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第54話 さぁ、私と戦おう

 仕方ない、仕方ない、私はそういう運命なんだ。

 て、認められるかーー!!!


 そうこう私が無駄な葛藤をしている内に。


「どうなったのでしか魔王様」


 ノワールがここに来ていた、その後ろにぞろぞろとハルちゃんの配下が。


「おお。いい所に。ちと面白いことになっての」


 ハルちゃんがそういうと今までの事のあらましを説明した。


「そのどこが面白いんですか」


 ノワールはハァー、と疲れたような溜息をはいた。

 大丈夫?


「なりません、ハルツィナ様! それは我が国の国宝を失うと同義」

「そうです。それにどこの馬の骨とも知らない奴が大陸魔剣に認められる訳がありません、何かの間違いです」

「それにもし選ばれたとして、人間に渡っては我が国の脅威となります」

「確かに。今のうちに取り返しましょう」


 ……なんか物騒なことを言っているけど。

 でもこれが普通の反応だと思うな。


「魔剣に認められた事実は覆らん。そしてこやつは妾の敵ではない、友達じゃ。そんな事はせぬ」


 そこから、魔王様が人間と友達になるなど、なんて口論しはじめた。

 面倒くさいから放置でいいよね。


 さて、今のうちに少し恩恵スキルのことを確認しようかな。


 恩恵スキルの「武器術」だけど、実際に」どういうものかは分からない、武器に対して達人級まで使いこなす事ができる。 

 って説明には有るけど。

 さてどういうものか。


 私は大陸魔剣……もうカラドボルグでいいよね、だって契約もしたし大陸魔剣じゃ他人行儀みたいだし。


 ということで、私はカラドボルグで剣の構えを執る。

 ……う~んこれ大きすぎだね、この大きさだと大の大人が使うぐらいの大きさだ、私には合わない。


 そんな風に考えていたら、カラドボルグがどんどん小さくなっていき、丁度いい感じの大きさになった。

 どういうこと?


(ねぇ、なんで小さくなったの?)

(んっなこともわかんねぇのか。魔剣ってのは所有者に合わせて大きさを変えられるだよ)


 そうなんだ、そんなん知らねーよって言いたい。


 さて、「武器術」がどういうものか調べてみよう。


 私はカラドボルグを再度構える。

 なんだろう、どう構えていいか自然に分かる。

 袈裟懸けをしてみると。


 凄く動きが滑らかになった。

 無駄な動きが一切感じられない。


 体を左右に動かして仮想の敵と戦ってみる。

 体の扱い方が自然と分かり、体捌き、足運びにも一切の無駄がない。


 ……これ、何気にヤバくないだろうか?

 だって、剣の稽古とかを真剣に取り組んで、そして才能とたゆまぬ努力をして漸く辿り着ける境地を、なんの努力もしていない、スキルで手に入れるとか。


 よぉーし! 考えない!

 考えたら負け負け!!


「おお! 凄い動きをしていたのう、これが恩恵か?」


 お、丁度話し合いは終わったみたいだ。

 なんか、苦虫を嚙み潰したような顔をしている配下達だが、どんな話し合いだったんだろう?

 ……深くは聞くまい。

 ノワールは心底疲れたような顔をしている、大変なんだね。

 ご愁傷様です。


「うん。そんな感じ」


 まぁ恩恵スキルの詳細は言っていないし、これくらいの種明かしはいいだろう。


「すまない、失礼を承知で頼みたい、私と一度お手合わせをして貰えないだろうか」

「え?」


 今話しかけて来たのは、女性だ。

 綺麗なフューシャ色の髪、非常に鮮やかな赤に近い紫と言えば伝わるだろうか、瞳はパウダーピンク、薄く透き通った桃色の目。

 凄く整った顔立ちに背が女性しては高い、でも高過ぎずのいいバランスだが……何と言ってもこれ、ボンキュッボン!!

 ちょー憧れます! 私もいつか!


 私が場違いなことを考えているうちにも話は進んでいき。


「お主は、相変わらずじゃな。自分と同等、もしくはそれ以上の剣術を見ると試合を申し込む。何故か妾の周りには物好きが集まるのう」


 それは、魔王様が性格にも要因があるのでは? とノワールは思ったが決して口には出さない。

 賢明である。


「それは、私と同等に剣を扱える人が少なすぎるんです」

「それは、お主が強すぎるだけじゃおうが。妾とて今では剣だけではお主には構わぬ。まぁ、それがお主の強味じゃしな、剣術だけで第七師団団長に這い上がって来たと言っても過言ではないしのう、ヴィオレットよ」

「ありがたきお言葉」


 そう、ヴィオレットは魔法、というより魔力に恵まれなかった。

 だが、第七師団団長という地位を得ているのは、彼女の日々のたゆまぬ努力、そして自ら強者に挑み続けるという異常さ。

 幾度も挑み、破れ、そしてまた挑み挑み挑み、そしてまた破れ破れ破れ。

 それを何度も繰り返した。

 時には命を落としかけた事は、十や二十ではない。

 強者と戦い、そして自らの糧とする、そして彼女は第七師団団長という地位にまで登り詰めた。

 ……それを不幸というのだろうか? その頃から彼女に敵う相手は他の団長や魔王様だけになってしまってた。

 団長どうしの本気の衝突はご法度である、それ故に彼女は戦いに飢えていた。

 自分はまだ強くなれるはず、なのにその糧がいない。


 そんな彼女はの目の前には今、自分に相応しい相手いる、聞けばノワールを倒したそうだ。

 勿論本気では無かっただろう。


 だが、それでも十分だ。


 ――さぁ、私と戦おう。




「おーい、聞いておるのかー?」


 ハッ。

 ちょっと意識飛んでた。

 目の保養、ありがとうございました。


「ごめん、で何だっけ?」

「やっぱり、聞いておらんかったのか」


 ハルちゃんがやれやれと肩をすくめた。

 いや、聞いていなかったのは仕方ないけど、その反応はイラッと来る。


「こやつ、がお主と戦いたいそうだ。ちょっとだけでいいのじゃ、相手をしてやってはくれぬか?」


 どうしてそうなった?




 誤字などお気づきになられましたら ご連絡してくれると嬉しいです。

 

 ……気付いている人もいるかもしれませんが。魔族には角あるって前に書きましたけど、なぜその部分が載ってないのか、それは作者が角を書こうとしたら変な感じになったからです。

 これって才能ですかね、ははは。

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