュテルン学園では、上級生の実力を直に体感して己の糧としてほしくて一年は全員出場しなくてはならないんだよね」


 うぎャャャーーーー!!!!


 そんな、バカな。

 そんな事先に言っておいてよそしたら色々と対策したのに、仮病とか。


 でも、言わなかったことは私が逃げるということを先生達は見越しての事だろう。

 くそう、この状況じゃ逃げられじゃないか。


 不戦勝で相手に勝ちを譲るのもありだとは思うんだけどそれでは兄様の顔に泥を塗ってしまう。


 ダメだ!! 完全に逃げ道が無い!!


「はぁー。分かりました、行けばいいんでしょう、行けば」

「ユキくんならそう言ってくれると思っていたよ、期待している」


 どの口がそう言うかね、はぁーもう諦めましたよ。

 こうなったら自棄やけだ自棄!!




 ◇ ◆ ◇ ◆




 まぁ、自棄になって自暴自棄になって暴走すればそれこそ優勝して目立ってしまう。

 それを避けるためには程よいところで負けなければいけないわけで。


 でもそうなるとタイミングが問題なんだよ。


 例えば誰とも分からない生徒が私の相手だったとする、そんな生徒に最初の一撃で負けたら? そんなのただの笑いものだ。


 どれだけ私は弱いだって話になる。


 もしそれが優勝候補の一人で、無茶苦茶強い人だったならば分かる。

 そんなの勝てる訳が無いと周りも納得するだろう。


 でも、そんな事普通は起こるかな?


 何百人の中からランダムで試合登録されるというのに。


 まぁ、もしかしたらそういうことがあるかもしれない。


 そうなったらラッキーだと思って一思いに負けてやろう。


 でも、そうじゃない場合が困るんだ。

 弱い出場選手に一撃ではなくとも接戦して負けたならばそれでも私は雑魚となり兄様が笑われるかもしれない。


 それを避けるためにそこそこ強い選手に圧倒されて負けなければならないんだ。


 そこで重要なには、如何に上手く負けられるかどうかだ。


 相手に悟られてはいけないのだ、負けようとしていること、手加減していることに。


 相手のどういった攻撃で受けて負けるかが重要だろう、やはりタイミングが大事だ。


 さて、私はゲーマーだ。

 プライドというのも勿論ある、まぁそんなの知るかとなった時も勿論あった訳だが……だがしかしこれは私の如何に上手く負けるかということが試されているゲームではないかと言えるのではないだろうか。


 きっとそうに違いない。


 私は決して誇るがないわけではない。


 相手が全力でくるならば、こちらも答えてやるのが筋だろうって? そもそも趣旨が違うのだから関係無いよね!




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