第45話 きなこクッキー
ふぁ~~~。
眠い。
私は夜直ぐに部屋に戻ったら部屋着に着替えて眠りに付いたんだけど、あんまり寝れてないんだよね。
いや、直ぐに寝たよ。
でも、寝た時間が少な過ぎるんだよね。
はぁ、朝食は時間が決まってるし行きますか。
兄様に眠たそうだと言う事を指摘されてしました。
ク、ショクだ。
今日はダラダラしよう。
そういえばこの世界に来て一日中ダラダラ過ごすのは初めてかもね。
前世では、学校が無い土日や、夏休みなんかはダラダラしたものだね、朝を食べずに12時くらいまで寝ていた事とかザラだったな~。
てことで今日はゴロゴロダラダラしよう。
……暇だ。
いやね、最初は眠いからベットで寝てたんだけど、今は眠く無いし。
そもそも、この世界は電子機器とか無いから私が毎日遣っていた様なゲームが出来ないんだよね。
遣る事が無さすぎて、暇だ。
何しようか、ゲーム以外の私の趣味は。
あ、お菓子作り。
そういえば一時、私はお菓子作りに嵌まった事が有ったけ。
まぁ、そんなに大層な物は作れないんだけどね、あくまで趣味として一時遣っていただけだし。
久しぶりに作ってみるか。
う~ん、そうなると色々問題が出て来るね。
この世界にはお菓子はあまり出回らないし種類も無い、そもそもお菓子に使う砂糖が希少過ぎて有力貴族とかにしか買うことが出来ないのだ。
だから私の家みたいな子爵家が買えるような物では無いし、そもそも私達の家は今、金が全然無いんだよね。
仕方が無いから砂糖を使わないお菓子を作るか。
そうなると、最初に思いつくお菓子は、きなこクッキーかな。
あれは砂糖使わなくても美味しいんだよね~。
きなこクッキーにパルスウィートとかを入れるんだけどこの世界にそんな人工物あるかいな。
てことで、パルスウィートの代わりになる物と言ったら、砂糖、これは先のとうりに却下、次はオリゴ糖これも無理この世界に探したら有るかもだけど、ここには無い。
後は蜂蜜かな、蜂蜜もこの世界では希少なものの一つかもしれないけど、値段は高いけど一般にも売られてる位には需要は有るんだよね。
つまりこの家にもある。
蜂蜜は母様のお気に入りだから結構この家にもあるんだよね。
きなこクッキーの隠し味としてちょこっとだけ入れさして貰おう。
私は厨房に行った。
まだ夕食には時間が有るから厨房には料理長しか居なかった。
ここの家には料理人は6人居る。
多いかもと思うかも知れないが、使用人やここの家の人に料理を出すと成るとこれ位は居無いといけないのだ寧ろ少ないかもしれない。
さてと、ここの料理長、ヴィギンさんに食材やら何やら使う許可を貰おう。
「あの~ヴィギンさん」
「おや、ユキ様ではないですか、こんな所にどうしました?」
ヴィギンさんは少し太り気味の40歳くらいのおじさんだ。
「ここでお菓子を作りたいから厨房と食材を使ってもいいですか?」
私がそう言うとヴィギンさんは何故か微妙な顔おして言い難そうに。
「ユキ様、お菓子は砂糖を使わないと作れないのです、その、生憎ここには……」
ああ、そんなことか。
「大丈夫です。私、砂糖が無くても作れるお菓子を思いつきました」
それを言ったら驚いた顔をしたが、直ぐにまた微妙な顔に戻った。
私は思いついたと言ったけど、この世界には私が知っているレシピは無いからね。
元から知っていたら、可笑しな事になって面倒だし、私が思いついたでいいでしょう。
で、なんでヴィギンさんは微妙な顔をしたかと言うと、たぶんヴィギンさんは料理人だから、料理する食材を粗末というか、おろそかに扱かって最後に不味いから捨てるみたいに成ると思って居るんだろう。
そりゃ料理人として、食材がそんな事に成ったら悲しいんだろう。
でも大丈夫!
私は確りとしたレシピがあるんだから。
「そうですか、でも、止めた方がいいのではないですか? 己自分で作るのでしょう」
「大丈夫です、何事も経験です」
そんな遣り取りが続いて、やっとヴィギンさんが折れてくれたよ。
やっぱり雇い主の子を無碍には出来ないみたいだ。
ふふん~でもこれでお菓子が作れるね。
今回のは誰でも作れる物凄い簡単なものだしね。
そういうことでヴィギンさんに、私が言う物を持ってきてもらった。
小麦粉、きなこ、バター、卵、蜂蜜。
この五つだけ、本とに簡単だ。
これをボウルに入れてる。
この世界は秤が無いから不便だ。
似たような物はあるけど手順が複雑で面倒くさい。
こういう時は目分量に限るね、大雑把だけど簡単でいい。
私はボウルに小麦粉400グラムくらいを入れた結構多めに作ろうと思う。
きなこ160グラム、バター200グラム、卵4個、を目分量で入れる……アレ目分量で入れたら、小麦粉が一杯入ったような? バターが少ない様な……まあいいや。
そこに、本のちょっぴり蜂蜜を。
さてと、これをコネコネコネコネ。
うん、こんな感じかな。
後は、四角くや丸の形にそろえて鉄板の上に載せていく。
ふー、意外と疲れるもんだね。
子共の体だから特にね。
さて、後はかまどで焼くだけ。
はい、出来上がり。
さて、熱いうちに早速一つ。
パクリ、うん! 美味しい!
少し焦げ目がついたり、形が歪だったりはご愛嬌、ということで。
私が美味しそうに食べているとヴィギンさんも気になったみたいだ。
私が作っているてき怪我をしないかとか見ていてくれたし、食材とか用意してくれたしね。
お礼に上げてやろう。
不味いとかいうなよ、私だって趣味で作ってるだけなんだしプロとは違うんだから。
「ヴィギンさんもどうです?」
「いいのですか?」
少し驚かれたね、まあ普通の貴族の子ならそんな事はしないからね。
でも私は違うのだよ。
ささ、どうぞ。
私はクッキーを渡してやる。
「では、ありがたくいただきます……!?」
食べたら物凄く驚かれたよ、そんなに下手でしたかそうですか。
まぁ、目分量だったしー素人だしー料理人のプロのヴィギンさんと比べるとそりゃ……ダメダメ考え無い。
私は美味しいからいいの。
「あ、あの、ユキ様。これは、いえ、この料理は一体……」
きなこクッキーですけど。
でもこの世界には無いから私が教えてあげよう。
さも今考えたみたいに。
「そうですわね、私が考えただけですから名前は有りませんが、あえて言うならば、きなこクッキーかな」
「きなこクッキーですか……これを他の者に教えても?」
「教えたらどうなるの?」
なんか嫌な予感が。
「なうですな。物凄く有名に成ると思いますよ、これのレシピを開発した人も一躍有名人に成るのは間違い無しです」
嫌な予感的中!
有名に成るとか物凄く嫌なんだけど。
よし、これは身代わりに成って貰おう。
これを、態々私が作るよりも、作ってくれた方が楽だしね。
「いいですけど。それならこのレシピを開発したのはヴィギンさんにしてくださいね」
私がそういうとまた驚かれた。
「なぜですか、有名に成るとは栄誉な事ではありませんか!」
これデジャブ。
「ヴィギンさん、私は別に有名に成りたい訳では有りません。そもそも料理人ではありませんし。私が開発したと言って誰が信じます? 私は6歳の女の子ですよ。ヴィギンさんの方がいいですよ、というか私有名人とかに成りたく無いです。ヴィギンさんが開発したと言わないなら、このレシピは誰にも言わないでくださいね」
ヴィギンさんは少し考え込んでしまった。
「分かりました。これは私が開発した事にします。これは世に出るべきレシピですからね。こんなに簡単にお菓子が作れるなど思いつきもしませんでしたし、本当にそれでいいんですね?」
「それでいいです、私の名前が出なければ何でも」
よしこれでオッケー。
私は残りを部屋に持ち帰ってゆっくり食べる事にした。




