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蒐集者  作者: 四谷 秋
7/8

美しい世界

 小説を書いている。でもこれは、先生には売らない。僕だけの小説。

 箱に憑りつかれた男の話。



 ねえ、宮内さん。これはあなたの物語だよ。

 あなたの罪を記録したものだよ。この小説は、蒐集物に加えられる。

 あなたの罪が、あなたの闇が、蒐集物の一つになるのだよ。あなたの一部が蒐集物の一つになる。

 あなたは蒐集物になったのだ。


 ああ、なんて美しい物語だろう。

 この世界には、こんな美しい物語があふれているのだろう。

 なんて、この世は鮮やかなのだろう。



 宮内さんから、僕はあの部屋を受け継いだ。

 蒐集者でなくなった宮内さんはずっと老け込んでしまった。可哀想だなと思うけど、仕方がない。だって、罪を犯していたのだからね。

 罪を犯したら、蒐集は続けられないのだからね。


 大丈夫だよ、僕はくだらない人間だから。きっと罪をおかさない。

 罪を犯したとしても、その時はきっと今の僕のように次の蒐集者が現れる。


 蒐集物は、今日も、明日も、その先も、永遠に生き続ける。

 次の蒐集者が現れるまで、僕が蒐集者だ。




 僕は、真田(さなだ)春生(はるお)は、蒐集者になったのだ。




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