第28話 両方負けー
は? って何よ、は? って。
何か私の言っていること間違っていた?
この魔法簡単でしょう?
「ユ、ユキさん、まさか、まさかですよ。『光の剣』が簡単な魔法だなんて言うつもりじゃ無いでしょうね」
「そのつもりですよ」
だから何を言っているんですか、本当にもう。
私が先生が言っている事に対して意味が全く分からない、と言う顔をしていたらアレス先生が話しかけてきた。
「ユキくんは、『光の剣』を直ぐにマスターしたのかい?」
「え? あんなの一発で出来ましたよ?」
私の言葉に先生達が絶句した。
……ここまで来ると、何だか予想が出来てしまった。いや、まさかね。
「ユキさん、『光の剣』は普通は光属性の中でも限られた天才でしか、マスターする事が出来ない極めて難しい魔法なの」
「…………。」
やっぱり……そうだったんかい!!
おいおい、私って身体能力の才能はあるけど魔法の才能は無いんじゃ……まさか剣と魔法の世界だから、剣の方を徹底的に重視した訳じゃあるまいな、神よ。
って事はまさかやっちゃったんじゃね?
「それに、無詠唱で『光の剣』を出せるなんて、その歳じゃあり得ないわ。普通は段々と使っていって徐々に詠唱を縮めていくもの、覚えて直ぐに無詠唱だなんて。……私だって5年も掛かったのに」
最後の方は独り言に成っていたね。
これはマズッた、如何しよう。
よし、ここは秘技!! 話題逸らし!!!
「そういえば、試合はどうなったんですか? 先生達が割って入ったからどっちが勝ったか分からないですよね」
「あ、ああ、それは」
よし! アレス先生が反応してくれた。
まあ、実際試合がどうなるのかも気になっていたのだ。
「試合は、両方負けー」
アレン先生の間抜けな声が響いた。
え? どういうこと?
それに反応したのはガイだった。
「如何いう事ですか、先生。私は納得できません。あのまま遣っていたら私が勝ちました」
おいおい、そんな訳無いだろ。
私はあんたの攻撃なんて受け止めれたわ。
「いやーたぶんあのまま行ってたらお前死んでたぞー」
アレス先生がしれっと、とんでもない事言ってきたぞ。
え? なんで?
「模擬戦用のこんな鈍ら刀で『光の剣』を受け止められる訳が無いからだ。暴風を纏ったとしても、『光の剣』には適わない。『光の剣』は聖剣とも呼ばれてるんだぞ? あんなんで受け止めたら今頃、お前の体は真っ二つだぞ」
私は少し顔が青く成った。
え、マジでそんなに凄かったの!?
でも、なんで両方負けなんだろう。
「先生では何で両方負けなんですか?」
「それは簡単だ、ルールだからな」
「ルール?」
私が分からずに首を傾げた。
「俺は模擬戦のルールで死に至らしめる事禁止って言ったのに、ガイは自分の技で死に掛けるし、ユキは『光の剣』で平然と受け止め様とするし、もう両方負けだ!」
「そんなー」
ガイがうな垂れてた。
うん、私的には助かったかな。
『光の剣』の事に関しては今後気お付けよう。
「さて、もう今日の授業は終わりだ。各自解散としよう」
アレス先生がそう言って皆寮に戻っていった。
「今日は残念でしたわね、ユキ」
「でもユキちゃん凄かった!」
夕食とお風呂を済ませ、私達はアリアちゃんの部屋で雑談していた。
何故アリアちゃんの部屋かというと、単純に色々揃っているからだ、カーペットや座布団などが心地よい。
「前に言ったでしょう。私は別に学園対抗戦に出たい訳じゃあ無いから、別にいいんだよ」
私は別に落ち込んで無いからね、ガイとは違うのだよガイとは。
「ユキも凄かったけど、ガイも凄かったわ。あの戦技、それもあの歳で、私は少し自惚れてたわ。今の私じゃ勝てる気がしないもの」
「大丈夫ですよアリアさん! アリアさんなら強くなれます!」
サキちゃんがアリアちゃんを励ますと、アリアちゃんはやる気が出てきたみたいだ。
そんなサキちゃんに癒される~。
「私頑張るわ! 絶対ユキもガイも追い越してみせるんだから!」
うんうん。
やる気が有るのはいい事だ。
でも、私を追い越すのは絶望的かな。だってチートだし。
そんな感じで今日も楽しくおしゃべりをした。
今日か明日に29話を投稿出来るように頑張ります。




