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地を揺らす狼  作者: ケイト女史
終わりの見えない後退
1/1

黒狼

帝都郊外、ロンスバッハ村。


 ロンスバッハ村には、騎兵、弓兵、歩兵など総勢6千名の帝国兵を従えた将校が駐留していた。

 「さぁ、行こう。」

 馬上の将校が静かにいうと、兵士が「門開きます。」と返し、村を守る門を開ける。

 大胆にも、護衛を一人も付けずに単騎で外へと進んだ。

 そこには、

 (ーーーーなんて数だ。)

 将校の眼前には、敵国の将兵が視界に入るすべての光景に布陣していた。

 おのずと身体に力が入り、右手に持っていた騎士槍を握り締め、深く息を吐く。

 (緊張しているのか、私よーーーー。)

 将校は眼前の敵を凝視する。

 敵との距離は、一刻あるかないか。


 将校の姿は敵方からも見えていた。

 「帝都が陥落してもなお、まだ戦うか愚か者共。」

 王国軍大将アランソン伯スールト・ポドワン、王国軍随一の勇将としてその名を轟かせていた。

 スールトは激しく抵抗する帝国軍に、苛立ちを募らせていた。

 「小賢しい、押しつぶすのだ。第一陣、前へ!!」

 スールトは右手を高々に上げて叫ぶ。

 これに呼応して軍楽隊が演奏をはじめ、第一陣が帝国軍の布陣するロンスバッハ村へと進みだした。

 第一陣は機動力・突破力のある騎兵を主力に、歩兵、彼らの突撃を援護する弓兵で編成されている。

 だが第一陣にも問題があり、数では優位に立っているものの、ロンスバッハ村は小高い丘の上にあるため、帝国軍の出方によっては騎兵の機動力・突破力を生かせず苦戦する恐れがある。

 しかしスールトはこれを承知しており、あくまで数で押し切ろうとしていた。


 将校は、士気旺盛な大軍が迫りくるにもかかわらず、動揺するしぐさも見せず、ただ王国軍を眺め続けていた。

 




 

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