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第64話 滅亡へのカウントダウン

 私達は無事に王都に着いた。


「わー大きいねー」


 サキちゃんは王都に初めて来るのだろう、目をキラキラさせながらはしゃいでいる。


「そうね、でも私は何回か来たことはあるわ」


 アリアちゃんは平然としているようだけど、どこか落ち着かない風でそわそわしている。

 子供なんだからサキちゃんみたいにはしゃげばいいと思うのだが、どうにもプライドがじゃまをしているようだ。


 私はといえば、正直此処までの移動で疲れたから早く休みたいと思っていてげんなり状態だ。


 正直、皆で王都に行くよりも出場選手だけが王都に行けばいいと思うのだが、そこには色々な理由があるんだろう。

 例えば、気持ちの方面とか。

 出場選手の晴れ姿をみて私も、僕もと生徒たちの気持ちをメンタルを向上させる意図もあるのだろう。

 

 そして、一番やはり試合による学習だろう。

 生徒達は大体の進路は三つ、に分かれる。


 一つ、家の仕事、主に平民、農民などは農場や牧場などの仕事に就く。

 二つ、騎士団への入団。

 三つ、冒険者などの日金稼ぎの仕事に就く。


 一つ目と三つ目は余り無いだろう。


 そもそも一つ目ならばそもそも学園に行かなくてもいいからだ、そんな時間があるなら仕事を覚えた方が有意義である。

 三つ目はそもそも冒険者になるなら騎士団の方が安定した収入がはいるし印象もいいだろう、冒険者は荒くれ者のイメージが強いだろうから。


 だから自ずと二つ目になる。


 そして、これはこの国の制度なのだが。

 そもそも学園の料金は平民のみなはどう払っているのだろう? そう疑問がつく人が結構いるのではないだろうか?

 うちの学園は平民が入れるよう比較安く提供されている学び舎だとみていいだろうが、少し貧乏な人ならばなかなかに厳しいだろう、が、そこでなのだが将来騎士団の職務に着くという条件で、国が学費を払ってくれるという制度がある。


 この制度のおかげで学園に通える人数がどっと増えたと言っていい、この制度が無い時代には年に10人から20人しかこなかったという。


 それでは学園の意味が無いし、戦える人数が居無いとなると国力の低下にも繋がるだろうからそうした制度ができたのだろう。


 結論から言うと、試合を見てもらってみんなに向上心をもたせ国力を向上させようってことで学園のみんなが来るようになったのだろう。


 まぁそれは今はいいか。


「ではみなさん、宿に向かいましょう」


 イリス先生が先導して案内する。


 学園が貸し切っている宿があるのだろう。




 ◇ ◆ ◇ ◆




「おー時代を感じる」

「ぼろいですわ」


 私がそう呟けばアリアちゃんがそう返してきた。


 まぁたしかに見た感じではボロいけど、それはそれとして年季を感じさせるいい宿だと思うんだけどな。

 私達は貴族だから絢爛豪華な宿に慣れているかもしれないが、それはそれこれはこれ、ってこてでいいんじゃないかな?


「お、いらしゃい!」


 中に入ったら剛腹のよさそうなおばちゃんが出迎えてくれた。


 そして、大部屋などを借りて男子は男子、女子は女子と部屋に分かれるみたいだ、寝るときは皆で雑魚寝状態になることだろうね。

 

 人とおり宿の中を見てみたが整理整頓が行き届いてお客のことをかんげえてあるいい宿だと思った。


 こういう時代だとあまり考えられない、旅のときに何件かの宿止まらせてもらったことがあるが、ここまでじゃなかった、淡々と仕事をこなす者もいれば揉み手で変なものをすすめて利益だけを考えようとしている宿。


 だがこの宿の従業員はみんな笑顔で接している、その笑顔は利益や得を得ようとする作りの笑みではない、みんな一生懸命でこの仕事に誇りに思っているような純粋な笑顔。


 ここはいい宿だと改めまて思った。





 ◇ ◆ ◇ ◆




 ここはスラムの酒場、ここに居るのは大体犯罪者か世捨て人だ。


 ここの王都には大きく分けて三つの層に分類される。


 平民層、主にいっばん的に暮らす人たちが使っている、その中には繫華街と呼ばれた人がごった返しのところがある、夜には少しアレな店が多数あるところである。


 貴族層、主に裕福な奴らが贅沢尽くめをしているところと言っていいだろう、そこにはひいときは目立つ王城などが在ったりする、そこで主にはやっているのは賭博である、中には地下で行われている秘密裏に捕まえた奴隷や魔物を殺し合わせて勝敗を賭けるなどお玉のねじがとんだ人の醜い欲が充満した地下施設があるといわれている、だが有数の権力者が関わっていて秘匿されているため、あくまでも噂程度である。


 最後に貧民層、スラム、貧民街などと呼ばれ行くところのない孤児や訳ありの人たちが多く住むそうである、ここではなんのルールも適応されない、腹が立ったから人を殺した、或いは薬におぼれさせて金を貪るなんて日常である、道に死体があるのなんてザラである。

 「貧民層しは近寄るべからず」そんな言葉もあるくらいだ。


 さて、そんな貧民層のいかにも怪しい酒場でフードを被った二人がとある密談が行われていた。


「そちらの守備は上々か?」

「ああ、何とかなりそうだ。日程が早まったには焦ったが想定外の事ではなかったからな、アイツらも時期にくるだろう」

「決行までは気取られるなよ」

「大丈夫さ、危険も伴うがそれを補って余りある利益が入るんだ。慎重にもなるさ」


 そこで男達は薄気味悪い声で嗤った。


「ふふ、学生とは暢気な奴らだ。狙われているとも知らずに、精々今は楽しみを謳歌しているといいさ」

「あはは、その顔が絶望に代わるのが楽しみだよ」


 そこで、男たちはターゲットの確認をする。


「今回目標はライトリア家のキリという人物だ、とんでもない化け物らしいがまだ子供だ虚を付けばるものも容易だろう」

「だが、我ら暗殺組織【死神】は何事も慎重にがもっとうだ、切り札は何時でも用意せなばならない」

「ああ、そこで狙うのはキリの妹が居るという話だそいつを先に狙うぞ」


 そして、着々準備を整えていく彼ら。

 だが、彼らにとっての誤算はその妹が一番の脅威だと知らなかったことだろう。


 暗殺組織【死神】国を転々とし、金を積まれれば何でもやる極悪非道、そして手段を択ばぬ狡猾さから恐れているものも多い。

 そんな彼らの滅亡へのカウントダウンがまた一つ降りたのであった。


 


 



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