第22話 冒険者への憧れ
無詠唱と詠唱破棄の違いは、理解して使えるか使えないかの違いです。
もう「真理眼」だけでもいいんじゃね? と思う人もいるかもしれませんが、それはそれ、これはこれ。という事で。
何かの目が点に成るって面白いね。
「おい! 何で辞退なんかするんだよ」
真っ先に食い付いて来たのがガイだった。
「ん? いやだってほら、面倒だし」
「はー!?」
何こんな生物始めて見たみたいな顔してるんだ。
「あのなーお前分かって居るのか。アルタ王国の学園対抗戦に出れるって事はとても名誉な事なんだぞ」
「名誉な事?」
ガイはため息を付いて対抗戦の何たるかを私に語ってきた。
「学園対抗戦はな、アルタ王国の数々の学園の中で、その学園で選ばれた人だけが出れるんだよ。つまり自分の実力が認められたって事なんだ。そこで自分の実力を国民大々的に披露できる。その中には国王や王族、宰相まで居るんだそ、自分の実力を国王達に見てもらえる、これらがどんなに名誉なの事かこれで分かっただろ」
先生達や生徒達は、まさにそのとうりだと、うんうん、と頷いている。
うん、分かったよ。クッソ面倒くさい事がね。
だいたい、何で国王達に自分の実力を見せないといけないんだ、そんな事をしたら権力者共に目を付けられて、更に面倒な事になる。
「分かったよ」
「おお! 分かったか!」
「うん、凄く面倒くさそうだ。絶対対抗戦なんて出たく無い、って事がね」
ガイの表情がもう信じられない何かを見ている様な感じになった。
何でだよ、正直に言っただけじゃないか。
「ま、まぁ、ユキくんが辞退したいことは分かった、だけど、これは決定事項だ。Aクラスの代表を決めるトーナメントは出て貰うよ」
「……そうですか、分かりました」
面倒だけど決定事項なら仕方が無い、か。
「では、他に質問は有りませんか? 無ければ、これにて解散とします。皆さん今日は怪我の無い様お過ごしください」
イリス先生がそう締め括って、今日は解散となった。
私も帰ろうとしたが、アレス先生に止められてしまった。
何だろう?
「ユキくん、君本当に対抗戦出たく無かったのか?」
「そうですけど、それが如何したんですか?」
「それは何でなんだ?」
私さっき、言いましたよね。
「面倒だからですよ」
「ユキさん、私にも教えてくれませんか、一体何が面倒なのか」
イリス先生が私達の所に来て聞いてきた。
えーと。
「簡単な話ですよ。対抗戦なんて出て仕舞うと、変権力者から目に付けられたりするからです。こう言うバカ達は大体自分側に取り込もうを変に干渉してきたり、脅してきたりするんですよ。変にしつこいと自分の行動が制限されたりするんです。私の家は子爵ですから、より権力のある人が来ても追い返せないからです」
私の説明に先生達が驚きにの表情を見せた。
言いたい事は分かるよ、どうせ自意識過剰とか思ってるんでしょう。
私も少しは自意識過剰と思っては入る。
でも、警戒はして置いた方がいい、これは今後のためだ。
「先生、どうせ私の事自意識過剰と思っているんでしょう」
私がそう言うとアレス先生は少し慌てて。
「い、いや、そんな事は無いさ、でもその事なら大丈夫だ。そういう事が過去に何回か合ってね、そういう事をしない様に国王が厳命してくれてるんだよ」
へーそんな事してくれて入るんだね、でもそれって……。
「でもそれって、学園に入る時だけですよね」
「ああ、確かにそうだけど国の騎士団に入るならそれらの貴族達は関わって来ない。最初は勿論勧誘は受けるが、王様に喧嘩を売る事に成るからな、しつこく勧誘しては来ないましてや脅しすなんて絶対無いさ」
それってつまり、将来は国の騎士団に入れって言ってる様な物だよね?
つまり、国の為に属せって間接的に言ってる様な物だ、しかも騎士団からも勧誘を受ける事になるし、私は騎士団に入りたくも無いから、貴族達の格好の的だ。
結局、面倒なのは変わらない。
「私は騎士団に入る予定何て無いので、貴族の勧誘も直に受ける事に成りますよ。それに加え国からの勧誘なんてやって遣れませんよ」
アレス先生は一瞬意味が分からない様に首を捻った。
それから検討違いな事を言ってきた。
「つまり、ユキくんは他の貴族家に嫁に行くと言う事だね。まぁ、普通に貴族の女性はそうかも知れないけど、ユキくんはまだ将来の事を決める歳じゃないし、まだ時間はたっぷり有るんだから色々考えて診たらどうだ」
「私も同意見です。ユキさんはまだ若い、親に如何言われ様と関係有りません。それにユキさんぐらいの才能があれば親も騎士団に入る事も納得するでしょう。私達もユキさんの将来を応援しますからしっかり考えてください」
イリス先生、貴方もですか。
何で私が将来、嫁に行こうとしてる何て決め付けてんのよ、それに何で騎士団を入る事進め点のよ。
はー、このアレス先生の、そうだそうだみたいな顔して頷いて入るのがムカつくね、検討違いな事言ってんだよ、私将来の事しっかり決めてるよ。
「何で私が貴族の嫁に行かないと行けないんですか」
「「ん?」」
「えっとユキくんじゃあ何に成りたいのかな? まさか商人なんて言わないよね」
「ユキさんは自分に合った仕事をするべきですよ」
そんな事言われても私はもう決めている
「商人じゃ有りませんよ」
「じゃあ何なんだい?」
私は胸を張ってしっかりと言った。
「冒険者です!」
何か沈黙が起きてます、何で? 過去にも冒険者に成った人も居てるだろうに。
先生達は信じられないと言った風な顔をしている。
「何で冒険者なんて成りたいんのかな」
「ユキさん冒険者は荒くれ者の集まりでも有ります、そんな人たちにユキさんは合わないと思います。ユキさんは美人なんですから襲われるかもしれませんし、将来も事を考えるなら冒険者はおすすめ出来ません歳を取ると稼げない人も一杯いますし、常に命と隣合わせなんです」
まあ確かにそうかもしれない。
冒険者は荒くれ者の集まり、それは想像できる漫画なんかでもそうだ、でもそれでいいじゃないか、冒険者はそうでなくっちゃ。
でも女性を襲ったり犯罪に手を染める人は軽蔑する、私のイメージは荒くれ者だが仲間を誰よりも大切にする、これが私の知っている冒険者だ。
そして旅をして色々な国を見て回る。
私はこの世界をもっと知りたい。
「確かにそうかもしれません。ですが私は冒険者とは荒くれ者だけど仲間を誰よりも大切にするそれが冒険者だと思います、確かに中にはクズもいるでしょうでも私は見てもい無いのに偏見はしたくありませんだから見て決めます」
「そうか……だが何故そこまで冒険者に執着する」
そんなのこの世界に来たときから、前世から憧れて居たんだ冒険者に。
確かに私が読んでた漫画は美化されていると思う、でも憧れてはダメな理由なはならない。
「私はこの世界をもっと知りたいし観て見たい。冒険者になって国と国を渡り旅をしてみたい。ただそれだけです」
私はこの世界の事をまだ、全然知っていない折角神様がくれた命だ、今度は自由に行きたい。
先生達は私の言葉に黙り込んだ。
何か話が脱線してしまった、話を戻そう。
「先生、だから私は対抗戦に出たく無かったんですよ。でも安心してください、代表トーナメントで態と負ける様な無粋な真似はしませんから」
「あ、ああ」
そんなの元ゲーマー賭してのプライドが許さないからね。
もう帰っていいかな。
「先生もう帰っていいですか?」
「……うんいいよ」
じゃあ帰りますか。




