試し
『序章』
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人はやりたいことをするためだ、と私に言いました。
だから私は彼を殺しました。
それでも私は納得することができませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人はそんなものは考えるだけ時間の無駄だ、と言いました。
だから私は彼を殺しました。
考えることも出来ない人間に価値はないと思ったからです。
それでも私は何も知ることはできませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人はそれを見つけるために生きているのだ、と言いました。
だから私は彼を殺しました。
彼が本当にそれを見つけようとしているとは思えなかったからです。
それでも私は答えを得ることはできませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人は神様だけが知っていることだよ、と私に言いました。
だから私は彼女を彼女の信じる神様の元へと送ってあげました。
それでも私は彼女から答えをきくことはできませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人は大切な家族のために生きているんだよ、と言いました。
だから私は彼の家族を皆殺しました。
それなのに彼は私を前にして命乞いをしました。
仕方ないので私は彼を家族の元へと送ってあげました。
それでも私は不快感しか得ることができませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人は死にたくないから生きているのだ、と言いました。
だから私は彼を徹底的に痛めつけました。
すると彼は殺してくれと私に懇願するようになりました。
私は彼の願いどおりにしてあげました。
それでも私は何も得ることはできませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
ある人たちはお前のためだよ、と言いました。
だから私は私のために両親を殺しました。
それでも私は何も感じませんでした。
私は何のために生きているのでしょうか。
しかし、答える人はもう誰もいませんでした。
だから私は呟き続けました。
両手を赤に染め、赤に染まりきった世界の中で一人、ずっと、ずっと。
私は何のために生きているのでしょうか。
私は何のために生きているのでしょうか。
私は何のために生きているのでしょうか。
私は・・・
ーーーいったい、何のために生きているのでしょうかーーー