第四幕 災いのプロローグ④
これにて、第四幕終幕です。
(コメントを頂いたのですが、返信ってどうすればいいのでしょうか!?(・゜д゜`≡・゜д゜`)アワアワ)
コメントを下さった方(名前は出さない方がいいと判断しました)、本当にありがとうございます!
アドバイス、しかと応用させていただきます!
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
川内は、半ば追い出される形でフルスターリを出た。
連れてきた部下には少し、申し訳ない事をしたな。と内心で思っていると、目の前を誰かが立ち止まった。
「よぉ、川内。まだ死んでなかったんだな。」
「よぉ、野田。お前もまだ出世してねぇんだな。」
見ると自分と同じように部下を数人連れた野田が立っていた。
「先日の件は、どうもお世話になりました。」
「お世話だなんて、そんな大したことしてませんよ。…それより、どちら様ですか?」
不機嫌顔を隠そうともせずに、閑崎が水面に喰ってかかった。
水面もわざとらしくひねくれた返答をした。
余裕そうな川内達と、苛立ちを隠そうともしない野田達。
その代表二人が、互いにあと一歩の距離まで歩み寄った。
「まさか、こんなに早く会うことになるとは思わなかったよ。」
「俺としては、二度と会うことは無いと思っていたよ。」
ハハッと笑う川内。それを睨みつける野田。
空気が張り詰め、温度が下がる。
「それで、今日はここに何の用だ?まさかとは思うが、一を勧誘、なんて馬鹿なことを考えちゃあいないだろうな?」
「その通りだが?何か問題でも?」
馬鹿にしたような笑みで川内が答えた。
「川内…っ!」
野田の右手が川内のコートの襟首を掴んで引き寄せた。
「ふざけるな…っ!あの子を、…あの子達を、お前の身勝手に巻き込むなっ!」
絶対に許さない。
そう言いたいのだろう。と川内は野田の眼を見て小さく溜め息を吐いた。
野田はそれに気付かずに言葉を続けた。
「あの子達は、まだ、表社会側に戻ってきても生きられるはずだ!それを、お前はっ!!」
「明宏。」
川内が野田の言葉を遮る。
浮かべていた笑みは、ことごとく消えていた。
「バカを言うな野田。白は黒で塗りつぶせても、黒は白でも、他の何色でも塗りつぶせないんだ。」
川内もまた、野田のスーツの胸倉を掴んだ。
「一度、裏社会側に来たら最後。生かしたいのなら、常に牙を研がせること。違うか?」
二人の間で火花が散る。
互いに、互いの意見を譲らない。
部下達は、二人が醸し出す空気に、近づく事すら出来ない。
睨み合いは、無言のまま数分は続いていたかもしれない。
それほどの緊張感だった。
先には動いたのは川内だった。
掴んでいた野田の胸倉を、乱暴に突き放した。
「…やはり。お前に一を任せたのが間違いだったな。アイツは、俺が連れて行くべきだった。」
「ふん。馬鹿を言うな。誰が、あの子達を捨てたお前なんかの所に行かせるか。」
野田がスーツを整えながら言った。
「この世に在るのは、白と黒。善を騙る悪と、善を騙らぬ悪。そのどちらかだけだ。」
野田より少し高い目線で、川内は野田を見下すように見た。
「この世には、黒も、白も、灰色も在る。悪人がいるなら、善人だっているんだ…っ!」
川内より少し低い目線で、野田は川内を睨んだ。
「「やっぱり。テメェとは、合わねぇな。」」
二人はそれだけ言うと、互いが行く方向へと足を進めた。
一度として、振り向くことはしなかった。