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第29話 生徒には負けられない

 私の名前はイリス・ファーレン。

 シュテルン学園の教師をしている、皆にはイリス先生と呼ばれている。


 私は今年の入学した新入生のAクラスの副担任をしている訳だが、今年の生徒はおかしい。

 何がおかしい、かと言うと。

 まず、才能が有り過ぎる。

 別に悪い事ではない、ガイと言う生徒がいる、才能はあるがそれは常識的に才能がある。


 次にユキと言う生徒が居るが、この生徒はとにかくおかしいのだ。

 自分で第六感を拓くし、『光の剣』が簡単に使えてるし、才能の塊である、常軌を逸しているのだ。


 私がユキさんと同じくらいの時はどうだったか、私は神童だ何だと持て囃されていた。

 正直に言って私は天才だと思うし、自分が神童だと思っていた……ユキという生徒に会うまでわ。


 私も第六感は拓けるには拓ける、だかそれは自分が追い込まれていて本能で拓くのだ、ユキさんみたいに自分の意思で開けないこの時点でもう私は彼女に負けてしまった。

 しかも彼女は『光の剣』をあの歳で自由に扱えた、それが何よりも衝撃的で、堆取り乱してしまった。

 私なんて完全な習得に5年も掛かったのだし。


 今は皆が帰ったのでアレス先生とAクラスに居る、私はアレス先生が如何思っているのか気になり話題を振ってみた。


「アレス先生、ユキさんの事如何思いました?」


 なんだか前にも同じ事を言ったような気がする。

 やっぱりと言うかアレス先生も同じようなことを思っていたみたいだ。


「俺はユキくんの事をまだ侮っていたようだ。まさか『光の剣』をも簡単に使うなんて、イリス先生以上の神童だよ」


 確かにそうかもしれない、だけど彼女の実力を見た後だと自分が本当に神童なのかと疑ってしまあう、それほどに彼女は凄かった。


「少し疑問に思ったんだけど、ユキくんなんで『光の剣』が使えるのに、身体強化魔法が使えないんだろう、こんな生徒は初めてだよ」


 アレス先生は肩を竦めながらそういった。

 確かに私も疑問に思った、『光の剣』を使えるだけの魔法の才が有るのなら、なぜ身体強化魔法が使えないのだと。


「私も思いましたが、無属性魔法の才能が無いとしか答えが無いですね」

「確かにそう考えるのが妥当だろうな、全く無属性に才能が無い人なんて初めてだよ」


 アレス先生は苦笑いしながらそう言った。


「ところでアレス先生、二人とも負けにしても良かったんですか? 再戦という形でも良かった気がしますが」


 そこは気になった、もしかしたらユキさんが前に言っていた事を尊重したのかもしれない。


「いいのいいの、ルールの則ってるんだから、それに……」

「それに?」

「面倒だし、再戦って」


 アレス先生はしれっとそんな事を言った。

 それでいいのかと思ったが、そこらへんの事はアレス先生が決める事だし余計な口出しはしない。

 でももうちょと、先生としての自覚は持ってほしいと思う。


「では、学園対抗戦の1年枠はAクラスの以外の1年が取り合うと、前代見本ですね」

「まあ、1年だしそれほど実力は変わらんだろ」


 まあ、一般的には実力がバラケル時期は3年くらいからだが……。


「ですが、ガイさんとユキさんなら、3~4年生の代表と同じかそれ以上だと思います、特にユキさんはね」

「確かにそうかな、あの歳にしては実力がかけ離れているし」


 本当にあの二人は私達の想像を上にいきますね。


「ところでイリス先生、少し前に、いや今も天才だ真の神童だ何だと持て囃されている、天才児が生まれたのをご存知ですか?」

「ええ、確かキリと言う名前だったかと、それが何ですか」

「いやね、実はユキくんの事を調べてね、そのキリくんの家名は何だったかな」


 ユキさんがキリと言う人物に関係が有るのだろうか。

 確か家名は…………ライトリア、……、っ!!


「まさか! キリさんとユキさんはご兄妹なのですか!?」

「正解、俺も知ったとき驚いたよ。ライトリア家は今まで天才児なんて生まれい無いみたいなのに。兄妹それってもう天才児と来たもんだ、笑うしかないね」


 アレス先生は苦笑しながら言った。


「もしかしたら、そのうち抜かれるかもね」


 確かに、あれだけ才能があれば、今は無理でもそのうち抜かれるのは確実かもしれない。

 だが、私はユキさんと同じ剣士として教師としてこの学園に居る間は抜かされてはならない、私のプライドが許さない。


 よし、今日からもっと訓練しよう、私は生徒には負けられない。




 これが後に剣姫の再来の原因と言われることになる。

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