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第56話 勝負は着いた

 追撃は無し、今がチャンスか。


「戦技【フェアタイディゲン】」


 これは戦技で掛かる負荷を一定時間無くす戦技。

 但し、これには欠点がある。

 それは、一定時間が過ぎれば負荷が倍に成ってリバウンドとして帰ってくる。


「【ヴィテス・ラヴィアス】」


 これは、スピードを飛躍的に向上させる戦技。


「【フィーネス・ライズ】【マハト・クラフト】」


 これで体力もパワーも飛躍的に上がった。


 さて、これで準備完了な訳だが。

 なぜヴィオレットさんは追撃しなかったんだろう。


 それを、聞きたくなった、だから攻撃ではなく話をする為にヴィオレットさんの方に向かった。

 私は、軽く小走りしたつもりが結構速度が出て驚いた。


 ヴィオレットさんは立った私の方を見ていた。


「ヴィオレットさん。なぜ追撃しなかったのですか?」

「落胆してしまった。初激が防げたはいいですが、あの体たらく、私は期待を裏切らせないでと言いました。期待していただけに失望を隠せません」


 なるほど、私が相手にもならない、と踏んだわけか。


 ただそれは。


「それは、ヴィオレットさん、あなたの自信から来るものですよね」

「何が言いたいのですか?」

「ヴィオレットさんそれは自信ではなく慢心です」

「どういうことかわかりかねます」

「そもそも、私とあなたでは自力が違う。それを埋めるために私戦技を駆使してその実力の溝を埋めにかかる。だから、その前にあなたは私を倒さなければいけなかった」

「だがそれは」


 そう、この作戦は欠点だらけである。

 相手が戦技を使い続けるならば、消耗を待てば勝負は付くし、そもそもこの作戦は短期戦でありそこまでの戦技を短期的使うならばそのリバウンドが命を蝕むことすら想像に難くない。


 そんな、作戦は無謀である。

 普通であれば、だが。


「さて、そろそろ行きますよ」


 ヴィオレットさんは何かを感じ取ったのか私から十分に距離をとった。


 これは、短期戦さっさと勝負をつけよう。


 今まではこの戦技を使う為の下準備でしかなかったのだから。


「戦技【電光石火】」


 私は一瞬にしてヴィオレットさんの真ん前まで迫った。

 これの戦技は、体に極度の負荷が掛かるため、なんの下準備もしてないと身体がイカレてしまう。

 まぁヴィオレットさんみたいに身体能力がずば抜けてたら別だけど。


「戦技【陽炎】」


 ヴィオレットさんが初めて戦技を使用した。

 ヴィオレットさんの体が曖昧になり私の攻撃が見事に通り過ぎた。


 一瞬見失ったが、直ぐに見つかった。

 流石、感覚が鋭くなった第六感は違う、ヴィオレットさんは私の後ろに居た。


 それも、剣を振り下ろしている。


 あ、やべぇ。

 そうだ。


「もらうよ。戦技【陽炎】」


 私には他人の戦技がコピー出来るんだった。

 

 これは、加速して残像を残すようだね。


 私はお返しと言わんばかりに後ろに回って切りつける。

 因みに殺すとか嫌だからそこら辺は調整しているつもりだけど、ハルちゃんが目を光らせているから大丈夫と思うね。


 カラドボルグで右下から左上に振り上げた。


 それが見事に決まって血が舞う。

 虚をついて攻撃したけど、なんとも言い難いね人を斬るというのは。

 これが悪人だったら気兼ねはないんだけど。


 【電光石火】が切れてしまった。


 ヴィオレットさんは私から距離をとった。


「確かに、私は慢心していたようですね。ですがもう私に油断はありません。先ほどのことがもう通じるとは思わないでください。それにしても気になりますね、あのとき「もらうよ」とはどういうことでしょう?」

「さぁ? 想像はご自由に」

「そうですか」


 ヴィオレットさんは笑顔だ。

 まだ私が戦えると知って嬉しいんだろう。

 まぁそのこれからるぜ! みたいな笑みは普通の笑顔とはかけ離れているんだけど。


「勝負はこれからです」

「いや、もう終わってるよ」

「まさか、制限時間はまだ残っているはずです」

「そうだね。私がリタイアするんじゃなく、ヴィオレットさんあなたが負けるから、私の勝ちになるんですよ」

「どういう――」


 その言葉の続きは聞こえなかった。


 ヴィオレットさんが地に付したからだ。


 戦技【死神の鎌】

 

 これをさっき切った時に発動していたのだ。

 効果は時間が来たら相手の意識を強制的に刈り取る。


 勝負は着いた。



 戦闘シーンやヴィオレットの言葉遣いがもしかしたら違和感があったかもしれません。

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