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ゴミステーション発に乗り  作者: 柳 空
第一章 前日譚
19/59

第七幕 半機械人形、半人間、半化物②

外から聞こえてくる花火の音が、銃声みたいで、正直怖いくらいです。

会場から1キロ以上離れてるのに…。

(更新が遅れていて、本当にすみません!)


楽しんで読んでいただけたら幸いです!

『第二試験、合格クリア。』

無機質なその言葉に続くように、プシッ!と軽い音を立ててドアが開いた。

「…何だよ今の音。まさか、この部屋密閉されていた…とかねぇよな…?」

ー…僕も思った。

ねずみの言葉にアインス達は、顔を青くした。

ーまさか、窒息死させる気だったのか…っ!?

機械人形オートマタとの戦闘を終え、大した怪我もない三人だったが、流石に息は上がっていた。

単に機械人形の学習能力に手こずったせいかと考えていたが、今の密閉容器を開けたような音で確信がいった。

それだけではない。完全に、確信犯で、俺達を密閉容器の中で窒息死&(アンド)機械人形からの撲殺を狙っていたのだ。あの鬼は。

「…危なかった…。」

夏の小さな呟きに、今回ばかりは流石に子も頷かざるをなかった。

殺す気だったのだ。自分アインス達を。

本気で。

「………」

ー…君達は、猫の子なのか、はたまた獅子の子なのか。それを証明してみせておくれよ。

頭の中で、ルアの言葉が反響した。

いつも通りの聞き慣れた調子の声だった。しかし、

ー…怒って…た…?

付き合いの長さからの勘だ。

違うかもしれない。けど、そんな気がする。

アインスは、元密閉容器の部屋からさっさと出て行く子の後を追いながら、そんなことを考えていた。

「…今は、あんまり考え込むなよ。」

だから、そう言って頭をはたいてきた夏に、少し驚きつつも、そうだな。と納得した。

ー今は、とにかく、この現状を終わらせよう。

「早く、ツヴァイ達と合流しないと。」

アインスの呟きに、一瞬夏の足が止まりかけた。


・━━━━━━━━━━ † ━━━━━━━━━━━・


「…あ?木か?これ。」

子の声にアインス達は足を止めた。

しばらく、一本道のやや暗めの通路を進んで行くと、豪奢ごうしゃな木戸に行く手を塞がれた。

最終試験場ゴールか?

振り返ってきた夏に頷くと、木戸を押した。

が、

「はぁ!?んだよコレ、おっも!!」

「開かないぃいい…っ!!」

押しても引いても開かない。

鍵が掛かってるとか、若干動くけど開かないというような感じではなく、本当に重すぎて動かない。

「はぁ…はぁ…。…おいおい、マジかよ。ここの連中

、この扉どうやって開けてんだよ…っ!」

手を膝について夏が言う。

全くだ。こんな重い扉どうやったら開くと、

「何やってんだお前ら?こんなの簡単に開くだろ。」

「「…は?」」

いやいや、お前は何を言っているんだ。という意味を込めて子を見る。

対して子はその視線に気にしたそぶりもなく、扉に近づくと、

「『手』で開けんのが無理なら、」

ドカンッ!と音を立てて扉が、砕けた。

「『足』で開けりゃあいいだろ。」

蹴られた扉は、見るも無残な姿になった。

―いや、それは『開けた』んじゃなくて、『壊した』っつーんだよ。

とは言えなかった。

そのまま、蹴破られた扉を、扉の残骸の中を何事も無かったかのように通っていった子の背後で、

「…あれ、卯さんにバレたらヤバイよな…?」

「…うん。次は扉じゃなくて、子の腹に穴が開きそう…。」

と夏とアインスが小声で会話をしていた。


・━━━━━━━━━━ † ━━━━━━━━━━━・


「やぁ、セプテット。思っていたよりは、早かったね。」

けど、君の実力からすれば、もっと早くてもよかったはずだ。

部屋に居たのは、案の定、ルアだった。

真っ白な磨きあげられた床に、高いシャンデリアの下がった天井。

そして、ルアの背後で煌めく女神と天使のステンドグラス。

場所は都会の真ん中だというのに、その場だけは、ヨーロッパの豪邸を思わせる造りだった。

「さて、君達がここに来たという事は、答えは出たということ」

「んなことより。卯達はどうした。」

「…最後まで喋らせてくれたって良いじゃないかい?」

言葉を遮ってきた子に、ルアは肩を落としつつ、そろそろ来るよ。と告げた。

「彼らも二回戦を勝ち抜いた。が、」

「若様!アインス様、夏様!!」

「少々、君達より被害が大きかったようだ。」

背後でした卯の声に三人が振り向くが、

「ツヴァイ!?おい、どうした!」

その先には、卯と春に支えられたツヴァイの姿があった。

すぐに駆け寄ったアインスに対して、夏と子は動かなかった。

しかし、二人の目には驚きが映っていた。

アインスは、卯達に代わってツヴァイに肩を貸した。

「二次試験の怪我だよ。ちょっと、不意打ちを仕掛けてみたら、この通り。」

ツヴァイの代わりにルアが答える。

「お前…っ!!」

夏がルアを睨みつけた。

「おっと、怖い。何をそんなに怒っているんだ?不意打ちなんて、俺達の十八番おはこじゃないか。」

だから、怒る必要は無いだろう。

ルアが言いたいのはそういう事だろう。

「まぁ、合格したのだからいいだろう?大体、この試験だって必要なかったものなんだから。『何も問題が無い』ならね。」

部屋の横にあった扉が開いた。

全員の目線が集中する。

「あぁ、ご苦労様。ブラン。」

「!リンクス、レヒツっ!!」

そこには、ルアの部下とその部下に連れられたリンクスとレヒツが居た。

「さて、役者は揃った。…あとは、」

パチンッ。とルアが指を鳴らすと、大量の機械人形達があちこちから溢れ出てきた。

「舞台を整えようか。」


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