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第26話 戦技

 それにしても、良い勝負だったね。

 でもガイの方が一枚上手だった感じだね。


「これから30分間休憩をする」


 休憩か、まあ確かに決勝だし心の準備とか作戦立てるとか色々あるしね。

 ガイは魔力を消費したげど30分じゃあまり回復しないんじゃ、と思ったがそうでもなかったみたいだ。


「ガイくん、ちょっとこっちに来てくれー」

「はい」


 アレス先生がガイを呼んで、ガイに手を翳した。

 そして言葉を紡いだ。


「『シャルム』」


 その魔法『シャルム』は簡単に言ってしまえば魔力の回復スピードが上がる魔法だ。

 私の見立てではアレス先生はかなりの使い手だ、魔法は同じ魔法でも試行した人によって効果は変わるものだ、これで3分もしない内に、ガイの魔力も全快するだろう。


 先生は続けて魔法を使用した。


「『ハイキュア』」


 『ハイキュア』はHPを回復させる魔法だこれでガイのHPも全快したことだろう。

 もう30分の休憩なんか入らないんじゃね? と思ったがまあ良いだろう。


「おーい、ユキくんー、君はHP大丈夫かー?」


 アレン先生が呼んできた。

 いや先生、今までの試合見てたよね。

 瞬殺だよ瞬殺。疲れてる訳無いじゃん。


「先生ー大丈夫ですよー」


 まあ、確認の為に聞いたのだろう。

 ガイにだけ回復しておいて私だけしないのは不公平だからね。

 先生とそんな遣り取りをしていたら、アリアちゃんに声を掛けられた。


「負けましたわー。ユキ、ガイは手強いですわよ、本当に回復しないで良いんですの」

「いいよ、見てたでしょう今までの私の戦い。全然疲れて無いんだよ」


 まあ、それは相手が弱い訳ではなく、私がチートだからなんだけど。


「確かに今までのユキちゃんの戦いは凄かったよ。私、辛うじて目で追えたくらいだもん」


 サキちゃんも加わって来た。

 えへへ。サキちゃんありがとう。


「皆もこの位できる様に成るって、二人共魔法に才が有るんだし」

「でも、ユキみたいに成れるとは如何しても思えませんわ」

「私も」


 ははは、まあそれは仕方が無いかな。


 そうこう喋っている内に30分が経ったみたいだ。


「これから決勝戦を始めるぞー。ガイ、ユキ、来い」


 もうか、遣るか。


 私とガイは向かい合った。

 あ、そうだ良い事思いついた。


「ガイ、これで約束はたしたね」

「ん?」


 ガイは何を言っているのか分からないという風に首を傾げた後慌てて否定した。


「お、お前、それとこれとは別だろ!」

「え~? だってこれも模擬戦でしょう」


 私はあくどい笑みを作って見せた。

 ガイは怒りの形相をして私に言った。


「嵌めやがったな、この試合絶対勝ってやる」


 ふふふ、それは無理かな~。


「お~い、もういいか~」


 先生が呆れた様な視線が来た。

 大体の事は話の内容から分かった様だ。


「もういいですよ~」

「ああもういい」


 ガイは試合に不必要な感情は引っ込めた様だ。

 戦いに関してはやっぱり天才肌だね。


「では、試合! 開始!!」

「『フィスト』」


 ガイは試合開始と同時に『フィスト』を使った。

 良い判断だね、最初から出し惜しみしていては私に一瞬で負けるからね。


 私はガイに向かって駆けた。

 直ぐにガイの所まで来た、私は剣を突き出してガイに体を突こうとした。

 ガイは横に回転しながら飛んで、私の顔に剣を当てようとした。

 それを後ろに飛んで難なく回避。

 乙女の顔に傷が付いたら如何してくれるんだ、まあ試合だし、先生の回復魔法があるから大丈夫なんだろうけど。


 やっぱり今までのスピードじゃダメか、もう一段階上げよう。


「『ハール』『ローユ』」


 へー『ローユ』を使うのか、悪くないね。

 『ローユ』は胴体視力を上げる魔法だ、私のスピードに付いてこれる様に上げたのだろう。


 私はガイが何かもう一つ詠唱しようとしていたので止める事にした。

 ガイのMPはまだ40くらいあるね。


 ガイに向かって駆けてガイに剣で攻撃しるその間もガイは詠唱していた。

 なんで私の攻撃を避けようとしない? と思ったが私の攻撃がスカッた。

 なるほど残像を残した訳か。


「『我は疾走が如き風、何人にも囚われん者なり、シュネル』」


 なるほど、風魔法『シュネル』か。

 ガイはスピード強化も魔法を使った、『シュネル』は身体に風の力が付与され普段の数倍は早く動ける中級魔法だ。

 無属性でもスピード強化はあるが、こっちの方が良いだろう。

 それにしても中級の風魔法を使えるなんてね、本当にガイは凄いと思う。


「これで、やっとお前に勝てる」


 これは……ちょとヤバイかもね。

 「真理眼」でガイを観てみたら明らかに私より今のガイの方がスピードが上だ。

 これで「存在隠蔽」されて向かってきたら流石にやばいね、仕方ない、第六感を使うか。

 これで第六感を自在に使える事が分かってしまうね、まあいいや。


 第六感、開放。


 目を開けたまま使うと少し遣り辛いが、開けた方がより精密に分かるね。


 ガイが来た、私の後ろに回り込んでいるみたいだ。

 やはり、速い。

 私も今は全力だ。

 ガイは剣を上から下ろしてくるので、私は下から上へ振る上げる。


 本当に速い第六感の補助が無ければ追い切れないぐらい今のガイは速い。

 だけど、私のほうがパワーがある、ガイのスピードに追い着けるなら、私の方が強い!


「は!」

「くそっ!」


 私はガイを後方に引き飛ばした、そしてガイに追撃を掛けるために、ガイを追った。

 さすがと言うか、何と言うか、ガイは吹き飛ばされながらも体勢を立て直していた。


 私が攻撃しても、ガイの方が速く、交される。

 たけど、この勝負私の勝ちだ。ガイは私に致命的な一撃を与えられないつまり、ガイの魔法が解けるまで待てばいいのだ。


 それからガイは姿を消すのをやめ、剣と剣がぶつかり合った。

 次第にガイに焦りの色が見えはじめたが……。


「仕方ない、これはお父様に使うのは禁止されていたが……お前ならば大丈夫だろう」


 ん? なんだ? 

 まさかここに来て隠し玉が有るのか?


「【戦技:ウラガーノ】」

「!?」


 戦技だって!?

 これは凄い隠し玉があった物だ。

 戦技とは、修行をして悟りを開き実に付けるものだ。

 使うのはHP。本で読んだ限りでは、才能ある限られた人しか出来ないと有った。

 私の見解だが、魔法と戦技はそこまで変わらないと思う。

 でも戦技は使った後に、魔法とは比べ物のに成らないくらいに消耗が著しい、これが戦技の弱点でもある。


 ガイの回りに暴風が起きた、その暴風がガイの足と剣に集まっていく。


 ちょ! それはマジでヤバイそうだから!


 たぶん、私が今持っているこの剣では受けきれない。

 仕方が無いこっちも隠し玉と行きますか。あの攻撃を受けきれると成るとアレしかないだろう。

 私は剣を捨てた。


「!? まさか降参するのか?」

「私が降参すると思う?」

「……いや、思わない」


 さて、遣りますか。


「『光の剣』!」

「何だ! それは」


 突如私の手に『光の剣』が現れた事に驚いているようだ。


「よし! 行くぜ!」

「来い!」


 私の剣とガイの剣が交差して決着が付くと思われた。

 だが、突如先生達が介入してきた。


「『ヴァンモーエア』」


 アレス先生が強烈な風の障壁でガイを阻んだ。


「『光の剣』」


 イリス先生が私と同じ魔法で私の剣を受け止めた。

 先生二人の介入で試合が止まった。

 戦技の設定、正直入れようか迷いました。

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